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『霊性の彼方へ』ーこころ此処にー

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『霊性』とは何か。幾何学的な物差しを提示しながら古くて新しい『霊性』の解説を試みていきます。『霊性』の本当の意図とは何か。最終的に私たちの望む方向性を示します。
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『霊性の彼方へ』 プロローグ

プロローグ これから、 『霊性』についてお話をして参ります。 いよいよ満を持して 『霊性』について お話することになりました。 『霊性』を理解するガイドとして、 お読みいただければ幸いです。  『霊性』とは何か。 そう問われた時に、 私自身も言葉で語ることは 極めて難しいと感じています。 そこで次のような試みをして参ります。 1)幾何学的解釈の実践  このシリーズでは、『霊性』を言葉で説明する代わり幾何学的に解釈をします。これらの解釈には『こころの立体モデル©』を利

Chapter 1 霊性の目的1『霊長』と人間性

・・・21世紀・・・ その1/5が過ぎた これから どう生きるか そんな問いかけを 解き明かすために 『霊性』に挑む スピリチュアル ブームと揶揄される 『霊性』領域だが いつも 『霊性』とは? スピリチュアルって? …そんな感覚がある それでも世界は 『霊』や『魂』の存在を 否定はしない アートのサブカルチャー領域から 人文科学、社会、経済、システム科学 倫理、医療を含むアカデミズム領域まで とにかく幅広い分野に関与する霊性 それをこれから紐解いていこうと思

Chapter 1 霊性の目的 2『霊力』と『魂』

2.『霊力』と『魂』  今回は、『霊力』と『魂』の関係についてお話していきましょう。  『霊』とは、もともと 「非常にすぐれた性質や超人的な力能をもつ不思議な性質、天賦の聡明さ」  といった意味の漢語が由来とされています。 ですから、『霊』という文字は予め『越える』という意味を含んでおり、前回お話した三つの『霊長』の『能力』はそれを既に示しているといえます。 『霊力』とは何か、はじめに一般的な解釈をしておきましょう。 『霊視』や『霊障』の観察などを指す場合にも使わ

Chapter 1 霊性の目的 3『言葉』の力

3. 『言葉』の力① 動物の言葉 『霊性』の『能力』ということで、『霊力』のお話をしていますが、人間の能力として最たるものはやはり、『言葉』を話すということでしょう。 話すことにより、それが『言霊』として『伝わる』ことが何よりも大切な仕組みであると思います。 『言葉』あるいは『言語』を使って伝達するという能力は、他の動物にはあまり認められません。あまり、というのは、最近の『イルカ』の生態について研究があるからです。実はイルカたちは集団や個々の行動に際し、ある種のサインで

Chapter 1 霊性の目的4『霊性』の目的

4.『霊性』の目的①『霊性』開示の目的  今回で、Chapter 1 は終了になります。 霊性の目的とは、最終的にどのような役割があるのか。今回の前半初めのセクションで確認しておきたいと思います。 今回、『霊性』を開示する目的の一つとして『言葉』に関するお話をして参りましたが、ここでもう一つ重要なお話しておかなければなりません。 今まで『言葉自体』が『霊力』を持ち、『霊性』を担うものというお話をしてきました。 お話を進めていく中で、すぐに明らかになるので、お気づきの方

Chapter 2 霊性の意義 1霊性と健康の定義

Chapter 2 では、『霊性』の意義について、いくつかの学問的視点からお話を進めていくことに致します。 『意義』というとなんだか固い言葉ですが、簡単には、『霊性』の「意味」と「定義」についてお話をするということです。 はじめに「健康の定義」について、WHOの健康憲章を提示してお話をしたいと思います。 これからご説明するように、健康憲章には精神領域のmentalという語彙と、今回のシリーズ『霊性』に関与する、spiritualの二つの語彙が提唱されています。これらのも

Chapter 2 霊性の意義 2霊を支える四領域

2. 霊を支える四領域① spiritual は果たして『霊』か?前回 Chapter 1 では、『霊』を支える『底力』が『魂』であるとご説明しました。『霊』を支える『魂』を分かりやすく英語表記で四つの領域として示すことができます。 ① mental ② physical ③ emotional ④ spiritual の四つです。 当然、mentalは精神を主体とする『魂』の領域を表現していますし、physicalは身体を主体とした領域、emotionalは情

