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「貧乏モーツァルトと金持ちプッチーニ」であれば、クリエイターはプッチーニを目指すべし
日本有数の弁理士である正林真之さんが書かれた『貧乏モーツァルトと金持ちプッチーニ』は、知財ビジネスの基本について分かりやすく紹介されていますが、クリエイターにとっても有益な一冊となっています。
表題の「貧乏モーツァルトと金持ちプッチーニ」では、「天才が成功するのではなく、成功の仕方を知る人間が天才になる」と説きます。
モーツァルトには権利を活用する必要を感じないほど尽きない作曲の才能があった。長所は短所を生じさせる。これこそモーツァルトが成功できなかった理由である。
映画『アマデウス』でも描かれている通り、モーツァルトは圧倒的な天才です。
湯水のように才能がほとばしり、人生そのものもクリエイティブに捧げます。
その名声は今でも世界中にとどろいています。
一方、プッチーニはモーツァルトよりも劣ってしまうことは否めないでしょう。
しかしプッチーニは、成功者です。
コンクールに応募したオペラはコンクールで落選してしまいますが、大手の楽譜出版会社と契約を結びます。
出版権は会社に帰属しますが、これによりオペラの上映権料のようなギャラを受け取ることができました。
プッチーニは将来、曲の創作が枯渇して行き詰まることを見越し、安定した組織の中でオペラのヒット作を生み出し、経済的困窮も解決した。
才能と成功は、同じ次元では存在しない。プッチーニのように自らが弱者と認識し、自らの才能を知り、ビジネスにつなげた者だけが生き残る。
モーツァルトのようなクリエイターになるには、努力だけではどうしようもないところがあるかと思います。
人間誰しも9秒台で走れる訳ではありません。
一部の限られた才能を持つ人間が血の滲むような努力を行って、ようやくたどり着けるか、どうか?という境地だからです。
ですが、プッチーニであれば多くのクリエイターが目指せるはずです。
また、インデックス投資の重要性を説いたチャールズ・エリスの『敗者のゲーム』という本があります。
伝統的に資産運用の世界では、市場に勝つことができるという基本的な信念が支配的だった。しかし時代は変わり、今日ではこの前提は、プロの運用機関にとってさえあてはまらない。
投資は「勝者のゲーム」から「敗者のゲーム」へと変化した。
現代は、投資のプロでもアグレッシブにマネーゲームを行っても勝てない時代です。
ですので、パッシブにインデックス投資をすべしと説いていますが、クリエイターも同様のスタンスを取ることも大切なのではと思います。
もちろん、世界一のクリエイターを目指すことは夢があってロマンもあります。
一番を目指さずに何でクリエイターやっているんだ?という声もあるかもしれません。
しかし自ら「勝ち」に行って、運良く流れに乗れたとしても、成功とは別です。
プッチーニは時代遅れという一部の評価とは裏腹に、映画やテレビがない時代の総合芸術芸術「オペラ」で大成功します。
自分の勝ち目がない、先鋭的な「才能」の部分では勝負をしておりません。
一部の突出したクリエイターを除き、一般的なクリエイターは冷静……いや、冷徹に自身が所属する分野の継続的な「源泉」を見極め、そこに向かってインデックス投資のようにコツコツ努力を積み重ねるのが肝要なのでしょうね。
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