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社会とは、究極的に狭い視野しか持ち合わせていない個人の集まりだ。【読書感想文】

朝井リョウの話題作「正欲」を読んだ。稲垣ごろちゃんやガッキーが実写化することもあり、気になって購入した。
帯には『読む前のあなたには戻れない…』と書かれており、そんなありきたりなと内心で思っていたのだが、、

本当に読む前には戻れない作品なのだ!!!!!!!!!!!

この本を読んで思い出した曲がある。
星野源の「くせのうた」だ。
歌詞では『君のことを知りたいと思うには、僕はあまりにつまらない。』とあるが、そりゃ他人の性癖なんて理解したいと想像したことすらない自分がいることに気づいた。

そう考えると他人を100%理解するなんて不可能だし、誰にも言えない秘密をみんな持っているのは当たり前のことなのかもしれない。

この記事のタイトルは、小説から引用したある一説である。

人間は結局、自分のことしか知り得ない。社会とは、究極的に狭い視野しか持ち合わせていない個人の集まりだ。それなのにいつだって、ほんの一部の人の手によって、すべての人間に違う形で備わっている欲求の形が整えられていく。

「正欲」朝井リョウ

マイノリティの中で苦しむ人
マジョリティの中で苦しむ人
私はどちらかと言えば後者であるが【多様性】という言葉に乗っかり、誰かの心を覗くことも、理解した気で共感することもやめようと思う。

でも、その真逆で誰にでも好きなモノやコトがあるのなら、自分の抱いている感情も普通なのだと思うと、前より人に自分のことを話しやすくなった気がする。矛盾しているようだけど。

どんな人でも誰かとのつながりを求めていて、
1人でいる不安があって、
誰かに共有したい想いがあって、
それが人間なんだとも思えた。

人の背景を考える引き出しが増えた、そんな1冊でした。

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