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【読書感想文】すべてがFになる

書籍の情報

  • タイトル:すべてがFになる

  • 著者:森博嗣

  • 出版:1996/4/3

  • ページ数:ノベルス版は370ページ


  • 読了日:2022/11/20

  • 読むのは3回め(前回・前々回はノベルスで、今回はKindleで)

  • 5時間強で読了

感想「古いけど古くない」

30年近く前に書かれた本だから、「時代」を感じるところはある。

しかし、1996年にこの設定で書かれたことを考えると、全く古さを感じない。

・チャット中心で進む仕事
・自分の裁量で働く研究員たち
・VRの世界での遊び、会話

これらはすべて令和には当たり前になっていることだが、本が出版された平成初期には新しかったのではないかと思う。

特に、VRのゴーカートの世界はメタバースを彷彿とさせるもので、著者の見識に驚かされる。

言葉に無駄がない

登場人物の会話に無駄な表現がないなと思った。

会話の場合、話し言葉であったり、その時々の流行語が混じっていたりするが、本作の会話は非常にソリッドだ。

無駄な表現がなく、とても読みやすい。
言葉の組み立てがうまいなと思った。

無駄がない=無機質な会話、というわけでもなく、きちんと感情表現もされていて、キャラクター性も感じられる。

動機の深掘りがほしかった

今回、3つの殺人事件が起こるが、動機が不明瞭で、もう少し深掘りしてほしかったと思う。

「天才の考えることはわからない」と謎を残しておくのも一興だと思うが、一読者としては少しモヤモヤが残る。

真賀田四季のキャラクター・天才性については、後続作品でも語られるので、ここはガマンするしかないのか。

雑感

今回、初めてKindleで読んだ。

過去2回は講談社ノベルス(紙の書籍)で読んでいる。

ノベルスに比べ、Kindleは軽いので、読書中に手元が疲れることなく読めた。

机に本を置いて読めばいいのだが、わたしはロッキンチェアやソファに座って読むのが好きなので、どうしても本を手で支える格好になる。

カバーが楽しめないデメリットはあるが、Kindleの携帯性は素晴らしい。

S&Mシリーズ、VシリーズとKindleで再読しようか思案中だ。


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