20201115 COCONI設立フォーラム 「すべての子どもたちが一歩先への希望が持てる社会へ」
COCONIは2020年7月にNPO法人としてスタートを切りました。
2020年11月に設立フォーラムを開催しました。本来であれば、ご関心を持っていただける方みなさんに参加していただく形で実施する予定でしたが、コロナウイルスの状況が改善されないため、今回はクローズドで実施ししました。
学校 NPO 地域 などの連携の事例報告~学校内居場所からの報告「子どもたちの声」から
【スピーカー】NPO法人FAIRROAD 代表 阪上由香
NPOとして子ども若者の課題に関わる意義
NPOは、人を集め 関係者を増やし 社会関係資本をつなげ 貢献のパワーを動かして、社会課題について代弁しサポートする組織。社会課題の解決は行政も企業もしている。「価値創造」ではなくて「役割創造」。関係者一人ひとりの価値と選択の自由をベースに合意形成していくこと(指標の議論)が活動のコア。「サービス提供」的な協働の誘惑や行政の補完を安く請け負うに組織になっていけない。「すべてのこどもたちが一歩先への希望を持てる社会」を目指すためには「NPO」の力が必要。
「校内居場所」元利用者に聞いてみました
COCONIの主たる活動の一つである進路選びについて、子どもたちの声を集めました。
●高校選びの決め手
学力…9件
学校の授業内容・特徴…8件
親・兄弟姉妹…7件(兄弟姉妹1件)
距離…5件(近いから:4件 遠いから:1件)
制服…4件
部活…3件
先輩・友人…3件
進学費用(公立で近いところ)…3件
先生…2件
校則(ゆるい) …2件
「学力」がやはり1位。その内、「学力のある高校」へ進学した人は「高校卒業後」を見据えて、通学圏内で上位の高校を選択している。高校の特徴=仕事にしたいことではなかった。
「学びなおしの高校」へ進学した人は、「学力」で高校を選択していて、進学した高校=行きたかった高校だったとはいえないとのことだった。
学力が積める家庭環境や経済状況ではない家庭が多く、卒業生17名中15名が就職している。高校見学や体験授業にもっと行きたかったという振り返りとワンセットであがった。
「エンパワメントと総合学科」の卒業生は授業内容・特徴と回答しており
高校の特徴を意識して高校進学した人は学力の低さもポジティブに捉えており、在学中も楽しそうに過ごしていたように思う。
●高校を選ぶために充実してほしいこと
高校見学・授業体験の充実…11件
先輩と高校教員の声・対話の場…5件
対話(相談)の場…4件
卒業後の進路情報…4件
進学費用の情報…2件
卒業生の話(自分の中学の)…1件
「高校見学・授業体験の充実」と半数以上が回答している。
「先輩と高校教員の声・対話の場」もそこに含まれるものとすると全員が挙げている。ネットや情報誌での情報の充実では無く、自分で実際に見聞きする場が必要とされていることがわかる。
「そもそも学校に行かせてるだけでお金がかかるから苛立たれる進路のはなし。高校見学だって自由参加って言われたら行きにくい。自分から進路関係の話を切り出すのが怖い人結構おると思うで。高校の情報や進学費用の情報を家の人にもっとはやくしっかり伝えてあげてほしい。高校見学も義務にしてあげてほしい」と、家庭環境に余裕がなかった卒業生からこれからの進路選択の見直しを求める声もあがった。
「こどもとおとなが出会う場」
現在NPO法人FAIRROADは高校3校・中学2校で「校内居場所(カフェ)事業」を運営している。
「進路選択」に限らず何かを選択するときには「自分の価値基準」が必要。服を買う時、家を買う時、職業を選ぶ時、高校を選ぶ時、自分の価値基準がどれだけはっきりと見えるようになるかがその後を大きく左右する。
「自分の価値基準」は「体験・経験・そこに紐づいた感情」によって作られていく。生きづらさを抱える子ども若者たちは、「他者(親や先生)の機嫌や顔色をうかがったり、価値観の押しつけ」の中で育っていることが多く、フェアな関係が成立しない場では他人の価値基準で選択してしまう。価値観は「自分の価値基準で判断すること」を重ねないと得られない。その「自分の価値基準」で判断したり考える場が、「こどもとおとなが出会う場」でもあることは、世代を超えた多様な価値とのフェアな出会いによって得られる子ども若者の利益はもちろん、そこに関わるおとなたちと社会へ声を届けることができる。
「支援者がつながる場」
「支援」という言葉が先立つほど「支援される側」と「支援する側」となり、フェアな関係が保たれなくなるので、そもそも「支援者」という意識を捨てなければならないかもしれない。
「支援している」から、同じ力の分だけ応えてほしい、変わってほしい。
支援後の理想と現実のギャップに対する苛立ちと焦りが子ども若者にのしかかる。生きやすい幸せな生活を当事者が送るために「支援者」は全力を尽くすが、結局なにが幸せかは本人しかわからない。当事者の価値基準に耳を傾ける柔軟さを持つためにも、「支援」と「支援者」も孤立してはならない。
彼らがこれからの社会で生きていくためには、「開かれた関わり(支援)」の中に当事者も支援者もいる必要がある。「当事者の生きやすい幸せな生活」という同じ目的を持つ支援者同士がそれぞれの活動とそのエピソードを分かち合う場を持つことが、その一歩でなはないだろうか。その繰り返しが「こどもとおとなが出会う場」をシンボル化させ、支援者も幸せにするはず。
「アドボカシーに必要なこと」
当事者の声を聞き、支援者同士のつながりをつくる。そこに集うひとたちの声をもとにアドボカシーやロビー活動を行っていくこともNPOの役割のひとつ。
アドボカシーは3者以上で、自分(自団体)の意見を優先しないフェアな関係であることが必要。行政や地域に過剰な信頼と期待をすることはフェアではない。私自身それをしてしまって本当にうまくいかなかった。フェアな関係の中で、困っている状況を知らせ、自分の役割とできることを共有する。
自分と他者の貢献できることと役割を明確に理解することがアドボカシーとロビー活動の基本。これが見えてこれば「他力本願」でポジティブにそれぞれが動き出す。「こどもとおとなが出会う場」と「支援者がつながる場」 を作って、そこでの困りごとや声をアドボカシー・ロビー活動へとつなげていく。進路選択というキーワードでこれらを行っていきたい。
(以上 講演内容より)
すべての子どもたちが一歩先への希望が持てる社会へ
「居場所」がある中学校、高校に集まる子どもたちは、「この先」に不安を抱えつつ、「進路選択」については、大人たちの助言と自分自身の思いが錯綜する。そんな子供たちに寄り添いながら日々接する阪上さんの講演は、様々な立場で何ができるのかを考える時間となりました。
COCONIは、様々な立場、役割の方々と子どもたちが幸せに生きるための主体的な進路選択支援を活動の軸にしていきたいと思っています。
(NPO法人COCONI理事 おかもと)