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依存症への理解 - 今朝の「おかえりモネ」から。

 今朝(7月8日)の「おかえりモネ」。
震災の喪失感、を描いた素晴らしい回でした。
そんなわけで、久々にnoteを書いています。

特に私が心を動かされたのは
「アルコール依存症」という状態に対して
とても深い理解から描かれていたということ。

見たことのない方のために、補足しておくと
「おかえりモネ」の舞台は気仙沼。
今日は震災から5年ほど経ったある日のお話し。

震災で妻と船を失い その苦しさから
アルコール依存症になった元漁師の新次(浅野忠信)。
断酒を試みるも、再び酒に手をだす。

それは漁師を継いだ 息子から大漁の知らせが届いたから。

ずっとどん底だった気持ちに差し込む
ひとすじの光のような朗報。
息子の成長が眩しい。

でも…
その喜びを分かち合う妻はいない。

なんてことだろう。
ここで、一旦フタをしていた喪失感が一気にあふれる。
その痛みに耐えられず、酒を煽る。

---- 🍀 ---

依存症は、こころの大怪我
何かに依存することで、
ハンパない痛みをまぎわらそうとしている状態。

このドラマでいえば
妻という心の支えを失い
船の借金が残り、家という居場所を失い
漁師というアイデンティティを失った新次。
それも震災で突然に。

いわゆるトラウマです。

この強烈な喪失感。生き残ってしまった罪悪感。

そう、飲まずにやってられない。


---- 🍀 ---

そして酒を煽った新次に対する周囲の対応も素晴らしかった。

依存症に伴う行動は、周囲への影響が大きい。

周りもそれなりに振り回されるし
つらい本人を見ているのも苦しいから
「早く立ち直れ」などと元気付けたり、
時には「甘えている」叱責したりする。

ドラマのなかでは、
新次の息子の「りょーちん」がそうだった。

傷ついている父を見ているのが悲しくて耐えられない。
「一緒に歌って(大漁を)祝おう」と
立ち直ることを強烈に要求する。

けれど、依存症は心の大怪我だから
それなりの時間が必要になる。

待つこと、見守ることも、治療の大切なプロセス。

 「酒をやめて、仕事も始めて、 がんばってたじゃないか。どうしたんだ?」 「飲まずにやってられないくらいのことがあったのか?」
「今日飲んでしまったら、
明日からまた前を向く1日目を始めればいい。 そう言い続けてやりたい」 

子供の頃からの親友の耕治(内野聖陽)、
その父親で猟師の先輩(藤竜也)は責めることもなく穏やかに声を掛ける。

本人を信じて、心が癒える日を待つ。
共にいてくれる、待ってくれる。どれだけ心強いことだろう。

新次の親友の耕治や、その父龍己はそれが経験的にわかっている。
そして待つ力がある。それが大人なのだと思う。
りょーちんの痛みともどかしさも、もちろん重々承知の上で。

依存症は心の痛み止め。
依存症に必要なのはあたたかな見守り。

心の痛み、トラウマ、依存症が
ドラマという形で、それが全てもりこまれた15分間。

第8週「それでも海は」第4話
素晴らしい脚本、素晴らしい演技/演出でした。

トラウマ、依存症、心の痛みとケアについての
深い理解があったからこその脚本だなあと思いました。
安達奈緒子さん、すばらしい。

このドラマを通じて、
トラウマや依存症への暖かな理解が
広がっていることを願います。

【続きはこちら。依存症の親を持つ息子、亮のお話しです。】


依存症については、以前にこちらにも書きました。


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