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体重が不妊治療に影響する?妊娠しやすい体重とは
不妊治療で通院していたら、
先生から「もう少しダイエットしましょう」
または「もう少し体重を増やしましょう」と言われた経験はありませんか?
実は、体重が多すぎても少なすぎても不妊の原因となり、
これは女性だけでなく男性にも同じことが言えます。
今回は、妊娠に影響する体重についてご紹介します。
どれくらいの体重が妊娠に最適なの?
まず、体重を評価するのに「BMI」という数値を知っておきましょう。
BMIとBody Mass Indexの略で、
体重と身長から計算される「体の大きさ」を表す数値です。
ちなみに、骨量や脂肪・筋肉量などの体組成は反映されていません。
【BMIの計算方法】
BMI= [体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]
WHO基準では、
18.5未満 「痩せ」
18.5~25.0未満 「標準」
25~30未満 「過体重」
30以上 「肥満」
と定められています。
例えば、
身長160cmであれば、64kgでBMI 25となり、「過体重」の領域です。
45kgでBMI 17.5となり、「痩せ」の領域です。
女性にとっては理想体重でも、
健康の指標としては「痩せ」の領域になることを覚えておきましょう。
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日本肥満学会では25以上を肥満、
厚生労働省によると最も病気になりにくい体重はBMIが22とされています。
皆さんのBMIはどうでしょうか。
一番妊娠しやすいのはどれくらいのBMIか
様々な研究によって、BMIは妊娠と関係があることが分かっています。
最も妊娠しやすいのは標準体重の女性です。
中国の研究
2020年に中国で行われた研究によると、
女性の低体重、過体重、肥満、男性の低体重は、
妊娠するまでの期間が長いことと関連していたという報告があります1)。
この研究では、
標準体重の女性と過体重の男性の組み合わせが最も妊娠しやすく、
肥満の女性と低体重の男性の組み合わせが一番妊娠しにくいことが明らかになりました。
アメリカの研究
また、2016年に発表されたアメリカでの研究2)によると、
一番妊娠しやすいのはやはり標準体重の女性でした。
さらに、肥満では、
妊娠率・出生率の低下、低出生体重児・早産・流産リスクの上昇などに悪影響がありました。
一方で、低体重では、
標準体重と比べて妊娠率・出生率の低下がみられ、低出生体重児・早産のリスクの増加との関係が示唆されました。
また、別の研究では、
適性体重の人は、肥満、過体重の人に比べて、胚盤胞形成率が高いという報告もあり、全体的に卵子の質が良いと考えらえます。
これらのことから、妊娠するには太りすぎだけでなく痩せすぎているのも良くないことがわかりますね。
太りすぎで起こる問題
では、太りすぎていると何が妊娠に悪影響なのでしょうか。女性と男性それぞれに複数の理由があります。
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女性側
女性の場合、妊娠に至る前から出産後の母体と赤ちゃんにまで影響が及ぶことが分かっています。
・黄体機能不全で月経周期の乱れや排卵異常などが起こりやすい。
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)との関連性が高い。
・不妊治療を行う場合、ホルモン剤が効きにくいことがある。
・胚の質が低下し、受精率が低くなる・流産率が上がるという報告がある。
・性的コミュニケーション頻度の低下や性的機能障害が起こる。
・脂肪組織に蓄積された環境毒素が影響する。
・妊娠中の妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開、出生児の体重などに影響する可能性がある。
女性の場合、上手く排卵出来ないことが多いと単純に妊娠のチャンスが減ってしまいます。
また、胚の質が悪くて受精卵が上手く成長しない・ホルモン剤が効きにくく上手く治療のコントロールが出来ないことがあります。
妊娠出来たとしても、合併症で母子ともに健康リスクを負う可能性が高くなってしまうのです。
妊娠・出産後のことを考えても、母体とお腹の赤ちゃんの健康を損なわないために標準体重を目指すことをおすすめします。
男性側
男性が過体重・肥満の場合も多くの要素で不妊の原因となります。
・勃起不全の発生率の上昇
・射精量、精子数、運動性、量が減少する。
・精子の奇形率が上昇し、DNAが傷ついている割合が高くなる。
・精子形成を調節するホルモンレベルが変化する・
・睾丸の温度上昇
・脂肪組織に蓄積された環境毒素の影響
・酸化ストレスレベルの上昇
精子の状態が悪くなることで、
過体重・肥満の夫がいると妊娠率・出生率も低下することがわかっているのです。
こうしてみると、標準体重までダイエットすることも十分に、
不妊治療の一環と言えますよね。
一度、夫婦で食習慣や運動習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
極端なダイエットではなく、長続きする方法を選んでくださいね。
痩せすぎで起こる問題
逆に、痩せすぎではどうでしょうか。低体重の場合は女性に多くの影響があります。
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・黄体期が短くなり、ホルモンバランスが乱れるので排卵しにくくなる
・低体重児、早産のリスクが高くなる
・体力がなくなり産後の回復が遅くなる
不妊治療の成功だけでなく、
その先の出産・育児を行うためには標準体重を目指すのがベストです。
栄養相談など、専門家に相談することも出来る
「ちょっと痩せた方がよさそう」だからといって、適当に食事を抜いたりしてはいけません。
こちらの記事も参考にしていただき、
日々の食事についても少し意識してみてはどうでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1670039965459-K4XRJ9RR1z.jpg?width=1200)
最近は栄養相談外来を設置している不妊治療のクリニックも出てきました。もしも身近に利用しやすいところがあったら、ぜひ活用しましょう。
まとめ
体重が不妊治療に与える影響をご紹介しました。妊娠に理想的なBMIは22くらいです。
これよりも高すぎる・低すぎる場合は不妊の原因になり、治療にも影響する可能性があります。男女ともに太りすぎは卵子・精子の質に悪影響を与えて妊娠率は低下します。
逆に、痩せすぎもホルモンバランスが乱れやすくなるため悪影響です。
不妊治療をきっかけに自分の体重を振り返って、夫婦で生活習慣の見直しを始めてみませんか?出来ることから始めて、妊娠しやすい身体づくりに取り組みましょう。
参考URL
1) Zhang M.P.H. et al.,Fertil Steril 2020, doi: 10.1016/j.fertnstert.2020.05.041
2) Jennifer F. Kawwass et al., Fertil Steril 2016,doi:10.1016/j.fertnstert.2016.08.028
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