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【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

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心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
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2020年4月の記事一覧

短歌 目 十首

1
傷つけるための強さは弱さだと教えてくれたきみも血まみれ

2
許せないことは大抵許さないことと気づけば薫風の吹く

3
葉桜が映える青空の下には忘れ去られたミサンガのくず

4
詳しくはWEBで続きはCMのあとでほんとのことを教えて

5
スーパーに陳列されたお目目たち形成された美しさたち

6
悲しいと爪を噛む癖を咎めた君のほうこそうまく生きろよ

7
偉そうな人が絞めつけているのは地球を周

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短歌 朝 十首

短歌 朝 十首

1
モーニングコールで起きないきみのため時計仕掛けのタライを吊るす

2
夢のなかで誰となにしていたのかと8年経っても嫉妬している

3
目覚ましににナンバーガールかけるきみの朝の不機嫌の理由はそれ

4
目玉焼きのかたさの好みが違うのは朝の支度の妨げとなる

5
生卵、実はお前が羨ましい 壊れてからも必要とされ

6
葉桜にやっと会えたというきみのそういうところがずるいんですよ

7
点としてこ

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短歌 旅 十首

短歌 旅 十首

1
誰一人として噛み合うことのない歯車として朽ちてゆくのか

2
耳の中に海があったらひねもすに波音とだけおしゃべりできる

3
誰もみなどこから来たか知らないし迷子を匿うひとも迷子

4
機内食で出るざるそばと空腹のポテチよりうまいものを知らない

5
補助輪を外すみたいにもう好きじゃないなら早く手を放してよ

6
失くしたらそちらにばかり気を取られ今あるものを陰に追いやる

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短歌 隣 十首

短歌 隣 十首

1
懐メロを思い出として聴くきみの隣は歴史の勉強になる

2
背くらべて爪先立ちしても足りないその差が気持ちの距離だったなら

3
はんぶんこと呼べたならよかったな真っ二つにされ哀れなケーキ

4
真剣にタルト・タタンを食むきみの一部になれるなら馬鹿でいい

5
「大好き」は使えば使うほど効果が薄れてしまう諸刃の言葉

6
心には天使と悪魔が住んでおり家賃も払わずいちゃついている

7
月の夜の涙

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短歌 宇宙 十首

短歌 宇宙 十首

1
UFOを見たんだなんていうけれど土産がもなかなんてあんまり

2
金星が逆回転をしはじめた そんなことより外は土砂降り

3
もういない星の光が目に届く 隣に立つきみの袖を引っぱる

4
水たまり 月が半分だけ映る そうね半分くらいがいいね

5
火星まで届くWi-Fiをください あの人たぶん今そのあたり

6
私より文庫に夢中だから月流しの刑よ準備万端よ

7
宇宙人にも

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短歌 兎 十首

短歌 兎 十首

1
もしもまた恋に落ちたら一番にハシゴ担いで来てくれますか

2
抜け殻を集めてまわる趣味のひと午後5時ごろのニュースになってた

3
眠らない眠りたくない眠れない いずれにしてもあなたのせいだ

4
水蒸気みたいに未練が消えたならいいな今日はひとりのシャワー

5
ライオンも寂しかろうね青空はおんなじなんて嘘をつかれて

6
血まみれのあたたかさなら知っているはずだあなたも生

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短歌 足し算 十首

短歌 足し算 十首


三つ編みを解いた後のうねうねで女神の気分 きみをさきたい


ライバルにオールドファッションをとられて不機嫌なのも了解しました


僕は雨降りの日にだけ現れて君の背中を潤すかもめ


難しい言葉を知っているんだねハレの日にあすこから飛んでよ


孤独タス孤独ハ孤独 掻キ混ゼテぺんき塗ッテモ孤独ハ孤独


かくれんぼいつの間にやら終わってた 明日になれば見つかるかし

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短歌 映画 十首

短歌 映画 十首

1
ここまではフィクションですがここからをフィクションにするかはあなた次第

2
本当に白馬で来られたら困る甲州街道が渋滞するから

3
めでたしのその後が知りたくてパンフの裏表紙を陽光に透かす

4
シジミチョウ捕まえ瓶に詰めてゆく【残酷】をまだ漢字で書けない

5
I want の続きが言えずYESなら呼吸みたいに出てくる機械

6
「幸せになる必要があったのか?」苦情はどうぞエンドロールへ

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短歌 辞書 十首

短歌 辞書 十首

1
「雨が降る」と引くと「苦悩する」ことと同じと載ってる辞書がほしい

2
宇宙とはただの奇跡で偶然でそのくせ等しく必然らしい

3
真っ白なパレットに広げた白色の絵具の行方を知りたくて切る

4
なんだってわかるのスマホさえあればきみの涙のわけも検索

5
まっさらに掃除されるとつらいのはちりひとつにもきみがいるから

6
「あい」なんて辞書で引かないほういい (戻れなくなる)傷つくだけだ 

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短歌 卯月 十首

短歌 卯月 十首

1
四月馬鹿五月凡才六月に本気出すからそこで待ってろ

2
天井の蛍光灯の明滅を数えて過ぎる青春もある

3
「ピカピカの一年生」がなぜマイナーコードなのかがやっとわかった

4
友達を百人作れというのならあなたが先に手本を見せて

5
友達は作るもの友達になるわけじゃない悪あがきはやめな

6
春風が桜を迎え向こうまで連れてゆくから寂しくはない

7
曇天の桜並木を車窓か

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