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正直になれる場所をつくるのが自分の使命。堀澤元さんがココルームで働く理由。 #求人

みなさんこんにちは。ココルームの求人募集の相談をいただいた編集者兼ライターの狩野哲也が、ココルームで働く人に「なぜこの場所で働いているのか」を聞いてみました。

これを読んで、ココルームで働くことに少しでも興味をもつ人が広がればと思っています。今回はスタッフの堀澤元(ほりさわ・げん)さんに聞きます。

ーーーそもそもココルームで働くきっかけは何だったのでしょうか?

「ココルーム人材募集!」のツイートを、友だちのリツイートで知ったんです。

ーーーその当時はどこで、どんなことをされていたんですか?

僕はふらふらしていました。元々シンガーソングライターの活動していたんですが、それだけで食べていくのは厳しいな、と思って、精神科医の勉強になるために学校に通っていて。勉強自体は好きだったけれど、点数を取るための勉強になるとがぜんやる気が落ちてきて。

堀澤元さん

あと、また全然違う話なんですが自分がいろいろものを考えるときに参考にしてる好きな大学の先生がいるんですけど、そういう人たちの話を聞いたりして、また、だいぶ影響受けて、進むべき道はこっちじゃないかなと思って。

ーーーおっと、いろいろ謎の経歴ですね、じっくりお聞きしたいです。そもそもご出身はどちらですか?

名古屋ですが、東京外国語大学に入学して、それからは東京です。スペイン語を専攻していました。社会情勢とかも関心があったので、世界のあれこれに詳しくなりたいと思って。音楽では早稲田大学の黒人音楽バンドサークルに入ってました。

それでスペイン語はあまりうまくならず、大学の卒論は沖縄に関して書きました。社会的周縁、その中に置かれている状況に興味があったりして。実は正確には沖縄のメディア、沖縄返還時の琉球新報の社長をやっていた記者について書いたのです。結局、大学中は音楽をずっとやっていたんですが、就活していなくて、シンガーソングライター活動しつつ、そのあと音楽のためにニューヨークに留学したりもしていたんですけど。

ーーーニューヨークでの留学が最初におっしゃった、精神科医の勉強につながるんですか?

もともと人が好きで、いろんな人の相談を受けていたりするんですね。留学中に、初めて自殺を止めなきゃいけない状況に巻き込まれて、僕1人で対応しなきゃっとなったときに、ぐっとスイッチが入る瞬間があって。

実は医者の家系というのもあって、両親がそういうことをやってきているのは普段から聞いていたりするから、もしできるなら、そういう人の話を聞く仕事がいいかなと思って。

薬が使えた方が、より選択肢が広がるかな、ぐらいな感覚で、児童精神科医の勉強がしたくて、医学部に行くために学士編入の勉強をしていたんです。

ーーーめっちゃドラマチック! そして勉強がお好きなんですね。

カリキュラムの点数を取るための勉強は興味がないんですけど、やっぱりいろんな人の話を聞いたり、世界に対する思いとか、どういう風な構造になって僕はここにいるのかとか、そういったのを自分なりに考えるのが好きだったので、そういう意味では勉強は好きかもしれない。

医学の勉強している時に学士編入だと生命科学を勉強するんですよ。それは、めちゃくちゃ面白かったですね。それが、結構自分にとっても考え方の1つのベースにもなるかなとは思うので、そういう意味では勉強しました。

本を読むのは苦手なんですが、人の声を聞くのが好きで、東大教授の安冨歩さんという学者さんにめちゃくちゃ影響を受けました。思想家に近い人です。安冨さんが埼玉県東松山市から選挙に出るというときに、市長選の手伝いをしていました。

安冨さんが選挙で話していたのは、「全てのものに名前がついて、記号化されている世の中が息苦しい、そこに隙間を開ける」というようなことで。そういうことをしながら、「懐かしい未来をつくる」と馬を連れて街を練り歩いたり、妙ちきりんな選挙カー演説をしてたり。それがすごく楽しかった。

