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質問Qカウンセラーは相談者の話を聞いてつらくならないのか

産業カウンセラーとして活動していることを人に話すと、よく言われるのが「人のつらい話ばかり聞いて、自分がつらくならないのか」ということです。

そう言ってくる人たちは、人の相談を受けると一緒に苦しくなってしまう優しい人なのかもしれませんね。
または、私のことを大切に思い、心配してくださっているのだと思います。

お答えしますと、半分イエス、半分ノーです。

クライエントは自らの問題(悩み)を聞いてほしくて相談にきています。もっと自覚がある方は自分の問題を解決したくて相談にきてくれています。

カウンセラーは話を聴く技術により、クライエントが気づいていないことの気づきを促し、問題に立ち向かっていく時の伴走者(こころの付き添い)になっていきます。

クライエントの問題について、自分のことのように感じる時もありますし、時々、水中に飛び込んだかのように話に飲み込まれ、涙を流すこともありますが、面談が終わるとカウンセラーも自分の世界へ戻ってきます。

この「自分の世界に戻る」ということが、できるかどうかだと思いますが、きちんと訓練を受け、先人たちの知恵によりカウンセリングという形ができてきたので、それを守っていきます。

ただ、苦しい時もあって、クライエントが「変化」「変容」している時期は、カウンセラーである私も苦悩します。

人は、自分を「変えよう」とする時、「変化」する時、恐怖を感じます。人間は変化をストレスに感じる生き物だからです。

クライエントが「変化」「変容」している時、必ず「抵抗」も発生します。少なからずカウンセラーである私は、その「抵抗」を感じるので、「ここが大事な時期」というのも分かります。

一番苦しい思いをするのはクライエントなのですが、私も一緒に心が揺れます。

「私はクライエントのために力になれただろうか」
「あの言葉がよくなかったのではないか」
「余計なことをしてしまったのではないか」

「クライエントは立ち上がってこれるだろうか」
「このまま苦しいままになったらどうしよう」

こういうふうにカウンセラーが悩んだときは、ベテランカウンセラーから指導してもらえる制度があります。スーパービジョンといいますが、カウンセラーが迷った時に支えていけるよう、整備されています。(産業カウンセラー協会)
でもカウンセラーの苦しみなんか、クライエントの苦しみに比べたら軽いものです。

私は、カウンセラーの醍醐味は、人が成長していく姿を間近で見られることだと思っています。

カール・ロジャーズは「人は自らをよりよくしようとする力を持っている」と考えたそうですが、私もそう感じてきました。相談にきてくれていたクライエントが巣立つ時、変容した時、「人間ってなんて素晴らしい生き物なんだろう」と思うのです。

去っていくとき寂しい思いもしますが、爽やかな・晴れやかなお顔をみると、これからも苦難はあるかもしれないけれど、「今・ここ」では、あぁ良かったな、と思うのです。


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