ぶやん

脳梗塞を患い、右半身の自由と言葉を失った夫ひよぽんとふたりで暮らしています

ぶやん

脳梗塞を患い、右半身の自由と言葉を失った夫ひよぽんとふたりで暮らしています

マガジン

  • 喋れなくなったひよぽんと

    ひよぽんが退院してきてからの気持ちを書いています

最近の記事

「好き」かどうか

ひよぽんが冷蔵庫を開けて 中の何かについて話していました 失語症の影響で ひよぽんは「こう?」と訊き返したとき 間違っていても「そうそう」ということがあったり 合っていても「違う」ということがあります 今回も、訊き返しても「違う」という でも多分この理解であってる 冷蔵庫からは冷気が出てくる 私はつい「電気代もったいないよ」と 冷蔵庫のドアを閉めてしまった ひよぽんは絶句して私を見たあと うなだれて去って行ってしまいました そしてふて寝 2時間くらいして起きてきた

    • おしゃれさん

      ひよぽんは衣服などに埃がついたりするのをとても嫌がります もう、直後に脱ぐ服だとしても「きたない」と言ってそれを取ろうとします 埃とか 毛玉とか 皮膚病で(?)落ちた角質とか もう脱いで洗濯するのに 取っても取らなくても一緒じゃない? こういうこだわりが強く出るのもまた 高次脳機能障害 取るのは私だし、無意味だなあと思ってるから ついつい取り方も雑になります ひよぽんのことを「おしゃれさんだよね」と言ってくれる介護士さんがいます 服は特別おしゃれじゃない 帽子をかぶっ

      • 100%わかってほしいなんて贅沢

        言葉の大半を失ったひよぽんは言います 「これだけ言いたいことがあるのに ちょっぴりしか言えない」 ジェスチャーを見る限り 10分の1くらいしか言えないみたい 伝わるのはそこから更に少ない でも、ひよぽんの話はわかりづらい 「結論だけ言って」 とわたしもつい言ってしまう その考えに至る過程まで到底聞き出せない どうしてそうなのか そうなったのか ひよぽんにとってはそれが重要 でもこっちにはそれを聞き出す時間も忍耐もないの とりあえずどうしたらいいか それを重ねて学習する

        • おしりの痛み

          車椅子に長く座ると「おしり痛い」というひよぽん おしりのお肉が本当少なくなった 8月にコロナになったとき 10日くらいろくに食べなくて痩せて それからおしりのお肉は戻らない 体の右側が麻痺してるから あんまり立って歩くことがないし 歩いても大股とか腿を上げるとか そういう歩き方しないし どうやったらおしりのお肉を増やせるの? 体重は戻ったのに

        「好き」かどうか

        マガジン

        • 喋れなくなったひよぽんと
          73本

        記事

          楽しい暮らし 大切な暮らし

          脳梗塞になったひよぽんとの今の暮らしは 正直言って楽しくない でも 楽しくなくても大切ではある 不思議だけど だから続けられる

          楽しい暮らし 大切な暮らし

          わたしのじかん

          ひよぽんは毎週土曜日にデイケアに行きます 私は車で送り迎え 送って行って、その足で仕事へ 仕事が終わったらその足で迎えに行く でも この間の土曜日は仕事が休みだった だから、ひよぽんがデイケア施設にいる間はわたしのじかん 月に1日しかないわたしのじかん この間の土曜日はひよぽんは具合が悪く 送って行って早々に迎えに来てと呼び出されました 具合が悪いんだからしょうがないけど わたしのじかんはたった2時間半 もうちょっと欲しかったなあ

          わたしのじかん

          あれから2年

          ある意味、記念日の今日 2年間再発なし そのおめでたい日に 私は久し振りの頭痛 ひよぽんは相変わらずお腹が不調 ちょっとしんどい、そういうと ひよぽんはボクの方がシンドいみたいに言う それはそうかもしれない でも だからといって私がしんどくなくなる訳じゃない それとこれとは別なの 早々にひよぽんは寝てしまいました 私も早く寝よう お祝いはナシです

          あれから2年

          記憶の蓋

          8日は、ひよぽんが脳梗塞で搬送されてから丸2年です 2年間再発しなかったので「何かお祝いする?」とひよぽんに訊いたけどどうでもいいって でもそれから暫くして 搬送されたときのことをひよぽんは訊いてきました 最初は今みたいに喋れなくて ジェスチャーも出来なかったのよ でもひよぽんの興味はそこじゃなくて 最初に入ったSCUのことでした 「あんまりその時のこと思い出したくないんだけど」 記憶に蓋をしていたから 搬送された時にひよぽんは「ごめんね」って言った ベッドで看護師さん