そこで片岡祐介さんというミュージシャンに出会うんです。片岡さんは選挙中、安冨さんの相棒のように一緒に隣にいて、音楽隊を率いてました。馬と音楽隊と一緒に選挙活動していたんです。この話は本当にワクワクする話がいっぱいあって。


ココルームのツイートを読んで、妙ちきりんだと思った。

ふたりが本当にやんちゃなんですよ。選挙に勝つためにへこへこしないし。選挙カーは無茶苦茶だし。その後、れいわ新選組から誘われて参院選にも出て、その時、実は釜ヶ崎にも来て、三角公園に馬を連れてきて演説しているんです。その時に実はかなよさん(上田假奈代・ココルームオーナー)も応援演説もされていたんです。

ーーーカオスな光景が目に浮かびます。

そんなつながりがあったんですけど、その安冨さんの音楽隊のひとりがココルームの人材募集のツイートをリツイートした人がいて。この人がリツイートしていることだから、信頼もあるし、書いてあることが妙ちきりんな感じだったので、面白いなと思ったんですね。

ーーー妙ちきりんな内容に惹かれたんですね。

そうそう。いわゆる求人情報をそれまでほとんど読んでこなかったですが、ココルームの求人は、とにかく文章が正直でわかりやすいと感じました。やること自体はほかの人に言わせると難易度の高いことが書いてあるらしいんですが、それすら僕にはよくわからなかったんです笑。

アートマネージメントって実際には全然なにかわかってなかったんですけど、アートに関わることだったら自分なりに音楽を一生懸命にやってきたのもあるし、何か活かせることはあるかと思いました。同時期に前述の片岡さんに出会って、僕の音楽観もガラガラと崩されて。別に叱られたわけではないですが、彼の音楽に対するアプローチをみて、ぜんぜん違うぞと感じて。

ココルームは思想的に安富さんや片岡さんと言っていることと共鳴する場所だと感じたし、人の感覚や感情の原初的なものをちゃんと大事にしてる。そして、法人の正式名称がNPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)じゃないですか。

ずっと心に関しても関心があったし、僕自身も音楽や人の話を聞いたりで、心が影響を受ける、心が休まる、ということに想いがあったので、何かできたらなと思っていたので。

ココルームの仕掛けはすごいなと思うし、あんまりちゃんと説明しないところも多い。 人がアートに触れるには、こうしとかないといけないことがわかって、「なんか、すごく、すごいぞ!」と思って、2021年3月にここに来て「働くことは叶いますか?」という感じで話をして、同年4月から大阪に来ています。

人と人が信じられる状態をつくるのが一番大事。

ーーー元さんの主なお仕事内容はどんなことですか?

僕がやっていることは英語が話せるのでゲストハウスの接客であったり、スタッフ管理、最近はインターンに来る人の対応とかも増えてきました。ほかのスタッフとそんなに大きな違いはありません。

ーーー今やっていることの中で、やりがいを感じていることは何ですか?

全部意味のあることだと思っているから働けているのはありますが、1番でかいのは校歌を歌うことです。僕が来る少し前に誕生したんですが、釜芸(釜ヶ崎芸術大学)の講座の中で、参加者の人たちと一緒に歌詞をつくって、音楽を作曲家の野村誠さんと一緒につくったものがあって。この校歌がやばいんですよ。

こんな歌はとにかく自分で絶対つくれないというのもあるし、摩訶不思議、奇想天外というか。

ーーーすごい人ばかり登場しますね。校歌はいろんな人と一緒に歌うのが楽しいという感じですか?

やっぱり、ココルームに人が来た時に、どういう体験をしてもらうかといえば、心の部分が広がったり花開いたりすることがあるといいなと思っているし、正直になれる場所になればいいなあと思っていて、そうするには、自分も正直に対応しながら、風通しのいい現場をつくるのが大事な使命なんですけど、その中で、自分の本当に特技、自分なりに一生懸命にやってきたことで人を驚かせられるというのが楽しいですね。

「すばらしかったね」で終わるよりは、アートってモヤモヤが残るようなことが大事だと思っていて。ここでそういうことができるのは、 大変幸せなことだなと思いますね。

ーーーなるほどです。今は実現しないけど、今後やっていきたいことはありますか? 例えば自分で場をもちたいとかはどうですか?

