私にとっての欧州代表【デンマーク】と北米代表【カナダ】との違い ①
この5月の初めに、デンマーク旅行に行ってきました。私にとっては初めてのヨーロッパへの旅行でした。海外渡航経験はそれなりにありますが、これまで訪れたことのある地域は、アジア、オセアニア、北米だったんです。
特にここ直近の12年間に関しては私が「海外へ行く」と言えば、カナダばかりでした。カナダ東部にあるプリンスエドワード島にご縁があって、毎年のように訪れていたのです。
あの、カナダ旅行記のマガジンがありますので、よかったらどうぞ。
同じ「海外へ行く」でも、デンマークとカナダでは大きな違いがあることに気づかされたのが今回の旅行でした。デンマークとカナダは、日本人にとっては「欧米」と一括りにしてしまうほどなのに、でも、やはり全く違う国であり、全く違う文化圏でした。もちろん、似通った部分もありましたが。
というわけで、私にとっての欧州代表【デンマーク】と北米代表【カナダ】との「違い」を、感じたままに挙げていこうと思います。具体的には、デンマーク滞在中に「?!?!?!」と、驚いたり、感心したり、戸惑ったりしたことです。
ごくごく個人的な気づきの記録ですので、事実と異なることがあるかもしれません。きっと、あります。さらに、「違い」への言及はともすると、どちらか片方を否定するように受け取られかねないと思います。若干ではありますが、私にはカナダを贔屓目に見る傾向があることを、先にお伝えしておきます。
交通事情
■ デンマークの歩行者用信号にドキドキ
コペンハーゲン市街地を歩き回ってみて、割とすぐに戸惑ったのは「信号」でした。歩行者用の信号に「チカチカ(点滅とも言いますね)」が無かったんです。「青」から「赤」にパッと変わってしまうんです。
「青」の残り秒数が表示される信号機は見かけた気がしますが、大抵の信号機にはありませんでした。とにかく「青」から「赤」にパッと変わってしまうんです。横断歩道を渡っているときに何度も慌ててしまいました。コペンハーゲンは観光客の多い街ですが、私に限らず、慌てている人は何人も目撃しました。
「チカチカ」が無い代わりに、「ピッ、ピッ、ピッ」だか「ツッ、ツッ、ツッ」だか、歩行者を少し急かすような音が信号機から聞こえていたような気がしますが、定かではないです。
この「チカチカ」が無いのは、デンマークのみなのか、コペンハーゲンのみなのか、北欧諸国共通なのか、欧州共通なのか、気になりました。
■デンマークは自転車天国
これは世界的に有名なことだと思いますが、デンマークは自転車大国でした。もとい、自転車天国でした。人の移動手段として、自転車>電車・バス>車>徒歩の順に効率的だなと感じました。街がそのようにできているし、人々のマインドも「自転車優先」のようなところがあると感じました。
道路は自転車用のレーンがしっかり造られています。うっかり自転車用のレーンを横切ったり歩いたりすると迷惑になります。もちろん自転車用の信号もあります。
電車の中には「自転車用車両」と「ベビーカー用車両」がありました。自転車ごと車両に乗り込めるようになっています。
■コペンハーゲンでは縦列駐車できないと車に乗れない
写真を撮ってくればよかったと、今更ながら悔やんでいるのが、コペンハーゲン市街地の縦列駐車の様子です。下の写真にほんの少し映り込んではいますが、これはまだまだ駐車している車両の間隔に余裕がある方で、もっともっとキチキチに縦列駐車をしている光景をよく見かけました。本当にキチキチに上手に収めていました。
駐車するなら広いスペースに頭から入れるのが一般的なカナダ方式(プリンスエドワード島方式かな)に慣れている私には、コペンハーゲンで車を運転する勇気はありません。
■デンマークの公共交通機関の利用は Honor System
Honor System ってご存知ですか? 「人々が不公正なことや他人を出し抜くことはないという信頼に基づく管理体系」のことを言います。公共交通機関にこれを用いると「切符を売る券売機はあるけど、その切符を通す改札はない」という状態になります。チェック機能を設けていないんですね。
これはカナダでもありました。バンクーバーのスカイトレインがその仕組みでした。(そして、私は一度チケットを買わずに乗って、検問でひっかかったことがある、という懐かしい思い出がありますが、それはまた別の話。)
私はこのシステムが苦手です。なぜなら「切符買わなくてもいけるんじゃないか」という誘惑に駆られるからです。お恥ずかしい話です。(そして、誘惑に駆られた結果、検問でひっかかったのです、その昔。)
券売機とQRコード読み取り機(恐らくはWEBで買う切符と定期券のチェックをする機械)が、駅のコンコースやホームにあって、鉄道でも地下鉄でも乗車の前に必ず切符購入かQR読み取りをします。そのまま、誰にもチェックされずに目的地に着いてしまうこともあれば、たまに、車両のなかでチェックしに来る人がまわってきます。そこで切符が無いと罰金です。
日本の駅にあるような自動改札機は、開発や費用や設置場所を検討する必要がありますが、Honor System はそれがないですね。非常に効率的であり、更に、なんというか人が成熟した社会に持ち込めるシステムだなと感じます。
■カナダの交通事情の大きな特徴は「動物と人が優先」
ちょっとここで、カナダの交通事情を振り返ってみますと・・・
カナダの歩行者用の信号は、日本と同じ仕様だと思います。青信号の点滅はありますし、場所によっては青信号の残り秒数も表示されます。
