フランスから日本へ。役割に縛られないクリエイティブな仕事に挑戦するエンジニアへインタビュー
こんにちは。note編集部の留置です。
今回は新規オンラインゲーム事業のクライアント開発を担当するミカエルさんにインタビューさせていただきました。
ゲームプレイヤーから開発者になるまで、大学時代やフランス・日本での暮らしや仕事、様々な体験が結びついて今がある、と話したミカエルさん。
その経験や、現在の活動・今後の挑戦についてお届けします。
振り返ると、目標までの道は一つでも、真っ直ぐでもない。
自分でも型破りなキャリアだと思います。
高校卒業後、学校と企業が一緒になって生徒を育成する「デュアルシステム」という新しい職業教育制度を利用して大学に入学しました。
デュアルシステムは国が提供している制度で、無料で大学に通いながら、同時に企業に所属して正社員として働くことで、学業と実務を一緒に経験できるんです。
大学入学と同時に就職先を探さなければならないのでそれは大変でしたが、本当に良い制度でした。
在学中はWeb開発を学んでいましたが、初めてゲームジャムに参加したことがゲーム開発者になろうと思ったきっかけになりました。
ゲームジャムは、クリエイターが集まって短時間でゲームを制作するイベントで、その場で作られたゲームをプレイヤーが楽しんでいる姿を見れるのがとても楽しかったんです。
そこでずっとプレイヤーとしてゲームを楽しんでいた私にも「ゲームをつくりたい!」という思いが生まれ、大学最後の2年間はゲーム開発を学んできました。
今までの経験を振り返ると、キャリアパスをあまり気にしないことも大切かと思います。
私自身、開発とは全然関係ない体験から学んだことはとても多いです。
Web開発の経験からは仕事の基礎などを学びましたが、日本でのワーキングホリデーでの土方仕事やうどん屋でのバイトは、一見関係がなさそうに見えますがチームワークの大切さを学びました。
どんな職場でも一人きりでは働けません。同僚を信頼できなかったり、逆に信頼されなければ仕事をすることは難しいです。
初心者でも心から頑張る意欲があれば、先輩から成長できる機会を貰えることもありますし、仕事が辛くてもチーム皆で汗をかいて、仕事の後に一緒にお祝いすることができるんです。一番大切なことは、開発者のキャリアだけを考えていたら出会えなかった体験かもしれません。
やりたいことを何でも試してみることが大事だと思います。
楽しんで何かをやり続ければ、自分自身は気づかないうちに、必ず目標であったものを手に入れられることを信じています。
目標までの道は一つだけではないですし、真っ直ぐでもない。
もし途中で迷ったとしても、ゆくゆくは体験が繋がって、夢は叶うものだと思います。
文化・業界を見て感じた「ゲームを作るなら日本だ」
昔から日本とフランスの外交や文化の関係は強いです。
1980年代からフランスでも日本のアニメがテレビで放送されるようになり、日本の家庭用ゲームも普及していき、現在の若い世代は日常的に日本のカルチャーを楽しんでいます。
私も日本のアニメやゲームが大好きで、日本に行ってみたいという思いがありました。
最初は日本で暮らすかは決めていなかったのですが、1年間お試しでワーキングホリデーを利用して日本で暮らしました。
それからフランスに帰国して働いてみて、カナダも含めて就活を考えましたが、日本ほどゲーム会社は多くはありませんでした。
やはりゲームを作るのであれば、会社もクリエイターも多い日本が良い。チャンスがあるのは日本だと思いました。
私が一番好きな日本とフランスの違いは、日本では個人のクリエイターが応援される風潮があることです。
個人であっても、イラストやインディゲームのクリエーターがSNSやコミケ等を通じて直接多くの人に自分の創作したものを届けています。
そんなクリエイティブな人が多い国だからこそ、会社でチームとして創作すれば、もっとすごい作品を作れるのだと思っていました。
cocone vに入社したのは、もちろん面白いゲームタイトルを制作している会社であるのも魅力でしたが、その土台として仕事環境、支援制度、オンボーディングが決め手になったと思います。
転職するのはドキドキしますし、ましてや外国に引っ越すのだから自分にピッタリな会社を選ぶことはとても重要でした。
私はウェブ業界から念願のゲーム業界への転職で少し緊張していましたが、オンボーディングのおかげで安心して環境に慣れることができました。
意外と、cocone vはフランスのIT系会社に似てると思います。たとえばチーム内では、誰でもアイデアを共有できますし、皆それぞれの個性を活かして自由に働くことでユニークなチームができていると思います。日本の会社ではあるものの、なんだか西洋的な考え方を持っていて、必要な変化を恐れない。安心して新しい挑戦に向かえる風土があると思います。
個人制作にはない、チームでゲームを制作をする楽しさ
入社すぐに行ったのは、UIの観点での研究開発です。
パフォーマンス改善ために複数の画像がどのように圧縮・ロードされれば良いか、またデザイナーの方が使っているツールがより便利に活用できるように一緒に調査して改善を提案しました。
個人的に0からゲーム制作を行っていたので、企画・デザイン・開発などの工程を一通り経験してきたので、開発者であってもUIの領域にも提案できることはどんどん行っています。
ゲーム開発の技術に変化が少ないない中、パソコンやモバイルでの技術がものすごい速さで進化して、新しい可能性が現れています。その一方で、新しい問題が発生することもあります。ゲーム開発も、技術や業界の変化について行かなければならないと思います。
新規ゲームタイトルの制作チームの開発者として入社して数ヶ月経ちましたが、自分自身でも成長を感じています。
ゲームの正しい開発方法や、新規コンテンツはどのように考えて、どのように決断していき、実装されるのか。開発者として、一人では学べられないことを沢山体験しました。
ピンチの時にも新しい答えを求める時にも、同僚と一緒に進むために「共感」が必要です。何よりもチームワークが大切で、それはcocone vの自由な風土があるからこそ生まれるものだと感じました。
役割に縛られないクリエイティブな仕事に挑戦
まずは漢字をもっと読めるように(笑)日本語の勉強は永遠に続けると思います。
開発者ではありますが、ゲーム制作の工程一つ一つにおいてプロフェッショナルになりたいと思います。
今まで個人でも大学でもゲームを制作してきましたが、チームの規模は小さかったので、一人で複数の役割を担当してきました。開発以外にも、音楽、SFX、UIデザイン、3Dモデル、イラスト...そのおかげで開発者でもゲームを作る様々な役割の仕事を体験してきました。
そして今、会社はそれぞれがそれぞれの役割を担当していますが、幅広い知識があれば、役割が違ってもチームメンバーとの協力がよりスムーズになると感じました。
だからこそ今までも、これからも、開発者として色々な役割の業務に触れてみるのは大事だと思います。
ゲーム制作においては開発の工程が大好きですが、プレイヤーが楽しめる企画を考えたり、ゲームの体験を生むUIデザインを設計したり、役割に縛られないクリエイティブな仕事をしていきたいと思います。
自分が制作に関与したゲームがプレイヤーを笑顔にすること、それが一番のモチベーションだと思います。
ゲームのソースコードはプレイヤーに見えるものではありませんが、「遊ぶ」という体験に影響を強く与えるものです。ソースコードがゲームの質を上げることを考えると、開発者もゲームの成功への責任が大きいと思います。そう思いながら、日々新規ゲーム制作に挑戦しています。