見出し画像

少年が教えてくれたこと

#やさしさにふれて  の投稿コンテストの募集を初めて見かけたとき、心に浮かんだ新聞記事がありました。

もうずいぶん昔に読んだ記事で、掲載時期さえはっきりしませんでした。

断片的な記憶で、覚えているキーワードといえば、「触れる美術館」「手紙」「親子の像」といった程度。

ネットで検索したりもしましたが、どうしてもたどりつけません。

もういいや、あきらめようと思っていた矢先、パナソニックさんの公式アカウントから、視覚障害のある人もない人も読める、画期的な点字ブレイルノイエについての記事がタイムラインに流れてきたのです。



この記事を読んで、萎んでいた書きたいという思いが再び強くなり、思い切って新聞社に電話で問い合わせてみることにしました。

「触れる美術館」「手紙」「親子の像」等のキーワードを伝え、掲載時期も平成16年ころかもしれない、と伝えました。父の亡くなった頃とそう遠くないような気がしたのです。

そして、ついに今朝、担当の方から見つかったと電話があり、記事のコピーをFAXで送ってくださいました。以下、記事の一部を引用します。


昨年一月、ある方が「触れる立体四人展」を企画しました。それを見た鹿児島盲学校の生徒の感想が、その方から私のもとに送られてきました。それが今回の作品展を開くきっかけになりました。「『きずな』という作品は石でできていて、三人かぞくがいすにすわってひっついてニコニコしたかおでした。ぼくは、「いいかぞくだなぁ」とこころのなかでおもいました。また来てほしいです。」小学二年生の少年の感想でした。この『絆(きずな)』という作品(竹道久氏作)は、確かに家族が寄り添う石の彫刻ですが、顔の様子ははっきりしていないのです。でも少年は「触れる」ことで作品と作家の想いに寄り添った結果、ニコニコした幸せな家族の姿を心に映したのでした。涙があふれ震えるほど感動した瞬間でした。

南日本新聞 2006年7月1日 朝刊 ☆企画〔かごしま文化を語る〕「触れる作品展2006」/障壁越えて心つなぐ=早川由美子氏(NPO法人「PandA」代表理事)

当時、記事を読んでいた私も、途中から家族の目もはばからず泣いた記憶があります。何度読み返しても、少年の感想のところで涙があふれてしまうのです。

「ひっついて」という鹿児島弁も親しみを感じましたし、きっと少年のところも仲の良い家族なのだろうなあと想像したりしました。

時は流れて、記事掲載から14年経ち、当時小学二年生だった少年も成人し、自分の人生を歩み始めていることでしょう。

あの時、少年が私に教えてくれたのは、「だれかの思いに寄り添い、想像する」という「やさしさ」でした。

最後になりましたが、膨大な記事データベースの中から、親身になって記事を探してくださったNさん、本当にありがとうございました。

#やさしさにふれて  

#南日本新聞 #触れる作品展

#ブレイルノイエ #点字




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?