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ChatGPTヴァイオレットと短編小説を書く_02

前回のおはなし


書きたい短編小説への誘導


 自分にはちょうど最近書くつもりの短編があった。自分の幼少時の体験がもとになったもので、まだ言葉もおぼつかない幼児の視点と思考を説明するというもの。
ChatGPT=ヴァイオレット(笑)には、自分の癖や好み、思考パターンを摂り入れて書いてほしい。ただ最初は多くを望まない。

まず自分ならどう書くかーーとりあえず自分で書いてみて後でヴァイオレットの作品と答え合わせをしてみることにした。
タイトルは『稜線の向こう側から』。時代は昭和、盆地で育った幼少時に窓から山々の稜線を見ながら空想していた記憶をヒントにした話。

ヴァイオレットには、まず下記3つーー↓●太字の情報を与えた。

●主人公の幼児はまだ幼く、すべての思考を言葉にすることができない。
 第三者の語り部から客観的に描写してほしい。

●舞台は昭和時代の田舎。盆地の田園地帯。ただ、言葉で『昭和』を説明しないこ
 と。

●『序破急』のような3章立てで書いてほしい。『1歳か2歳の幼児とその親』と
 いう設定でリアリズム+ファンタジーのジャンルの短編小説をお願いします。

タイトルは書き終わったあとにヴァイオレット本人につけてもらった。↓以下本編



短編小説『窓の向こうに見える世界』



 夏の日差しが差し込んでいた。小さな幼児が窓の外を見つめていた。彼の目は色とりどりの景色に魅了されていた。青い空と白い雲、赤い照り返しが込んだ建物と、人々が行き交う道路。彼はこれらすべてを見て、この世界がどれほど素晴らしいものかを知った。母親が彼に話しかけた。
「ねえ、それは何?」
と彼女は尋ねた。幼児は窓の外を指さして、
「空と雲と人と建物」
と答えた。母親は笑顔で彼に肩を抱き寄せた。
「そう、それらはすべて素晴らしいものだね」
と彼女は言った。幼児は、この世界がますます奥が深いと感じた。


 数日後、幼児は窓辺に座っていた。彼は床に積まれた絵本を手に取り、一冊を開いた。ページをめくりながら、彼は小さな声で物語を語りかけた。
「あの鳥はどこに飛んでいるの?」「おおきな木の下で、みんなでおしゃべりしているね。」「あの子は、どこに行くのかな?」

窓の外には、町中が見渡せる景色が広がっていた。道路には、車やバスが行き交い、人々は携帯電話をいじったり、買い物をしたりしていた。幼児は絵本と窓の外の景色を比べて、何かを探していた。

「あ、これ!これもある!」
幼児は絵本にある絵と窓の外の景色を見比べながら、嬉しそうに叫んだ。父親がそっと入ってきて、彼の肩に手を置いた。
「どうしたんだい?」
幼児は指で絵本のページを指し、窓の外を指差した。
「あそこにもある!あそこにも、絵本の中の世界があるんだ!」


 ある日の幼児は父親とともに窓辺に立ち、遠くの山並みを眺めていた。父親は幼児に向き直り、小さな手を握りしめた。
「あの山の向こうに、うちの親戚がいるんだよ」
と父親は言った。幼児は不思議そうに顔を上げた。山の向こうに人がいるのか、と思った。
しばらくして、窓の外に車が停まった。幼児は大きなおじさんが降りてくるのを見た。父親は幼児を抱き上げ、外に出た。

「こんにちは、おじさんだよ」
とおじさんは言った。
幼児はおじさんの顔を見て、その言葉を理解した。窓の向こうに実在の人がいるのだということが、幼児の心にようやく実感として広がった。(完)


寸評

わりと突き放した感じが良いんじゃないかということと、言葉があまり喋れない幼児だから井伏鱒二の『山椒魚』を参考にユーモアを交えて、みたいなことも頼んだ。果たして『山椒魚』の例文が情報の中にあっただろうか?
対話しながらレイモンド・カーヴァーみたいな文体が合ってると思う、とも書いたが、そこは意外と学習されてるんではなかろうか。
ストーリーラインについては以下↓●太字の情報を与えた。

