Chapter 1 霊性の目的 3『言葉』の力
3. 『言葉』の力
① 動物の言葉
『霊性』の『能力』ということで、『霊力』のお話をしていますが、人間の能力として最たるものはやはり、『言葉』を話すということでしょう。
話すことにより、それが『言霊』として『伝わる』ことが何よりも大切な仕組みであると思います。
『言葉』あるいは『言語』を使って伝達するという能力は、他の動物にはあまり認められません。あまり、というのは、最近の『イルカ』の生態について研究があるからです。実はイルカたちは集団や個々の行動に際し、ある種のサインで伝達しあっていることが分かってきました。
実際に音声で識別しておりお互いに名前で呼び合っている事実も確認されています。
また、渡り鳥が編隊を組んで飛ぶ場合、その群れにしか分からないサインを使ってお互いが呼び合っていることも分かっています。
このように人間以外でも言葉やある種のサインで伝達している生物もおりますが、私たちが普段生活する中で様々な確認事項としての時間や場所、催し物の内容など、これも確実性を以て認識するために言葉の存在がなくてはならないものでしょう。
もしかしたら、ここで紹介したイルカのように、生態の精妙な世界を私たちが知らないだけで、その他にも第六感などの直感能力があるかもしれません。
そして、イルカのような研究的事実とは別に、私たちの内なる世界にもある種の精妙な世界があることを、今回の「『霊性』の彼方へ」で確認していくことになりす。
それは、この歴史上生み出されてきた様々なアイデアや想念、理念や概念などと、私たちが住むこの生活環境自体が「どのように呼応しているのか」という「創造の段階的構築の仕組み」を見出していくことであると考えています。
例えば、一つの物が出来上がる段階を考えてみてもよいでしょう。それには、その物が生み出された背景として、いったい何が原因となっているのかを注意深く推測していくような作業が必要になってきます。
そこで、これら「創造の段階」における言葉の持つ性質や特性を考えていくことにいたしましう。
② 基本的な言語活動の枠組み
「国民の道徳」(西部邁 著)三章、道徳における言語活動の大切さ(p241)に言語活動の枠組みが記されているので、それを参考にしながら解説をして参りましょう。
著者は、言語活動は「人間の本性」であるとして、図のような「言葉の意味」の多面的な構造と機能を説明しています。
言葉は差異化し、またそれを統合、合一化させる働きもっていますし、意味を明確にする顕在化の方向と同時に、不鮮明になる潜在化という働きも持ち合わせています。
ここにT.E.A.M、それぞれ尺度、伝達、表現、蓄積という四つの働きが示されています。
この想定は記号学や言語学の常識に基づいているものなのですが、よくご覧いただければお分かりいただけるように、これは私たち社会活動の縮図にもなっています。
詳細な説明については、本書をお読みいただきたいのですが、ポイントは、同一化と差異化の軸と、潜在化と顕在化の軸に注目していただけると良いでしょう。
すなわち、言語活動では、一面で私の発する言葉を自分流に「差異化」すると同時に、公の他者たちとの間で意味を「同一化」させると捉えています。
また、一方、自分の言葉が、意味をありありと「顕在化」させると同時に、その奥底にそれにかかわる様々な意味を「潜在化」させるとも想定されているという具合です。
これがなぜ、社会活動の縮図であるかといえば、私たちの社会活動は、人間関係を主体とするものだからです。
人間関係とはすなわち、社会交流であり社会活動はコミニュケーションそのものです。そこには必ず会話があります。
言葉の仕組みを考えてみれば当然ですが、この図が示す『上と下』、『右と左』によって分けられた4つの象限が、興味深いことに『霊性』の重要な側面を担っているのです。個々人と集団、そして内面と外面の領域です。
ここから先の詳しい構造については、シリーズ後半でお話をすることに致しましょう。
次回は、霊性の目的についてお話して参ります。
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