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電化製品と優しさ

私たち夫婦は電化製品が好き。

ヨドバシカメラやケーズデンキといった
いわゆる大型量販店に良く足を運ぶのだ。

別に買うわけでもないのだけど
電気炊飯器をパカパカ開けて興奮したり
無水調理ができる鍋を見て唸ったりする。

最新家電を見るだけで満足する私たちは
とても安上がりに家電売り場を楽しめる。

そんな家電量販店冷やかし常連の我々が
行きつけの家電売り場に足を運んだとき

「お、次郎くんじゃない」

店員さんに声をかけられてドキリとした。
よく見たら学生時代の同級生T君である。
T君は、行きつけの店の店員さんだった。

胸を撫で下ろし、ふうと一息ついた私は
隣にいた嫁様を紹介し、即座に意気投合。
かれこれ三十分も立ち話で盛り上がった。

店のお偉いさんにそろそろ怒られそうな
雰囲気が出てきたころにT君は切り出す。

「そういえば次郎くん、いい人いない?」

T君は現在彼女がいないとのことである。
これを要約すると「彼女紹介してくれ」。
おいおい、仕事中に何を言っているんだ。

しかし、私の口から出た言葉は意外にも
罵倒や非難のような攻撃的な言葉でなく
T君に協力をしたいという慈愛の言葉だ。

私は自分で自分の言動に驚いた。

なぜなら・・・
結婚前の私なら絶対こんなこと言わない。
おそらくT君を全身全霊で罵倒しまくる。

「なんで紹介しなきゃならねーんだ」と
小物臭漂うやりくちで非難して攻撃する。
そう、私は本来そういう小さな男なのだ。

それがどうだ、わずか数年でこんなにも
私の精神状態が変わることなんてあるか。
興味深い。なぜ私は変わったのだろうか。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

私たちは、自分が満たされていることで
他人に優しくできる性質を持っています。

逆に言うと、自分が満たされていないと
他人に優しくするのはまず、できません。

無理に優しくしたとしてもボロが出ます。

「なんだよ!せっかく優しくしたのに」
「優しくしたんだから、なにか返せよ」
「ちぇっ、何だ、優しくして損した!」

自分が満たされていない状態だと
優しさについ見返りを求めてしまいます。
これでは本当の優しさとは程遠いですね。

本来、優しさとは見返りを求めないもの。
たとえ自分のした好意が無下にされても
(まあ、そういうこともあるよね~)と
特にイライラもしないし僻みもしません。
だって自分がやりたくてやっただけです。

相手は好意を「受け取る」権利もあるし
「拒否する」権利もあると分かっている。

自分が満たされることで
そのあたりの感覚がおおらかになります。

冒頭の、私とT君の会話でも
おそらく、私は嫁ちゃんと過ごすことにより
とても満たされて心がおおらかになっていた。

だからこそ、心からT君に協力したいという
気持ちで接することができたんだと思います。

私の場合は嫁ちゃんでしたけど
パートナーに限らず、自分の心の拠り所的な
そういった精神的支柱を何かしら持つことで
人は優しくなれるのかなと感じたお話でした。


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