ブリコラージュ理論とDaoとSanta`sを元にした未来創発型運営とは?
社会的な文脈のみならず、組織運営においてもダイバーシティの重要性が強調されています。ただ、個人が創造的に働きながら、ひとまとまりの組織をつくることは容易ではありません。
この難題への突破口を示してくれる可能性があるのが、「ブリコラージュ(bricolage)」という考え方です。ブリコラージュとは、文化人類学者のクロード・レヴィ=ストロースが1962年に発表した『野生の思考』
「多様な個を生かす組織をつくるためには、ブリコラージュ的なアプローチが有効である」
仕事に限らず、日常生活を送る中で問題に相対したとき、それに対処するための専門的な材料や道具、レシピが常に手元にあるとは限りません。そんな中で、身近にあるものを組み合わせながら問題に対処しようとする行為のことを、ブリコラージュと言います。
エンジニアリングで大事なのは、完成形をイメージした上で作業に着手することです。目的を果たすために「コレをつくろう」と明確に決め、設計図を描き始めることが、最初のステップになりますが、一方、ブリコラージュは、まずは手元にある材料を観察することから始まります。そして、それらの材料を組み合わせることで、目的の達成を目指していくのです。その過程には試行錯誤が付き物です。様々な選択肢を吟味しながら完成を目指すので、スタート時点からは想像もつかないような着地を見せる場合もあります。
『野生の思考』では、ブリコラージュの元となる“bricoler”という動詞を、「ボールが跳ね返る」や「馬が道を逸れる」などの偶発的な運動を指す言葉として紹介しています。つまり、ブリコラージュはその語源から「偶然性」や「偶発性」と強い関連を持つ概念であり、悪い意味ではなく「ゆらぎ」や「ズレ」が付き物なのだと、田幡は強調します。
道具と対話し、道具を身体の一部にする
イーロンマスの教育法やスペースX社の学校にも書いたように、まずは道具に関しての教育をしてから、その道具を使い何ができるか?何を作るか?どのように発明するか?をあたかも道具が自分の手足のように使うことを前提にした、新たな教育方法を実践している。もちろんこの方法は脳科学的にも理にかなっております。
ブリコラージュの視点からは、まずは道具を収集し、そこから何ができるか試行します。収集と観察を行うにあたって、重要な役割を担うのがアナロジー(類推的思考)です。子どもが拾った木の棒を剣に見立てておもちゃ箱に詰め込むように、類似する別の道具を想像しながら、自らにとってのツールボックスをつくっていきます
「伸び縮みして、大きさが自在に変わるな」、あるいは「防水機能があるぞ」と道具の特性を見出してく。つまり、道具自体と向き合いながら、その道具が持つ意味や可能性を洗い出していくプロセスが大切なんです。このことから、ブリコラージュは「道具との対話から生まれる、受動的な創造性」と表現されることもあります。
このように、道具との対話を通し、道具の可能性を見出すことから目的の達成を目指していくことが「ブリコラージュ的な仕事術」なのです。
ブリコラージュ的な仕事のプロセスは「妥協と再構築」の連続です。多くの場合、妥協の上で完成を迎えます。もしくは、妥協できずには再構築することになります。
そして、その妥協やズレ、あるいは歪さに「その素材らしさ」やつくり手の「自分らしさ」が現れる。 同じ材料を使用したとしても、つくり手が違えば異なるものが出来上がります。さらに、そうやって出来上がったものが再び“宝箱”に収納され、やがて違う目的を果たすために再利用されこともあります。こういった試行錯誤のプロセスが繰り返し行われる点も、ブリコラージュの大きな特徴です。
「日常的な“宝箱”づくり」と「可能性を引き出すための道具との対話」、そして「妥協とズレが織り込まれたアウトプット」を特徴とするブリコラージュ的営みは、日常生活や仕事上の様々な局面に活かせると言います。
特に、経験したことのないプロジェクトに挑むときは、ブリコラージュ的なアプローチが適していると思います。プロジェクトの目的自体に新規性があり、完成形の想像すらつかない仕事に取り組むとき。そういったシーンでは、手元にある“宝箱”を観察し、そこにある道具との対話を繰り返しながら試行錯誤していく必要があると考えます。
もちろん業種にもよりますが、現代では完成形やプロセスが完璧に分かっている状態でスタートする仕事のほうが珍しいように思えます。言い方を変えれば、あらゆる仕事や生活全般の行為において、ブリコラージュ的なアプローチは求められるということです。社会の変化が激しい昨今のような環境下では、ブリコラージュ的な営みは特に重要になると考えています。
ブリコラージュ的な組織づくりの鍵は「個人の可能性を引き出す対話」にある
プロジェクトを達成に導く、既存の「人材」としっかりと対話ができているかが重要だということです。「対話はしているよ」と言う人の場合も、チームの理想像に人材をあてはめるための対話になってしまっているケースが少なくありません。「こういうチームにしていきたいから、君にはこんな役割を果たしてほしい」といった具合ですね。しかし、これはブリコラージュ的な態度とは言えません。
理想の組織に個人をアジャストさせていくために対話を行うのではなく、メンバーの内発的動機や特徴が持つ可能性を見出すことを目的に対話をする。そうして様々な組み合わせを試しながら、目的の達成を目指していくことが、ブリコラージュ的な組織づくりの姿勢だと言えるでしょう。
適切な「問いかけ」が、知の探索を促進する
「探索的な知の創造や学習を促進できているか」。
イノベーションのジレンマを乗り越える方法として近年注目を集めている「両利きの経営」では、「知の深化」と「知の探索」の両立が重要だとされています。深化とは、経営においては既存事業を深掘りし、伸ばすこと。探索とは、新しい事業を開拓することを指します。これを個人に当てはめて考えれば、深化はすでに持っているスキルを更に伸ばすこと、探索とは新たな知識を獲得することになります。
ブリコラージュとは何かを説明するにあたって「道具との対話から生まれる、受動的な創造性」というフレーズを紹介しました。また、ブリコラージュでは収集と観察が起点となるという話の中で、観察とは言い換えれば、対象の魅力や可能性を考え、気がつくことだと説明しました。「何かのために学ぶ」といった能動性も非常に重要な学習態度ではあるものの、「探索」においては、まずは学ぼうとする対象とじっくり向き合い、その存在から受け身で「何かを感じ取る」姿勢がより大切になるのではないかと思うんです。
続きは、会員サイトにてご覧ください。またブリコラージュは実践でしか身につきません。是非会員のみなさまには、キャンプ合宿所やFFG式、建設、開拓などに積極的に参加していただき、ブリコ理論を身につけて欲しいと思います。 KS施設までは無人駅ですので、必ずBANDにてお申し込みをしていただき、駅で皆さんと必ず待ち合わせをして下さい。
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Syncreeate Collecive Academy
2144年9月22日に私たち組織が目指す人類、地球、宇宙、11次元につづく壮大な計画(Handred Clubの未来計画参照)を実現するま…
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