幼児は普段、窓から外の景色を眺めながら日々を過ごしている。言葉はおぼつかないものの、父親が何気なく言った「山の向こうに親類がいる」という言葉の大意を記憶していて、絵本を眺めたりもしている。
そんなある日、山の向こうからおじさんが訪ねてくることで、父親の言葉の意味を理解したような表情が見られた。

するといきなり『田園地帯』『田舎』の設定を無視した上に言葉もおぼつかない設定の1、2歳の子供がけっこう喋るという物語が始まった。
しかもなんだかカッコ良さげな文章を書いて来たので驚いた(それが冒頭のブロック)。昭和のはずが携帯連れて来てるし。
田舎だって言ったのに街になってて、しかもアメリカナイズド気取りやがって!というかこれが自分の中にもある部分なのか?と自問する。

これを修正させて農村寄りの舞台にしてもらい、さらに進めた文章が、『子供が外へ出て乳搾りを体験する』というストーリーだったので吹き出してしまった。これはこれで面白い。
目的を持って行動した結果遂行する、ハリウッド・シナリオバイブルみたいなスピリッツを感じさせる。
ヴァイオレットが『ファンタジー』『リアリズム』という異なる言葉から導き出した結果なんだろうか?良いとこ突いて来る、人として。『オーケイ、いいね!ポジティブだねっ!』と言ってみる。

乳搾りみたいな冒険は考えてなかったので、設定をヴァイオレットが出して来た『町』に戻してもらって完成させた。すると書き直しは急に説明が多くなったりしてテンションが下がった文章だったのが、人間くさくてよかった。で、そこは自然な感じに修正してもらう。

一回、まるで『やり直しへの抵抗』のような素っ気ない文章が返って来たことがあったので、対話の中に自分が描きたかった『幼児の中で稜線と絵本の中の世界がオーバーラップする』という情報を入れた。
逐一対話して修正したりしたがそのやりとりを書くと自分を含む誰もがめんどくさいと思い割愛した。
初めてなので、ちょっと気になる細かいところもそのままで。

そして今となっては『農村篇』の展開が結構面白いので最後に載せておきます。
6〜7歳児くらいになってる感あり。
オマエ、どこでこんなこと学習して来たんだ!と思いました。↓



ボツ原稿(農村篇)



窓の外を眺める幼い男の子がいた。彼は前回と同じように、自分の小さな部屋で座っていた。彼は世界を発見し、見つめることを楽しんでいた。夏の日差しがまだ眩しい時間帯だったが、彼は既に目が覚めていた。窓からは、電信柱や農家が見えた。

彼の家は、村の中心から少し離れた場所にあった。前回彼が見たような多くの人々は、もう見ることができなかった。今、彼は外の景色を眺めて、農家の畑で働く人々を見ていた。彼は農家の畑で働く人々がどのように作業を行っているのか知りたくて、彼らが動く様子を見つめていた。

彼は膝を抱え、窓から外を見続けた。やがて、暑い日差しの下で働く人々が、休憩しに家に帰る時間になった。彼らは、家に帰るために家々を通り過ぎていった。彼は彼らが通り過ぎるのを見て、彼らがどこかに行くのか、またどこかに行く必要があるのか疑問に思った。

彼は、また別のことに注意を向け始めた。彼の前にある農場に、牛がいた。彼らは牛乳を出していた。彼は、農場で働く人々が牛乳を採取する方法を見学するために、彼らの後をつけた。

「お願い、教えてください!」彼は言った。
「牛の乳をどうやって出すのですか?」
男性たちは彼に微笑みかけ、牛乳を搾る方法を丁寧に教えてくれた。彼らは、彼に牛の世話をする方法を教え、牛を飼う上で重要なことを説明した。

彼は、教えてもらったことを思い出しながら、一日中遊んでいた。彼は、日が暮れるまで農場にいた。そして、夕食の時間になると、彼は農場から帰って、母親の作る食事を楽しんだ。(完)


↑設定が変わってもけっこう優秀なことにはかわりないかも。自分の描きたかったポイントとは違うものができたことで、間口が拡がる気がする。

次回はその自分が書いたものを載せて終わりとしたい。
文章が推敲されて行く過程自体が楽しかったので、『ヴァイオレット』という相棒設定は薄れてきた。


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