ラグビーワールドカップ

2019年9月15日〜10月14日。
私はラグビーワールドカップという世界的規模のスポーツイベントでチーム帯同通訳として働いた。

事の始まりは2018年5月頃。
ひょんな事からワールドカップ帯同リエゾンの面接を受けさせてもらえる事になった。

2011年のニュージーランド大会の時、私はニュージーランドに住んでいた。
その年は8年間暮らしたクライストチャーチが大地震で多大な被害が出た年で、私も被災した一人だった。
街の中心部で被災し、働いていたビルに数十分閉じ込められ、瓦礫を押し分けてなんとか脱出したにもかかわらず、幸運な事に私は鞭打ち以外の怪我はなかったが、大好きな街が目の前で崩壊するのを目の当たりにしたショックはやはり大きかったのだと思う。
高校生から暮らした街の中心部が一瞬で瓦礫の山になったのだから。
地震で大切な人を亡くした友人も数人いた。

そんな中、その年のワールドカップで主催国のニュージーランドが優勝し、国中がお祭りムードになった夜は心から嬉しかった。
いてもたってもいられなくて、車で街へ繰り出したら、街中で人々が大声をあげながらお祝いしていたのを見て心が踊った。

そんなイベントに関われるチャンスが来るなんて!
と思って応募してみたものの、私は単なる“英語が話せるラグビーファン”であって、ラグビーのプレーをした経験もなければスポーツイベントに関わった経験もない。ニュージーランドの高校の体育のクラスでタッチラグビーはやらされたが、運動オンチな私はクラスメイトに怒鳴られてトラウマになった思い出しかない。面接を受けるだけはタダ、こんな私が受かるわけない、と、何も期待せずに気軽に臨んだ。

2018年6月末。
一通のメールが届いた。

採用通知だった。

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