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言いかえ図鑑⑤

■ちょっといいですか

高校生のころ、地元のしぶい佇まいの
ご飯やさんに入ったときのこと。
あ、初来店です。はじめて入った店。

友達と二人で入ってそこの看板定食を注文。
(手書きメニューに大きく書いていた)

で、料理が来るまで友達とおしゃべりする。
ひたすら喋る。笑う。楽しい。
ひたすら喋る。うん、ご飯そろそろかな。
ひたすら喋る。うん?ちょっと遅くない?

注文して40分経過していた。
客は私たち以外に誰もいないし
店員だって確認できる感じで2人はいる。
高校生の私でも分かる。これ遅いよねって。

「すみません、30分ほど待ってるんですけど
まだですかあ?」

しびれを切らした私は友人の手前カッコつけて
(オレは言える男だぜ)と店員に言った。
言ってやった!

そろりとあらわれた店員が一言。
「はい。もうちょっとお待ちくださいね」

なんだろう、子供をあやすような感じで
言われたような気がして恥ずかしくなる。
でも、それと同時に
(“もうちょっと”って、どのくらいだよ!)
と心の中で強く毒づいたのを覚えている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『ちょっと』は便利な言葉です。
ちょっと待ってね、ちょっとお願い
ちょっとちょうだい、ちょっとだけ

お願い事をするときに付け加えると
相手が断れないような雰囲気さえも
醸し出せる魔法の言葉。マジ便利。

この魔法の言葉は友人同士の会話なら
最高のスパイスになっていいんだけど
初対面とか、よく知らない人に
“ちょっと”と使われるとカチンとくる。

こちとら正確な時間が知りたいのだ!
『ちょっと』じゃなくて
『10分だけ』のように具体的に言ええええ!
と私のようにちょっと沸点が低い人は
反発しかねない危険な言葉でもある。
それがちょっと。
ちょっとちょっと。


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