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グループどう?

アドラーが「不自由」と説く「承認欲求」とは?

「承認欲求には、2種類ある」
ひとつは「他人から認められたい」という「他者承認」

そして、もうひとつは自分が自分を認める「自己承認」

他人に褒められたり感謝されたり、
「誰かの役に立った」と実感できたとき。
そんな瞬間もドーパミンは分泌されます。

心理学的に言うと、
「承認欲求が満たされた」と表現します。
「承認欲求」(esteem needs)とは、
「他人から認められたい、尊敬されたい」
と願う気持ちのことです。

マズローの欲求5段階説

アメリカの心理学者、アブラハム・マズロー氏が提唱した
「マズローの欲求5段階説」
(Maslow's hierarchy of needs)では
5つの欲求
生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・承認欲求
・自己実現欲求
のうち
「4番目の欲求」に位置付けられています。

衣食足りて、高度に文明化された現代では、
物質的な欲望よりもむしろ
「社会的に評価されたい、人に認められたい」という
承認欲求のほうが強い、と言えるかもしれません。

この承認欲求が「満たされた」と感じた瞬間も、
もちろんドーパミンは出ます。
人に認められるというのは、
脳にとっては大きな報酬なのです。

しかし、そこにはある種のリスクもひそんでいます。
「承認してくれる」のが他人であるということは、
常に他人の視線や評価を気にかけること
になります。

SNSでつながっている仲間から「いいね」をもらうことは
嬉しいもの。それをうまく励みにすることは
やる気につながるが、一方でリスクや注意点もある。
身近な例で言うと
「『いいね』の数を、常に確認せずにはいられない」
「『いいね』の数に一喜一憂する」ということに
なりかねません。
それはけっして「心が自由な状態」とは言えないでしょう。

嫌われる勇気・自己啓発の源流「アドラー」の教え

承認欲求については、「不自由」という
とらえ方
をしています。他者からの承認を
求めてばかりいると、最終的には
「他者の人生を生きることになる」というのが
その理由です。

「自らの生について、あなたにできるのは
『自分の信じる最善の道を選ぶこと』それだけです。
一方で、その選択について他者がどのような評価を
下すのか。これは他者の課題であって、あなたには
どうにもできない話です」
とも記されています。

ただし、科学的に見ても「他者に承認を求める気持ち」は
健全なものです。それを完全に抑え込んだり無視したり
する必要はありません。「褒められること」は脳の栄養、
などと形容する専門家もいるくらいです。
適度な〝賞賛〟を報酬とするのは正解。褒められた人は、
脳内のA10神経が刺激されてドーパミンが放出され、
強い幸福感に包まれるからです。

アメリカの教育心理学者、ロバート・ローゼンソール氏
行った実験では、「教師に褒められて期待された生徒」と、「そうでない生徒」では成績の伸びに明らかな違いが
見られるという結果が出ています。

この実験は1960年代に行われたものですが、
その後「再現性がない」などと反論する学者が
現れるようになりました。
しかし、このローゼンソール氏の発見した
「褒めの効用」について「ピグマリオン効果」
(pygmalion effect)という名称
がつけられ、
現在では非常にポピュラーな
心理学用語のひとつ
となっています。

ピグマリオン効果とは、ひとことで言うと、
「他人から期待されることによって
学習・作業などの成果が上がる現象」のことです。

褒められるとやる気になって、アウトプットの結果が
よくなるというサイクルは実証されている
のです。
現代では、ヴァーチャルなSNSの世界においての
「いいね」の数や、肯定的なコメントも「褒める行為」に
ほぼ相当すると言えるでしょう。
ですから、適度な〝賞賛〟を報酬としながら、
努力を積み重ねるという姿勢は正解です。

「他者承認」の方向だけに偏らず、
「自分が今の自分に満足している」という
「自己承認」の評価軸もきっちりともてばよい
のです。

もちろん「自己承認」に踊らされすぎることもありません。ドーパミンを出すための味方として、他人からも、
自分自身からも適度に「承認を得る」というのが重要
です。

注意するべき点も書き出しておきます。

「承認欲求がうまく得られない集団」に所属すると、
ストレスがたまることがあります。多くの人が
「望まないのに帰属せざるをえない集団」にいるのも
事実です。互いに承認欲求を満たし合えている
関係であれば、問題はありません。

けれども、そこに君臨する〝ボス〟的な存在に、
過剰な気遣いが必要だったり、理不尽で不条理な
ヒエラルキーが存在していたり、ストレスフルな
マウンティングや、格付け合戦が
日常的に繰り広げられていたり。
そのような環境下で承認欲求を満たす、
というのはどんな人にとっても至難の業です。

反対に「他人の承認欲求を満たす役割」まで、
強制的に背負わされかねません。

そのような集団には所属しない、
もしくは自分から遠ざかることが賢明です。
どうしても脱退できないのであれば、
心理的な距離を置くべきでしょう。
そうしないと心が萎縮して、
やる気を出すどころの話ではなくなってしまいます。

そんな、グループからは少しでも早く抜けるのがいい。


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