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(第10回)プログラミング教室と卒業退会 『“飽き”対策のありかた』

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卒業退会=「お客様が満足して退会している」といっても?

これまで2回にわたり当コラムでは、プログラミング教室業界の退会問題について触れました。
今回のコラムでは「卒業退会」について解説をしていきたいと思います。

前々回のコラムの復習になりますが、退会には「卒業退会」と「途中退会」があります。

「卒業退会」とは生徒や保護者がある程度の期間、教室に通学し、一定の目的や成果を達成したため、満足して退会する状況を指します。

「受験・合格」という明確な期限が決まっている学習塾と異なり、幼児や小学生向けの習い事の場合は、この「卒業退会」するタイミングが各教室・家庭によってバラバラになります。

卒業退会自体は基本的に「満足して」退会しているケースが多く、お客様からのクレームになることはほとんどないのですが、見方を変えると「飽きて」退会してしまっているというのが現実です。

教室側のカリキュラムやレッスン内容、目標設定次第では、本来は「あと1年」「あと2年」通学してもらえるはずなのに、教室側の努力や工夫が足りずに「もうお腹いっぱいです」と退会してしまっているともいえるのです。

プログラミング教室の在籍期間はどのくらい?

プログラミング教室業界にとって、この「卒業退会」=「満足してしまう」「飽きる」問題は、重要なテーマになっているといえます。

まだ業界全体で集計した正確なデータはありませんが、現場の感覚として現在のプログラミング教室業界の受講者の平均在籍期間はおそらく1年~2年程度だと思われます。

中にはロボットづくりが大好き!という少数の生徒が3年以上通学していますが、大多数の生徒は1年~2年、もしくはそれ未満の期間で退会していると思われます。

こども向けの習い事において、平均在籍期間が1年~2年というのは非常に短く、教育としても経営としても、あまり良い成果を出せているとはいえません。

教育の視点から見ても「1年で身に付くスキルや能力がどの程度のものか?」ですし、経営の視点から見れば、毎年生徒の大多数が入れ替わってしまい、生徒数が安定しないという問題があるのです。

このような「卒業退会の早さ」=「プログラミング教室の在籍期間の短さ」=「教室に飽きてしまう期間の早さ」は、現状のプログラミング教室業界の下記のような構造に原因があります。

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