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職場でセクシュアリティの多様性についての勉強会をひらく

職場でセクシュアリティの多様性の勉強会をひらく

職場では、仕事以外やってはいけません。利益、事業、業務に集中しましょう。そうはいっても「金にはならないかもしれないけど、ちょっとこれヤダな…」みたいなことはありませんか。私の場合、それは「セクシャルマイノリティに対する偏見や差別」でした。

私は、IT企業のマーケティング部門で、製品を世に広めることを仕事にしています。職場に「セクシュアルマイノリティに対する偏見や差別」があったとして、その解決に取り組むのは少なくとも私の仕事ではありません。そして当時、会社内の誰の仕事でもありませんでした。

今日は、そんな私が、セクシュアリティの多様性についての勉強会を、職場で開催したことについて。

きっかけは同期と話したこと

あたかも自分が始め、自分ひとりでやったかのように書いてしまいました。全く違います。

きっかけは、同期のひとりが「セクシュアルマイノリティなんていない、みたいな空気を感じる」と話してくれたことでした。わたしの感じていたもやもやを言い当てていたようだったので「めっちゃわかる!」と返した記憶があります。

そのあと、数日経ってその同期が「このことについて集まって話したり考えたりしたい」と言って、社内にスレッドを立て、そこに招待してくれました。そこには、興味をもったり、共感した同期が何人かいました。

勉強会をやってみよう

そのメンバーで話したのは、悪意があって無視したり差別的な発言をしている人は少なそうだ、知らないだけという人がたくさんいるんじゃないか、ということでした。そこで、まずは、勉強会をひらいてみよう、となったのでした。

といっても、メンバーのうち誰も、そんなことをやったことはありません。自分たちが大学や日々の生活で得てきた知識を持ち寄ったり、本やウェブサイトで調べたり、資料作りは多少苦労しました。内容は「最低限職場で知っていてほしい知識」とし、セクシュアリティには多様性があること、マイノリティは職場で様々な困難を経験しがちであること、職場で心がけてほしいこと、などを盛り込みました。

ちなみにメンバーはみな、わたしと同じように製品の販売やサポートに関わる業務をしていました。仕事とは別に、昼休みや業後、ときには週末にメンバーの家で準備をしていました。大変でしたが、学生に戻ったみたいで楽しかったです。

やってみたらこんなことに

業務に関係があるわけでもない、職場への批判を含んだ勉強会をやることに、若干及び腰でしたが、結果、勉強会は盛況でした。「いつかちゃんとインプットしないと、と思っていたんだよね」という人もいました。盛況のため会議室が満席になったり、噂が噂を呼びもう一回やってほしいという声があり、同じ内容で時間や場所を変え、複数回やったのでした。

うまくいった理由(かもしれない何か)

こんなにもうまくいった理由として、他の人に教えられるような何か、は正直ありません。初めてやったからです。ただ、これはキーポイントだったなと感じたことを書いてみます。

1.仲間をみつけたこと

最初に、もやもやを同期が口にしたこと、そしてそれによって仲間が見つかったことです。(とはいっても仕事だし……)と口に出さないままでいたら、何も起きなかっただろうと思います。でも、口にしたら案外仲間が見つかり、仲間が見つかるだけで、やる気も勇気もアイデアも湧いてきました。ひとりでもやもやしているときと、こんなに景色が変わるものかと驚きます。口火を切ってくれた同期には、とても感謝しています。

2.勉強会をひらく文化があったこと

実は、社内にはもともと勉強会をひらく文化がありました。仕事に関わる技術やビジネススキル、業界トレンド、時には趣味の話なども、社内の詳しい人が複数人の前で話す、ということがよく行われていました。すでにあった勉強会の開催の仕方を真似し、「勉強会告知スレッド」でお知らせができました。ひらく方も、参加する方も、いつもの「勉強会」開催/参加できたので、開催へのハードルは低かったと思います。

できたこと、できなかったこと

仲間をつくり、すでにある仕組み乗っかることで、無事私たちは勉強会をひらき、たくさんの人に関心をもってもらうことができました。ただ、以前から関心があった人しか集められなかった、という側面もありました。

というわけで、勉強会をひらいたメンバーは、勉強会をきっかけにさらに仲間を増やして、まだまだ活動を続けています。今は会社の「部活動」になりました(やっぱり「あるものに乗っかる」スタイル!)。多様なセクシュアリティの人がひとしく働きやすい職場になるまでには、まだ道のりがありそうです。

職場でのささやかなレジスタンス

社会貢献的なことは「仕事にするか、休日に趣味でやるか」このどちらかなのだと思っていた気がします。でも、この経験を通して「職場でやる」という選択肢もあるんだなと思いました。グレーで、ちょっと反抗的かもしれないけれど。長い時間を過ごす場所だからこそ「ヤダな」の気持ちをちょっぴり表現して、「よくしたい」を行動にしてみる。職場におけるささやかなレジスタンス、いかがでしょうか。

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