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笹塚 心琴
2017年7月31日 14:42
夏色が少しはだけた街をゆく胸に小さな棘を抱いて 溢れくる涙のわけも知らないで戻り梅雨など受け入れないで 太陽が悪魔のように焦らすから彼の心も歪んでしまう 憎しみが増幅されるだけなのに夏が好きだとあなたはほざく 輝きは汗と涙とあがくことダイヤモンドは夏に合わない いつからか彼の脳では太陽が直接指令を出すようになり 憂鬱がぶっ飛ぶほどに暑いから喜怒哀楽
2017年7月30日 15:50
今はまだ振り返れずに辛くてもきっと笑って触れられるから 傷つけるよりも傷つく方がいい黙して微笑う太陽の下 赤い糸 年季が入り織り成した日々を想えばただ愛しくて 輝きを放つ言葉を探したらいつもの夕餉にたどり着いた 曇り空くらいがちょうど心地よい贅沢言わず泣き言言わず 陽を浴びるだけが取り柄なわけじゃない隅には隅の役割がある 泣きたくて泣ける幸せ噛み締め
2017年7月29日 17:11
片時雨あの日失くした正しさが傘を持つ手に痛みを穿つ 約束はしない約束だったから笑顔で雨を受け入れている 雨粒の音に合わせて堕ちていく君の心がドシラソファミレ 伝言を残しておいたはずなのに雨声に消されてしまった恋文 二人とも二度と会わないことにして驟雨にすべてを隠した夜 雨粒を覗き込んだら君がいた悲しい目をしてこちらを見てた しょうしょうと降る雨を責め
2017年7月28日 21:21
二日目のカレーがうまいその訳を君と僕ならよく知っている ダイエットしているからと残されたコロッケ一つに意味はあるの? 「おいしい」の一言を見て舞い上がるランチタイムのLINEの通知 パスタよりスパゲッティが好きという昭和生まれの超意地っ張り 困ったらカレーを作るそのクセを確認したくて小指が疼く そうめんの薬味にツナってアリですか文明開化の味がした日
2017年7月27日 18:03
帰り道 二つの影が街を染め平和の意味を知らせる日暮れ 食卓に並ぶレトルト食品は頑張っている二人の証 出張や残業続きの君には「わたし成分」が足りていない 眠たくてこぼした涙 誤解してごめんなさいと正座する君 雨の日もあった嵐の日もあったなんだかんだで一緒にいるね 優しくて不器用なこと誇ってよ私が笑える理由なんだよ 記念日にケーキを買って帰る君待って記
2017年7月26日 17:28
仲直りしたい二人の間ではショートケーキが雄弁になる 張る意地も憂い顔には敵わない抹茶ラテにはかすかな悪意 君のこと一番なんて思えない順序があると思いたくない 背伸びしてザッハトルテを頼んでも苺の有無も知らない仔猫 生きるのがちょっぴり下手な君だからシュガーレスでは息ができない 甘いだけでは足りないと囁いてハニーの跡を小指でなぞる ホイップが指に絡まり
2017年7月25日 13:49
ライオンの気持ちがわかる気がしたのあなたを噛めばザクロみたいね その声で甘いラメント歌ったら誰が惚れずにいられましょうか 夏カレー ナスやトマトとないまぜに君を溶かして煮込んでみたい 夏風邪と思っていたこの熱はどうも知恵熱でもないみたい 湯を注ぎその傲慢が開くのを三分間は待っててあげる 血の味は恋のはじまりに似ている私これから生きだすんだよ 足音が近
2017年7月24日 18:09
思い出がひと雨ごとに塗り替わり君が誰だかわからなくなる わがままになってほしいと願うほど雨が降ること知っていますか 街に咲く赤青黄色の雨傘そこに私の色だけが無い 雨粒に撃ち抜かれるとうそぶいて見せ合う傷を用意する君 雨音は三拍子だと歌う声影は優しく雲に抱かれた いつ降るかわからないのは雨と嘘天気予報で誤魔化さないで 枯れ急ぐ紫陽花たちのレクイエムな
2017年7月23日 12:47
天国に一番近い時期だから互いの鼓動 確かめ合おう アイスティー汗をかいたら君が泣く終わりを知った蝉どもみたい 切なさは削ぎ落とされてやわ肌が黒ずんでいく露骨な季節 青々と桜の葉っぱがざわめいて春が逝ったと人に知らせる 干からびたミミズに水をふりかけてはしゃぐ幼児の命の重さ もうずっと波打ち際で待っている君が溺れてこちらを見ること 太陽の力を借りて挑ん
2017年7月22日 11:04
「ごめんね」と同じ数だけ「ありがと」を伝えられたらもう悔いはない 明日私 髪を切るから気づいてね局地的かつ甘い復讐 「愛してる」それはまだ愛未満だぞ本気だったら言葉はいらん 人様の神経を爆殺しては被害者ヅラして微笑むあなた 「いいよ」そのセリフの前にもしかして「どうでも」がありませんでしょうか 何気ない仕草が全部苛立ってそれが恋だとようやく気づく 暗
2017年7月21日 10:36
静寂が漂う部屋の片隅で戸惑う呼吸に笑みを返す 繋いだ手から溢れ出す熱のせい影を重ねて意味だけ捨てた 残像が居座る君の胸元を涙しながら引っ掻きまわす なんだ君、泣いているのか当たり前、そんな目をして笑わないでよ From君 分泌された愛だから余すことなく手に入れたいの うつし世に未練はないが君のこと味わい尽くしてから果てたい 何もかもどうでもいいと心か
2017年7月21日 10:33
この街に魔法の似合う場所はないだから奇跡は一つも起きない 蜃気楼 遠くで友の呼ぶ声がうつろう街に痛みを穿つ 新宿に桃源郷を見つけたと逆さまになり笑いだす君 秒針と心臓の音がリンクするここでまばたきしてはならない 紫が足りない虹がかかってる君が盗んだ恋に似ている スニーカーの紐を結び直しても誰も褒めてはくれない夜更け 人殺しも聖者もこの人混みに区別で
2017年7月20日 10:23
錠剤の重さに比例する土曜君と二人で海を見に行く 時折の憂いを帯びた笑い顔夜にひれ伏す獣みたいに 影法師みたいにいつか消えるんだわかっているから名前を読んだ まどろみも寝ぐせも声も知っているなのに君にはためらいがない そのうちに空気になると言われても肺呼吸には欠かせないから 結婚が墓場だなんて言うのならきっと二人はリンドウの花 目玉焼きにソースをかける
2017年7月19日 12:03
夜明け前 最も深い暗闇が朝の卵を包み込んでる さびしいの「さ」の字を「き」の字に置き換えてSOSを君に伝える 泣きながら食んだうどんのしょっぱさが明日も生きろと我を励ます 苦しみや悲しみはきっとカルーセル巡り巡ってやがて消えてく カーテンの青さに恐れをいだいても私は明日を希望と呼ぼう ループするような気がしたトンネルの出口で君が手を振っていた 絶望を