おはようございます。クリモトです。
今日は僕のモノづくりへの動機と、併せてブランドロゴのモチーフについてお話しようかと思います。
青(コバルト)という色が僕にとって「とくべつ」な色であることは以前の記事に書いてありますので、ご興味がある方はコチラをどうぞ。
ロゴの由来について・・・
少しだけ、前回の記事の続きの話をします。
社会人になってから2年、心身ともに夜明けを迎えた僕でしたが
モノづくりって何したらいいんだろう?となりました。
何でモノづくりがしたいの?
つくったモノでどうしたいの?
それは僕でなければならないことなの?
当時の僕は、何をイメージしたわけでもなく
本能の赴くままに素材を手に取り、手放し・・・を繰り替えしていました。
そんな時、まず出会ったのが銀粘土。
久々の製作でしたが、もともと平面よりも立体的な製作を得意としていたこともあり
造形はある程度、体が覚えていてくれました。
そこで出来上がったのがこの形。
イメージしていたのは楔(くさび)でした。命を象徴して新芽のイメージを彫り込んであります。
当時の僕は何か、分厚い壁のようなものを破壊したい衝動が本能的にあったんだと思います。
楔を打ち込み、どうにかして越えていきたい、そんな気持ちだったような気がします。
しばらくしてから、革に触れ、その素材感の良さと経年変化する魅力に惚れて、名刺入れなどの革小物を作ることに。
そこで初めて作った名刺入れを当時の恋人(現在の奥さん)にプレゼントすることにしたのです。
初めての作品でした。当然、革の良し悪しもわからないので
どの部位で、どんな鞣しの革なのかすらもわからないような端切れで製作したものですから、すぐにボロボロになり、ところどころ煤けた感じになってしまいました。
しかし、それでも彼女は長い間その名刺入れを使ってくれていました。
その時「僕は単に壊して乗り越えたいだけじゃなくて、同時に繋ぎたいんだ」
ということに、はっと気が付いたのです。
楔とは、もともと硬い岩などに打ち込み、砕き割るための道具です。
しかし、その楔も使い方と力の方向によっては二つのものを繋ぎ止め、より強固なものにする役割を持っているのです。
ある時は乗り越えられそうにない高い壁を打ち破る力に。
また、ある時は誰かと誰かをつなぎとめる、素敵な贈り物に。
僕の製作したモノには、そんな楔石のような存在であって欲しい。
擦れて、焼けて、ボロボロになった古い名刺入れを見て、心からそう想いました。
再出発と、モノづくりに込める新たな想い。
実のところ、先ほどのシルバーは実際に身につけつために作ったものではないので何度も何度も無くしかけました。
しかし、事あるごとにひょっこり顔を出し、存在感をアピールしてくるのです。
ブランドロゴを考えていた時もそんな時でした。
最初のモチーフだけは何としても自分自身で考えて納得できるものにしたかったのですが
ああでもない、こうでもないと頭の中がパンクしそうになり、気分転換に作業場の片付けをはじめたところ、机の上から何かが落ちて足元の暗がりに転がっていきました。
デスクの奥の方に転がっていってしまったものだから、いつもなら面倒なので放置するところでしたが
それは暗がりの中でぼんやりと光を反射していました。
例のシルバーです。
鈍い銀の輝きは、運命的な閃きのように、僕に初心を思い出させてくれました。
「これをモチーフにしよう」そう考えるようになったのはごく自然なことでした。
2020年、僕は会社員から職人という道を選び
新しい人生を歩くことになります。
この挑戦に付き合ってくれる妻には、本当に感謝しています。
節目ということもあるのでブランドイメージをリニューアルしました。
今回はそのお披露目です。
”対岸を繋ぐ橋”をモチーフとしたアーチの中央に打たれた”青い楔石”。
そこには
もっとたくさんの人に「乗り越える力」を
もっとたくさんの人に「繋ぐ想い」を
そんな想いが込められています。
これからも初心を忘れず、
真摯にモノづくりと向き合い、より良い作品を皆さまの手元に届けるべく、邁進してまいります。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2020.05.04 栗本麻央