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2017年7月の記事一覧
短歌 希望02 十首
今はまだ振り返れずに辛くても
きっと笑って触れられるから
傷つけるよりも傷つく方がいい
黙して微笑う太陽の下
赤い糸 年季が入り織り成した
日々を想えばただ愛しくて
輝きを放つ言葉を探したら
いつもの夕餉にたどり着いた
曇り空くらいがちょうど心地よい
贅沢言わず泣き言言わず
陽を浴びるだけが取り柄なわけじゃない
隅には隅の役割がある
泣きたくて泣ける幸せ噛み締め
短歌 日常03 十首
二日目のカレーがうまいその訳を
君と僕ならよく知っている
ダイエットしているからと残された
コロッケ一つに意味はあるの?
「おいしい」の一言を見て舞い上がる
ランチタイムのLINEの通知
パスタよりスパゲッティが好きという
昭和生まれの超意地っ張り
困ったらカレーを作るそのクセを
確認したくて小指が疼く
そうめんの薬味にツナってアリですか
文明開化の味がした日
短歌 日常02 十首
帰り道 二つの影が街を染め
平和の意味を知らせる日暮れ
食卓に並ぶレトルト食品は
頑張っている二人の証
出張や残業続きの君には
「わたし成分」が足りていない
眠たくてこぼした涙 誤解して
ごめんなさいと正座する君
雨の日もあった嵐の日もあった
なんだかんだで一緒にいるね
優しくて不器用なこと誇ってよ
私が笑える理由なんだよ
記念日にケーキを買って帰る君
待って記
短歌 スイーツ01 十首
仲直りしたい二人の間では
ショートケーキが雄弁になる
張る意地も憂い顔には敵わない
抹茶ラテにはかすかな悪意
君のこと一番なんて思えない
順序があると思いたくない
背伸びしてザッハトルテを頼んでも
苺の有無も知らない仔猫
生きるのがちょっぴり下手な君だから
シュガーレスでは息ができない
甘いだけでは足りないと囁いて
ハニーの跡を小指でなぞる
ホイップが指に絡まり
短歌 恋愛02 十首
ライオンの気持ちがわかる気がしたの
あなたを噛めばザクロみたいね
その声で甘いラメント歌ったら
誰が惚れずにいられましょうか
夏カレー ナスやトマトとないまぜに
君を溶かして煮込んでみたい
夏風邪と思っていたこの熱は
どうも知恵熱でもないみたい
湯を注ぎその傲慢が開くのを
三分間は待っててあげる
血の味は恋のはじまりに似ている
私これから生きだすんだよ
足音が近
短歌 恋愛01 十首
「ごめんね」と同じ数だけ「ありがと」を
伝えられたらもう悔いはない
明日私 髪を切るから気づいてね
局地的かつ甘い復讐
「愛してる」それはまだ愛未満だぞ
本気だったら言葉はいらん
人様の神経を爆殺しては
被害者ヅラして微笑むあなた
「いいよ」そのセリフの前にもしかして
「どうでも」がありませんでしょうか
何気ない仕草が全部苛立って
それが恋だとようやく気づく
暗
短歌 都会01 十首
この街に魔法の似合う場所はない
だから奇跡は一つも起きない
蜃気楼 遠くで友の呼ぶ声が
うつろう街に痛みを穿つ
新宿に桃源郷を見つけたと
逆さまになり笑いだす君
秒針と心臓の音がリンクする
ここでまばたきしてはならない
紫が足りない虹がかかってる
君が盗んだ恋に似ている
スニーカーの紐を結び直しても
誰も褒めてはくれない夜更け
人殺しも聖者もこの人混みに
区別で
短歌 日常01 十首
錠剤の重さに比例する土曜
君と二人で海を見に行く
時折の憂いを帯びた笑い顔
夜にひれ伏す獣みたいに
影法師みたいにいつか消えるんだ
わかっているから名前を読んだ
まどろみも寝ぐせも声も知っている
なのに君にはためらいがない
そのうちに空気になると言われても
肺呼吸には欠かせないから
結婚が墓場だなんて言うのなら
きっと二人はリンドウの花
目玉焼きにソースをかける
短歌 希望01 十首
夜明け前 最も深い暗闇が
朝の卵を包み込んでる
さびしいの「さ」の字を「き」の字に
置き換えてSOSを君に伝える
泣きながら食んだうどんのしょっぱさが
明日も生きろと我を励ます
苦しみや悲しみはきっとカルーセル
巡り巡ってやがて消えてく
カーテンの青さに恐れをいだいても
私は明日を希望と呼ぼう
ループするような気がしたトンネルの
出口で君が手を振っていた
絶望を