【小説】私の誕生日

夫の健一は
私の11月25日の誕生日に合わせて
一回だけ母のお見舞いにきた。

病室では母に挨拶をし
とくに会話はしなかった。

家では父が
私の誕生日の準備をしてくれていた。

お寿司とピザ
そして
食べ切れないほどのケーキ。

我が家は小さい頃から
お誕生日のケーキは
ホールで買うのではなく

ピースでたくさんの種類を
一人いくつも買う。

ショートケーキとモンブラン
チョコレートケーキにフルーツタルト

父はプリンがのっている
プリンアラモードが好物だ。

夫からのプレゼントは

寒いからと
バーバリーの膝掛けだった。

久しぶりにパパに会い
子どもたちも喜んでいる。

”まだ大丈夫…”
私は夫の優しさを感じ
心の中でつぶやいた。