Chapter 2 霊性の意義 3 こころと『魂』

3.こころと『魂』 ① こころを生かす「‐al」の『力』ここで、「マインド」の構造にまつわる基本的な三つの側面をご紹介しておきましょう。 『魂』の領域は、エネルギーチャージを行う基本的な仕組みがあることは首尾一貫しており、それは、<あたま>、[からだ]、(こころ)の三つを機能させるためのベースになることは間違いないと考えています。 このようなことを勘案しながら、もう一度、四つの「‐al」を見て参りましょう。 ①mental ⇒<あたま> ②physical ⇒[からだ

Chapter 2 霊性の意義 4 東洋思想的『霊』

4.東洋思想的『霊』① 象形の『霊』を紐解くでは、次の命題として東洋の叡智である『霊』そのものの象形を紐解いていくことに致しましょう。 下の漢字にご注目いただきたいのですが、これは、『霊』の旧字形です。 ここに三つの口があることが分かります。この口は(さい)と読み、神への祈りの文である祝詞(のりと)を入れる器の形を示しています。 『霊』の旧字形 下の文字も『霊』の旧字体なのですが、歴史はかなり遡り、中国の殷(いん)・周時代の青銅器の銘文、いわゆる『金文』の出土品から見

Chapter 3 霊性の特性 1『霊性』と言語①

1.『霊性』と言語 ① 今回から、『霊性』の特性ということでお話を進めて参ります。 『霊性』を理解するためには、『霊性』という意味について、少なくとも西洋の『霊性』と東洋の『霊性』の違いなどを含めた、多面的、多角的な解釈をする必要があると考えています。 そして『霊性』を語るならば、まず『霊』そのものの何たるかを理解しておかなければならないでしょう。 これから、そのような『霊』の概念と『霊性』に備わる特別な性質や役割、あるいは機能や仕組みについてお話を進めて参ります。

Chapter 3 霊性の特性 2『霊性』と言語②文法

霊性と言語②文法 ⅰ)主語の命題 日本語は、会話で主語が省かれるのが普通です。これはネイティブの日本人なら普通に成立する会話上の習慣です。 英語と比較して、主語が無い会話が日本人の曖昧さを醸し出す、などと言われますが、歴史を紐解くと、むしろ主語がある方が特殊な言語で、英語も主語が現れたのは、ノルマン・コンクェスト(1066)以降とされ、主語が決して普遍的な概念ではないことがわかります。 では、なぜ、主語の命題について触れるのか。それは、後半以降の「視点命題」と絡んでく

Chapter 3 霊性の特性 3『霊性』的『我と汝』

さて、『霊性の彼方へ』序盤セクション3の今回は、霊性の特性3回目、『霊性』的『我と汝』という内容でお話致します。今回は、書き下ろし風でお送りしたいと思います。 既にタイトルからして、『我と汝』とは意味深ですが、これからの時代、おそらく『我』のみではなく、『汝』との関係性を見出していくことが大切ではないかと推察しています。 『我』に対して『汝』は特別な意味があるのです。私と君でもよいのですが、訳語として私より我、君より汝を選ぶ理由が音の響きによる違いと、その言葉が纏った歴史

Chapter 3 霊性の特性 4『霊性と文化』

霊性の特性4『霊性と文化』 ① 光と影の文化今回は、西洋と東洋の特徴的な文化の違いを比較してみましょう。 まずは、前回お示した球体から連想してみましょう。 球体を矢印の方向から見るように視座を置き、右方向から光を当ててみます。 軸を中心に見立て、右側から光を当てたイメージです。 これより、光の当たる右と、影のできる左の違いを、文化の違いとして表現してみましょう。 西洋文化は圧倒的な光の文化があります。これはガラスを多用することや絵画の表現方法など、多彩な色と鮮やかで

Chapter 4 霊性の認識 1『霊性』の発達段階

Chapter4.霊性の認識 1.『霊性』の発達段階 ―スピリチュアルのライン― Chapter 2 の初めにWHOの健康の定義から霊性の定義付けをしましたが、今回は、はじめに、西洋の霊性の認識がどのような秩序で論じられているか、インテグラル・スピリチュアリティ(Integral spirituarituy)の著者、ケン・ウィルバーによる見解をご紹介しましょう。 彼の造詣の深さはこの米国の心理学領域でも認められている存在で、著書にある『スピリチュアル』の定義をここで参照し