見出し画像

シエラレオネ訪問記2 -現地の国際機関でのインターン体験。思いもしなかったチャンス-

シエラレオネを訪れ、国際機関でのインターンシップ経験について紹介します。以前の私は国連機関で働くには厳しい選考が必要だと思っていたのですが、実際には異なる道もあることを知りました。現地の国際機関で働くことになり、その経験を公開しています。国際機関に興味がある方や国連職員についてのイメージを持つ方にとって興味深い内容となっていると思います。国際機関でのインターンシップや将来の可能性について考えるきっかけになるかもしれません。


以前の私は、インターンとはいえ国連機関で働くには、倍率の高い書類選考を突破して、何回かの面接を突破してやっと機会を得られると思っていました。
実際は違う道もあったよというお話しです。インターンをした期間の代表によると、これまで欧米人の学生をこの方法で採用したことはあるけどアジア人は初めてだったそうです。国際機関について興味ある方や働きたい方の参考になれば幸いです。

日本人が訪ねてきたのは初めてだった?!


フィールドトリップで国際機関を訪問する中でUN Womenを訪問する機会がありました。UN Womenでスタッフにお時間をいただき、自己紹介をさせて頂いたとき、
「これまで約10年間民間企業でサプライチェーンマネージメントに携わって参りました。現在は大学で政治学を勉強しています。これまでの経験を活かし自分のできることで貢献をしたいです」ということをお話ししたと思います。たった1分にも満たない自己紹介をした時、UN Womenの代表(以下リーダー)に「サプライチェーンのキャリアがあって今学生ならインターンをすればいいじゃない?」と声をかけてもらったのです。

えっ、こんなことあるの?!と私は突然の提案にとてもびっくりしたけど、とても嬉しく、少し考えた後、フィールドトリップ後、2週間現地滞在を延長しインターンをさせてもらうことにしました。

リーダーによると、日本人のインターン生を採用するのは初めてだし、そもそも現地の期間に日本人が訪ねてきたのは初めてだったそう。欧米人の学生はどこからかメールアドレスを入手しコンタクトをしてきたり、直接訪問をし売り込みにくることがあり、それが採用につながることもあるようです。


体調を崩したインターン生のためにリーダーが


インターンをすることを決めた後、私は体調を崩してしまい、フィールドトリップの最終日に行くはずだった、大学訪問に参加することができず、ホテルで休むことにしました。リーダーはフィールドトリップに参加しないのなら、その日からインターンをすればいいんじゃないと、わざわざホテルまで会いに来てくれました。でもだんだん具合が悪くなっているようなので明日からでお願いしますとお伝えし、お別れのハグをした時、
あなた熱があるから病院に行った方がいいと、クリニックに連れて行ってくれました。

クリニックで検査をしてもらい、ドクターに診断してもらったところ、4種類の感染症にかかっていたということで、抗生物質とお薬を処方してもらい、ホテルに帰る。ホテルのオーナーがとっても優しい方で、ご飯を作ってあげるから何でも食べたいものを言ってごらんと聞いてくれたので、消化のよいものをリクエストして、サービスしてくれた食事を1日以上かけて食べました。そして、リーダーがもってきてくれたココナツジュース、処方してもらったお薬のおかげもあり、次の日の午後にはだいぶよくなりました。

まだ出会って数日のインターン生のためにリーダーは病院に連れて行ってくれて、懇親的に面倒を見てくれました。御礼を言うと、私は全てのスタッフの責任を持つのだから当たり前だとおっしゃってくれました。彼女のリーダーシップには学ぶことがたくさんありました。

 

UN Womenのワークショップに参加


体調がだいぶ良くなった日の午後からUN Womenの活動に合流しました。
当時、UN Womenでは職を持たない女性のための職業訓練ワークショップを開催しており、シエラレオネの色んな所から集まった女性約30名にシャンプーや、固形石鹸、ボディーソープを作るトレーニングをしていました。
ワークショップ会場のYMCAでセネガル人のコンサルタント指導の元、
皆で一生懸命に製品を作ったのでした。

製品を作ったのは一週間くらいでしたが、その間に日本との違いをいくつか発見しました。まず、皆さん色んな事が初めてだったということ。
日本では学校で工作や家庭科の授業があり、また、家庭でもごみは集めて捨てるということが一般的だと思います。でもシエラレオネではそのような習慣がないらしく、使ったティッシュなどがポイポイあちらこちらに投げられている状態でした。ケニア人のUN Womenの代表は、まず私たちが見せて教えてあげるのよと言ってゴミを拾いはじめ、最初は二人でごみを拾っている状態でしたが、日を追うごとに皆でするようになり、ワークショップ会場もきれいになっていきました。

