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エスパーな繊細さん

「これって、どう思いますか?」

その昔、私が知人に尋ねたときのこと。
その知人は私の言葉に答えることなく
ぎこちない笑顔で私を見ているだけでした。

私は驚きました。

私は軽い世間話のつもりで尋ねたのです。
「それ、いいですよね」とか
「いやあ、嫌いですね」とか
そういった軽い答えが返ってくるとばかり
思っていたところに、まさかの返答ナシ。

話を聞いていなかったわけじゃないはず。
だって微笑で私の顔を見てくれています。
でも、返答してくれない。口が開かない。

(あっ、もしかして私嫌われているのか?)

いくら鈍い私でもなんとなく察しました。
返答がないってことは
『私と話なんかしたくない』ってことだと。

私は作り笑顔で話題を切り上げると
虚勢を張ってその場を後にしました。
そしてその知人と疎遠になりました。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

繊細さんは相手を優先しがちなのです。

繊細さんは相手の表情やしぐさを見ると

(あっ、この人は困っている!)
(きっと〇〇を探しているのね)
(今凄く話を聞いてほしいんだ)

こんなふうにピン!と来ます。
強すぎるセンサーを備えているので
相手の望みがある程度分かってしまうのです。

で、望みが完全に分かったときに
「もしかしてこれ探しているの?」と
エスパーのように相手の望みを先回りして
叶えることがあります。

このように相手が困っていたら
自動的に察してしまう繊細さんなので
(ここは譲ってあげたほうがいいか)と
自分よりも相手を優先しがちになります。

相手を気遣うことは人として素敵なこと。
気遣い上手は“良い人”と感謝される存在。
でも、なんでもかんでも相手優先となると
ちょっとそれはちがうのかなと思います。

なぜなら、相手優先を続けていった果てには
自分の意見を上手く言えなくなる未来
待っているからです。

何食べたい?と聞いても
「あなたの好きなものでいいよ」

どこに行こうか?と尋ねても
「あなたが行きたいところで大丈夫」

こんなふうに無意識に答えてしまうように
なってしまうんです。

もちろん、このとき自分の意見はあります。
でも、相手のニーズ優先という思考回路に
なってしまっているために、自分の意見が
ポンと出ないようになってしまっています。
これってとても悲しいことじゃないですか。

思い返してみれば、冒頭で私が尋ねた知人は
繊細さんだったのかもしれません。

私の行動を先回りしているかのように
なにかと気が付く人でした。

でも、その知人は口数が多い人ではなかったので
私の目には何を考えているのか分からない人
いうように映っていたんです。

私のような鈍感な男には言葉が欲しい。
どうしてその考えに至ったのか?という
納得できる過程を、言葉にして欲しい。

あの時、私優先のために選んだ最善の道が
「できるだけの微笑」だったのかもしれません。
でもあの時の私にはさっぱり届きませんでした。

話を戻して結論です。
相手を優先してばかりではいけない。
繊細さんならなおさら
自分を優先してほしいと思います。

自分の意見を言ってくれると私は嬉しい。
たとえそれが私とは違う意見であっても
変に気遣って同調されるより何倍も嬉しい。

というか“良い人”になんか
ならなくていいと思います。

少なくとも私は、そんな良い人なんて嫌いです。


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