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Chapter 1 霊性の目的 2『霊力』と『魂』

2.『霊力』と『魂』


 今回は、『霊力』と『魂』の関係についてお話していきましょう。

 『霊』とは、もともと

「非常にすぐれた性質や超人的な力能をもつ不思議な性質、天賦の聡明さ」

 といった意味の漢語が由来とされています。

ですから、『霊』という文字は予め『越える』という意味を含んでおり、前回お話した三つの『霊長』の『能力』はそれを既に示しているといえます。

『霊力』とは何か、はじめに一般的な解釈をしておきましょう。

『霊視』や『霊障』の観察などを指す場合にも使われますし、あるいは、チャネリングなどもその一つです。

そして私たちは、『霊力』をただ心霊的な能力として扱い、『霊能力』や精神的な『超能力』を扱う者を『霊能者』としてとらえる習慣があります。

また、言葉の由来から申し上げれば、前回お示ししたように、人間的『霊性』として掲げた、『言葉』や『共感』や『自覚』、それに伴う『良心』の芽生えもすべて一般的な動物を超越する特殊な『霊力』です。

この『超越』する、あるいは『超える』という意味合いは、一般的に動物にはない『能力』とお考えいただくとよいでしょう。

一方で、動物にも『共感』や『自覚』あるいは『言葉』を理解する能力はあるとお考えの方もいらっしゃるでしょう。

私も幼少期から成人を過ぎるまで家族として愛猫と暮らしていたので、そのことも十分理解しています。

動物病院の先生にも22年生きた猫はいないといわれました。人間の寿命換算表にも年齢が載っていないので、大まかに120歳といったところでしょうか。

いつも父親の昼寝の時間には、胸元に乗り気持ちよさそうに一緒に昼寝をしていました。

最終的に歯垢と歯石が原因で食餌が取れなくなり動物病院で息を引き取ったのですが、その時間もちょうど父親は昼寝をしており、「耳元で(猫の)鳴き声がした」といっていたのが印象的でした。

これは、私の経験した事実です。きっと最後のお別れに来てくれたのだと感じました。しかし、それは私の主観的な感情による解釈に過ぎません。

こうした動物たちの伝えようとする何らかの『力』が「魂」と呼応しあう『共感力』や『言葉』を越えた何かに関係することは間違いないと思います。

それを『霊魂』の世界と申し上げても差し障りはないのですが、人間の『霊性』には、このような動物とは一線を画す、というより全く異なる『霊力』が備わっていると私は考えています。

それは、これからお話することになると思いますが、様々な『霊』が人間の『精神』や『理念』という、いわば『念』を通して通じ合う『力』があるためで、この『力』を底支えしている『霊力』というものが、私たち人間には備わっているのだということなのです。


結果として『霊性』の『霊』は、動物を越える類まれなる『能力』として表現され、もっと端的に表現すれば、『能』という一文字に相当すると考えています。

つまり、『霊』は、

『霊』=『能』

ということができます。

そして、『霊力』とは、『霊性』の基本となる『霊』の『底力』であり、それはおよそ『魂』と言い換えても良いでしょう。ですから『魂』を端的に表現すると、

『魂』=『(底)力』

ということです。

ですから『霊』の『力』は、『能力』と言い換えることもできますし、『霊魂』と表現してもよいのです。

『霊力』=『能力』= 『霊魂』

この公式『霊』が『能』を示すことを説明しています。

まとめますと、『霊力』とは『霊』が何かを行うための大本、『底力』であり、それは基本的に『魂』の領域に潜む力を意味しているとお考え下さい。

そして『霊力』には技能的な一面もあり、個人差があります。当然のことながら、『霊能』という意味は、『霊』という『能力』をもつことにさらに長けた存在であることを強調している言葉であることがご理解いただけたと思います。

「芸能」という言葉も、単なる「芸」ではなく、「芸」に秀でた者に付与される名称ですね。『霊能』もそれと同じです。

ただ、『霊視』や『霊聴』など、いわば超能力とされているものだけが『霊能』ではなく、普段から接している『言葉』や『共感』、『自覚』といった、いわばそうした一つの「芸」の中に、『霊長』としての『霊力』が潜んでいるということです。

これらを、『身』に馴染ませ、親しみをもって使う、仏教的には薫習(くんじゅう)していく、その基本的な姿勢が『霊力』を育てていくと言えるでしょう。

また、こうした『能力』は、当然、精神的側面や集合的心理背景でも変化していくものです。

この辺りの構造的なことにつきましては、後半から順次ご説明して参ります。

次回は、言葉の力についてお話して参ります。

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