また、計りの使い方、道具の使い方も最初は分からないから時間がかかっていけども、慣れるごとにどんどんスムーズになり、作業も後片付けも早くなりました。そう、ただ色んなことを知らないだけで、体験することでできるようになるのです。

皆が集めた石鹸の材料となった現地の葉
皆で作った石鹸。そして、女性の衣服がカラフルできれいでした。

ワークショップで皆で作った石鹸たちを皆で考えたラベルでラッピングをしてお披露目会でお披露目をし、最後に一人一つ持って帰り今回のワークショップは終わりました。私は滞在できる期間が2週間と限られていたので、販売するところまでできなかったこと、そして、サプライチェーンマネージメントができなかったのは残念でしたが、現地の女性やスタッフとたくさん意見交換をし、現地の状況やUN Women シエラレオネの活動内容を理解できたことが大きな収穫でした。許可を取るすべがないため写真や動画を載せられなくて残念なのですが、皆さんとってもいい笑顔でものづくりに励んでいたのが何よりでした。

ワークショップで作った石鹸たち
ワークショップで作った石鹸・ボディソープ、クリーム

 

現地国際機関の活動と組織について


シエラレオネ国内の産業はごく限られています。食糧や機器を輸入に頼っている状態であるため、国際機関においても農業を支援して自給できるように活動しておりました。

UN Womenシエラレオネで当時行われていた主な活動内容は、女性への職業訓練、農業支援、女性への暴力廃絶に向けて、女性政治家を増やすための活動、FGM(Female genital mutilation/女性器切除)廃絶に向けてコミュニティの有権者と話し合う、選挙における暴力廃絶への取り組み、等です。当時のUN Womenは、欧米の大学で博士号を取得し、NGOでキャリアをスタートし、アフリカの国際機関でキャリアを育まれたケニア人の代表と、現地スタッフ約10名、アフリカの他国から来られたUN Volunteerスタッフ1名という構成で、経験豊富な代表が若いスタッフを率いている構図でした。

 

フィールドトリップ、インターンを経験し


私はインターン中にワークショップに参加をし、そして国連職員や外務省の方とお話しするという貴重な機会をいただきました。シエラレオネ訪問前の私は、"国際機関の役割とは"であるとか、"政治的にで何ができるか"、とかそういったことを考えており、そのようなことを学びたかったように思います。実際にシエラレオネを訪問し、国際機関の活動を学んだ上で考えたことは、まずはこの国にはビジネスを増やして収入を得ることが必要であるのではないか、そして、私のバックグラウンドがサプライチェーンマネージメントであるため、サプライチェーンについて考えると、シエラレオネでサプライチェーンをより良くするためには、インフラを整えることが必要であるのですが、そのためにもまずはビジネスをもっともっと立ち上げて収入減を増やすことが重要で、それは現地の方によってなされて国の発展につながるのではないかと考えます。今の時点でビジネスが少ないということは将来の可能性がたくさんあると思うのです。

子どもの頃から国際関係に興味があった私は、社会人を10年以上経験し、約8年前に仕事をしながら法学部政治学科で大学の勉強を始めました。法学はコンプライアンスの面でサプライチェーンに役立つと思ってましたが、政治とサプライチェーンは少し遠い存在だと思ってました。ですが、セミナーで国際機関について学び、シエラレオネでのフィールドトリップ、そしてインターンを経験し、昨年大学を卒業し、改めて自分がこれから何をしていきたいか考えると、自分の強みを生かして社会貢献がしたい、皆にとってWIN-WINでHappyな時代にあったより良いサプライチェーンを作ることで、顧客、ステークホルダー、関係者全員に貢献をし、直接的、間接的にたくさんの人に喜んでもらえる社会に貢献をしたいと考えるようになりました。

国連職員の魅力

皆さんは国連職員に対してどのようなイメージをお持ちですか?
私は以前はとにかく頭が良くて語学堪能で自分には少し遠い存在のように思っていました。

実際に、国際機関の代表、日本人職員、現地職員、UNボランティア職員、様々な方にお会いしてお話しして感じたことは、皆さんそれぞれに使命とミッションを持って取り組んでおり、個性溢れる情熱的な方達でした。

皆さんそれぞれにアカデミックのバックグラウンドはお持ちです。中には働きながら大学院を卒業された方もいらっしゃいます。何カ国もの語学を駆使する方もいらっしゃいます。それは皆さんの使命感や課題から努力を続けてこられたのだと思います。

身近にいないから遠い存在であった国連職員でしたが、実際にお会いし、お話ししてみると、心温かい、人間味あふれる、世界を良くしたいと活動を続ける素敵な方たちでした。

 
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?