元々自分も場を開きたいと考えていました。でも、自分でこんな面白い場所はつくれんぞ、と思ってしまって。もちろん、かなよさんのようにはできないのは当たり前ですけどね。やっぱスピード感とか発想とか全部天才だと思いますんで。だけど、自分なりにできることはあるかもしれない。人のことを面白がるのは得意です。なのでそういうことをやりたいです。

ニューヨークから帰ってくる時ぐらいの話ですけど、そん時には、ちゃんと愛情が循環するような場所がつくりたいと考えていました。だんだん、人と人が信じられる状態をつくるのが1番大事だなと思っているんです。

居場所という話をする時に最近気づいたんですが、信頼できる誰かがいることで、はじめて正直になれるので、それが起きるような場所にしたいです。元々が社会情勢とか興味あるので、今はすごくこの場所のミクロな世界を大事にしているけど、戦争とか起こるとイライラするんですね。

ぜんぜん解決方向なんて見つからず、解決に全く向かおうとしていないですけど、 僕の中では人と人を信頼できる環境をつくる以外にはないぞと思っていて、どうやったら信頼性が生まれるのかをこのミクロな世界でやるしかないという感覚で、それをつくれたらと思っています。

人が正直になれる場所にするには自分たち次第。

ーーー今回募集したいスタッフの話になるんですけど、どんな人に来てもらいたいですか?

正直な人ですね。正直さが溢れ出てしまう人がいいな。心を正直に出すのが苦手な人もいるので、出せなくて当然だとも思うし、そういう人たちにこそ、なんか変化があるといいなと思っていたりもしています。一緒に働くとすると、そこに対する意識としては、自分が出せないのはわかっているけど、出すことは大事なんだなとは思っていてほしいかな。

結局のところ、そういう風になれるかどうかって、迎える組織次第なところもあるじゃないですか。だから僕がここにいることで、より正直な人が増えるといいなと思っているし。

ーーー最初のほうに話してくださった、ニューヨークで自殺を考えている人を止めた話ですが、今のご経験ならまたアプローチが違いそうですね。

変わります。今は死にたいとか普通のことですからね。結構いろんな人に会ってきたので、それには動じなくなりました。そういう意味ではここでギリギリ感のある人と対峙するのは僕の役目かなとは思います。

喧嘩が嫌いで、喧嘩してる人たちを見ると、 普通に止めに入っちゃうんですよ。「どうしたの?」と言って間に入っちゃう。

ーーーそれは、すごい一貫してますね。戦争嫌いと話されていたことと。

喧嘩が嫌いというのは幼少期の頃からで、そういうときに体が勝手に反応するというのは自分のいる価値のひとつかなとは思っていて。あとひとつ言えば、僕自身が人を信じやすいというのが結構強いのが大きいかなと思います。 いじめられていたこともあるのですが、なんか家族がそう育ててくれていたのかなとも思います。

結局こっちが信じないと始まらないじゃんと思っているので、そこからしか始まんないから。 まあ、比較的幸せに生きてきたから、自分からまず信じてあげなきゃダメでしょ、みたいなのがありましたね。 それは結構、武器になってるかもしれないな。

ーーーなるほど。結構自分が生かせる場所なんですね。

そう思います。やっぱね、ここへ来て、しばらくいてくれる人とか、やっぱり変化しいくので。引っ込み思案だった人がだんだんと、いろんな人と対峙する中で、やれることが増えていくとか、あいさつを自分からできるようになるとか、変わっていく場所だと思いますね。

いかがでしたか? ココルームで働くことに興味をもった方は、まずはカフェやゲストハウスにお客さんとして訪れてみてください。その上で、ココルームを運営する側として興味をもったら声をかけてください。


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現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています