気づきの支援日誌7/14 -コーチングセッションで起きていること-
コーチングサービスをご利用くださる方々のセッション展開の傾向を、ざっくりまとめてみようと思った。
あくまで、支援に活かす狙いではなく、支援現場という対人交流の現象について「どのようなことが起きていると言えるのか」の説明を試みるものとして整理したい。
そして、ご利用くださる方の傾向ではなく、セッションプロセスの傾向を概念化する。
セッション記録をもとに整理した結果、以下の3つの指向パターンに分けられた。
①心の発達指向パターン
周囲の状況や他者に影響されにくい「最良の自己肯定感」と呼ばれる性質を育てるのに必要な本来感(自分らしくいられていると感じられる感覚)をほぼ毎回体験されるパターン。
【クライエントの変化】
社会生活での柔軟性が高まったり、問題解決がスムーズになっていくという経過についてのご報告がある。
【支援プロセス】
対人関係や仕事などで感じたことを共有してくださる中で、支援者がそこに視点を合わせ応答していくことで、クライエントの内省レベルが高まり、気づきや心理変容に至るというプロセスがある。
②戦略会議指向パターン
日常の具体的シーンで繰り返し起きる問題の解決や、習慣化のための段階的取り組み。また、学習計画や転職・起業についての計画と課題の具体化(解決策の明確化)に意欲的に取り組まれ、ほぼ毎回進捗や達成をしていくパターン。
【クライエントの変化】
課題に向き合う際、感情や動機に立ち戻りながら内省されることで、取り組みの要点となるポイントを明確化されるという一連の流れが、穏やかでありながらも短時間で展開できるようになっていく。
【支援プロセス】
取り組みたい課題を具体例と共に共有くださり、その課題となる状況について支援者が共通認識を図る目的で質問や理解の確認を進めていく中で、クライエント側から気づきが起こって発展していく。または、支援者が共通認識にもとづいて問題の構造化の提示や具体策を提案し、そこから着想を得たクライエントが未共有の新情報を追加するなどして、課題の具体化をしたり、解決策やアクションプランなどの明確化を行うというプロセスがある。
なお、「戦略会議指向パターン」は、クライエントの変化として、課題に向き合う際に感情や動機に立ち戻りながら内省されることが含まれているため、セッションを重ねるにつれ、「心の発達指向パターン」の特徴が断続的に増えていく傾向がある。
③投影性同一化活用指向パターン
支援者との関係性において、クライエントがそれまで他者から社会的に承認されてこなかったクライエント自身の性質・葛藤要素を、支援者の性質・葛藤要素としてクライエントが認識する心理的現象(投影性同一化)が起きることで、セッションが発展する。これによって、クライエントが支援者を激しく非難したり、あらゆる感情表現が促進され、支援者がそこに対する理解を構築しながら、試行錯誤で応答していくパターン。
【クライエントの変化】
試行錯誤の応答から、次第に相互理解を増やしていくことで、徐々に対話が建設的なものに発展する。クライエントからは、激しかった感情のレベルが下がり、自身の感情として扱えるようになったというご報告がある。その変化は、セッションにも表れ、支援者を否定的に思う自身の認識について、穏やかに共有し、そこから自己理解の内省へと展開していく。その後、他者から社会的に承認されてこなかったクライエント自身の性質・葛藤要素が明確になり、段階的に受容が起きていく。
【支援プロセス】
支援者に向けられる激しい感情や非難の仕方について、その時の支援者自身の感情体験や、関係性のあり方がどのようになっているのかを繰り返し分析して、クライエントが抱えきれない想いや認識のパターンについての仮説を立て、クライエントが脅威を感じないよう尊厳を重視した伝え方で仮説を示すことで、クライエントが安全に認識しやすいようにしていく。
または、クライエントが抱えきれない想いや認識のパターンについての仮説にもとづいて支援者が応答を試み、その結果をさらに分析・仮説立て・応答を繰り返して、クライエントとの信頼関係構築の糸口やバランスを慎重に強化していく。
ここまで整理してみて、捉えられたこととして、3つの指向パターンは、クライエントによってどこが主軸となるかは変わるけれど、部分的に他の指向パターンを織り交ぜながらセッションが発展していく、ということ。
これらのことから、この3つの指向パターンは、オーバーラップしている図解となった。
今後、なんらかの簡易的な説明をする際に役立てることも視野に入れて、本格的に再検討してみたい。
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