          記憶の蓋

          私はママじゃない

          先日の喧嘩は酷かったです 過去最大級に酷い喧嘩をしました きっかけは 些細なことだったのに ふたりとも冷静になってから、ひよぽんは言いました 「悪いところがあったら言って、直す」 悪いところかどうか判らないけど、じゃあ、 私は「お前」って呼ばれるのは嫌い 「ママ」って呼ばれるのも嫌い 私はひよぽんのママじゃない ひよぽんは私のこと「ぶやん」って呼んでたの でも、呼べないんでしょう?言えないんでしょう? だからしょうがないと思ってる 「判らないよ、やってみないと」ひよぽんは

          私はママじゃない

          成長に気付く

          去年の11月の私の誕生日、ひよぽんは完全に判らなくなっていました 私の誕生日、ひよぽんは|ぶやん (note.com) でも今年は、カレンダーの「11月」の文字を指しながら 「どこ?」と 覚えていてくれたのです ここだよ、とその数字を指すと 骨付き肉をかじるようなジェスチャー それはクリスマスだよ 私はキリストではないから お昼ご飯はケンタッキーフライドチキンにしました

          成長に気付く

          穏やかになったひよぽん

          私の母が亡くなり、急に「ショートステイだ!」と言われる心配がなくなったひよぽん すっかり穏やかになりました 穏やかになったからか、 伝える力がアップしたみたい おしゃべりもぐっと判るようになったし ジェスチャーもすごく上達しました ひよぽんの話で声を上げて笑ったのは久し振り 嬉しい とても

          穏やかになったひよぽん

          生きていると実感する

          コロナになって入院したひよぽんが退院しました 入院中の記憶はあまりないよう 17日間の入院でした その間私もコロナになり 母が亡くなり ひよぽんも中等症Ⅱという、まあまあ酷い状態 でもひよぽんは生きて帰ってきてくれた 万全になって退院したのではないから 不安感がやっぱりあるよう 車椅子の後ろからハグして励まします そのときのひよぽんはとてもあたたかい 「生きてる」って思う それがとても とても嬉しい

          生きていると実感する

          3度目の救急車

          ひよぽんが「もうダメ」とかぶりを振り 救急車を呼んだのは2日前のこと 自分一人でトイレに行けなくなった いちど平熱まで下がった熱がまた39度を超えて 喉が腫れて痛くて、水を一口飲んだだけでもむせる 鎮痛剤なんて飲めないし、いつもの薬も コロナって本当に怖い、特に、脳梗塞したことがあるひよぽんにとっては 脳梗塞で救急車を呼んでから、3回目の救急車 救命士さんは物凄い重装備で来てた かかりつけの脳外科には何度も相談したのに 「しょうがないよね」と言われそんなもんかと思ってた

          3度目の救急車

          気付きたくなかったこと

          ひよぽんがコロナになりました 私もひよぽんから貰いました 私が何ともなかったときは 普通に対応してたけど 私も高熱が出たら ひよぽんのケアが負担になった そして ひよぽんは一生懸命話しかけてくる でも、今の私の頭じゃ理解は大変 「頭が回らないから、お願いだから黙って」 酷いことを言ってしまった ひよぽんは黙ってくれました その後の面倒はぐっと見やすくなった ごめん、ひよぽん 私、ひよぽんの話を聞くの、 いろんなケアの中で一番負担に感じてるんだな ごめん そして気付

          気付きたくなかったこと

          1年経っても

          退院して1年経ってもひよぽんの口からは 「したいことが出来ない」 「言いたいことが言えない」 毎日のように出てきます 判るよ だけどそう思っている以上前には進めない 「生きていて楽しくない」 「行きたいところにも行けない」 「パソコンもスマホも使えない」 ずっとそれを嘆き続けるのを 初めて聞くような顔をして聞き続けるのは難しい そうは言っても、もうしょうがないんだから 頑張れることをするしかないんだから そういうともっと優しくしてという 今まで 楽しかったことも 辛

          1年経っても

          孤独ではなく孤独感

          ひよぽんとまた喧嘩をしました 今、精神的にも肉体的にも余裕がなくて 全身全霊を傾けなければならないひよぽんの話を聞く集中力が保てません そしてそれは 想定される問題を洗い出して対策を立てる話 そもそも出たとこ勝負が多い私にとって それを考えるそれだけでも苦痛なのに ちょっと休ませて そう言ったらひよぽんは言う 「一生懸命やってるのに」 一生懸命やってるからいいとかじゃないの 疲れたから休ませてって言ってるの ひよぽんは疲れたらすぐ休むのに 私には休む権利ないの? 介護

          孤独ではなく孤独感