本年の1冊目
もうすぐ2022年が1か月過ぎようとしていますが、
本年の1冊目は何にされましたでしょうか?
私は澤田瞳子さんの『若冲』を読みました。
澤田瞳子さんは、昨年の2021年『星落ちて、なお』という作品で第165回直木賞受賞を受賞された作家さんです。
『若冲』はもちろんそのまま江戸中期の絵師、伊藤若冲の半生に迫った作品です。
伊藤若冲という絵師の現在の日本での一般的な知名度としては、美術の教科書に出てたけど、どの絵って言われるとぱっと言えないけれど、でも見たら、「ああ、あの絵、知ってる!! そうなんだねー」となるくらいのかんじじゃないかなと想像します。
その「あの絵」を描いた作家の半生です。
鶏がいっぱい描いてある絵(動植綵絵「群鶏図」)とか、様々な動物が描いてある中の、白い象が印象的な屏風画(「樹花鳥獣図屏風」)もそうです。
そう、あの絵です。
歴史小説というのはそれは当然ながら小説という形態をとっている以上、もちろんフィクションなのですが、作家の時代考証の積み重ねによる、人物や風景の描写により、生き生きと過去を蘇らせる小説です。
この作品はそこをいくと、相当な量の資料を当たられただろうと思わされるエピソードや描写が沢山出てきます。
武家や公家、僧でもない、しかも江戸ではなくて、上方の絵師の生涯。
現代においては有名な絵師には違いありませんが、当時の名のある絵師という訳では無いので、恐らく若冲としての資料はそう多くは無く、他相当量の周辺資料を集めることで、この作品を立ち上げられたのではないかと想像します。
また、小説の全体に流れる京都の空気、ながれるような京都弁。
前情報入れずに読み始めましたが、澤田さん、京都の人ですよね? と思ってWikipediaを見たら、やはり京都の作家さんでした。
しかも私と同じ1977年生まれ。同じく乙女座。
勝手に親近感を持ちます。本当に勝手ですが。
ねたばれを避けたいので小説の詳細は書けませんが、一気読み出来るタイプの、引き込まれる小説でした。
私は通勤の行き帰りでちびちび読んでいましたが、最後の2章分は家で一気に読みました。
読んでいる間中頭の中が京都になるので、「えせ京都弁」を発しそうになります。
京都の人にはんなり怒られそうなえせ京都弁ですので気を付けないと。
日本画がお好きな方でしたら、丸山応挙、池大雅、与謝蕪村も登場しますので、とても楽しめると思います。
当時の京の空気が感じられる作品ですので、京都、寺社仏閣ファンの方々も深く読める一冊です。
1冊目の選書はばっちりでした。そうして私の中に江戸時代ブームが、去年に引き続きやってきましたね。
2冊目は、西條奈加さんの時代小説『御師 弥五郎―お伊勢参り道中記』を読み、3冊目の現在、堀口茉純さんの『EDO-100 フカヨミ!広重「名所江戸百景」』を読んでおります。
控えには杉浦日向子さんの『百日紅』もおります。
暫くは江戸ものが続きそうです。
皆様も、きっと素敵な本に出会われていることと思います。
今年も楽しい読書の日々を過ごしましょう。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
ではまた!
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