ちなみに、プリンスエドワード島の車用の信号機には特徴があります。赤信号の形が四角くて、2つ点灯するようになっています。色覚の判別が難しい方向けの仕様だと聞いています。
信号機が写っている手持ちの写真を探していたら、可愛いのが出てきました。シャーロットタウン中心部にニモがやってきた日の写真です(何かのパレードでした)。ニモの右側に2つの赤い四角い信号が点灯している様子が写っています。
さらに、私がカナダで感じていた大きな特徴は、車より「動物と人が優先」されるということです。田舎では特にそうだと思います。信号が無い交差点では、必ず人の横断が優先されます。シャーロットタウンのダウンタウン内には数多くの信号が無い小さな十字路がありますが、もう絶対に人の横断が優先されます。
■プリンスエドワード島では小動物との交通事故多し
少し悲しいのは、プリンスエドワード島では郊外の道路を走っていると、小動物との交通事故を目撃したりすることです。車に轢かれてしまった動物たちの死骸をよく見かけます。これはある意味致し方ないのです。どういう訳か、動物たちが自ら走っている車の列に飛び込んでくるのです。夕方から夜にかけてが多いかな。
一番多いのはラクーン(アライグマ)、そしてスカンク、ウサギもよく見かけます。私も一度だけ彼らを轢いてしまったことがあります。前に走っている車が轢いてしまったラクーンを避けきれず、更に轢いてしまったのです。・・・・・・。郊外を走る車の方は、時速100km近くで飛ばしているので、そこで急ブレーキをかけることなく走り去るのが通例です。止まろうとしてしまと、後続車を巻き込んだ事故を引き起こしてしまう。何とも言えない嫌な気持ちになりながら走り去ります。交通事故に遭ってしまった可哀そうな動物たちは、市の車が回収してまわると聞きました。
轢いてしまうと大変なのがスカンクです。スカンクは強烈な悪臭を発するという武器を持っているので、襲ってくる敵に勇敢にも立ち向かってしまうのです。つまり、私たち人間の車にも勝てると思って道路に立ちはだかってしまうわけです。そして、可哀そうに轢かれてしまう。轢かれる間際に本能で悪臭を発するのか、辺りが物凄い悪臭で大変なことになります。轢いてしまった車は、数日乗ることができなくなってしまうと聞きます。最悪の場合は、廃車にするとか。
もちろん、私たちが事前に彼ら小動物を察知すれば、また交通量の少ない場所であれば、スピードを下げたり止まったりして、彼らの通行を優先します。その経験も何度かあります。
プリンスエドワード島では大型の野生動物はいませんが、カナダ本土に渡ると様々な種類の大型動物が現れます。大型動物との交通事故は、動物も人間の車も大ダメージを受けますから注意が必要です。こんな標識も見かけます。
デンマークも郊外に出ればきっと同じ環境なのだろうなと思います。
ここまで書いてみると、「?!?!?!」が一番多かったのは、交通事情でした。
街の様子
■コペンハーゲン観光はよく歩く
ガイドブックにも載っていることですが、コペンハーゲン市街地にある観光名所は、いずれも歩いて回ることができます。まあ、ちょっと頑張る必要があるかもしれませんが。
コペンハーゲンに滞在していた正味4日間は、毎日のように2万歩以上歩いていました。健康的。でも、日頃の運動不足がたたって、夜には両足がパンパンでした。
■駅を利用すると階段たくさん
私が普段東京で暮らす中で、いかに省エネモードで動こうとしているのか分かりました。特に駅を利用する際に、ごくごく自然にエスカレーターを探しているのです。コペンハーゲンで利用したいくつかの駅でもそうでした。
そして、コペンハーゲンの駅にはエスカレーターが無いか、あっても故障中かのどちらかである可能性が高いことが分かりました。しょうがないので階段を使います。到着日の出発日の移動では、スーツケースを持っての階段の上り下りが辛かった・・・。日頃の運動不足をここでも痛感しました。
■見上げると綺麗、足元は注意
コペンハーゲンの市街地は、本当に見応えのある綺麗な町並みでした。古くから残っている建物が、今もちゃんと生きて使われているのが分かりました。たまに目に入る新しい建物が少し格好悪く見えるくらい、これぞ「古き良きヨーロッパ」をイメージさせる建物は素敵でした。
で、でも、でもですね、コペンハーゲン市街地の観光名所を歩いてまわってみて感じたのは、足元を見ると結構がっかりなのです。ゴミやらなにやら散乱しているところがとても多い。まあ、要は、汚いわけです。観光シーズンだったからかな・・・。結構気をつけて歩かないといけませんでした。残念です。
実は同じことを、昨年訪れたカナダのモントリオールでも感じています。以前投稿した note に次のように書いています。
ついでに記事のリンクも貼っておきます。なぜかこの記事は私の投稿記事の中で一番良く読まれるのです。本人は理由が分からないのと、他のも読んで欲しい気持ちあるので、複雑なのですが・・・。でもやはり、読んでもらえるのは嬉しい。
■コペンハーゲン郊外は素晴らしく美しい
コペンハーゲンもモントリオールもそして東京も、大都市ですから、人の往来の多さが弊害を引き起こすのだろうと思います。人のモラルの問題だと思うので「しょうがない」では片づけたくないですね。
正味4日間のデンマーク滞在を、全てコペンハーゲン中心地だけで済ませてしまったら、ちょっとがっかりした気持ちを引きずることになったかもしれません。でも郊外に足を伸ばしたら、その気持ちが吹っ飛びました。
コペンハーゲン中央駅から電車を使って50分程度の郊外にあるルイジアナ近代美術館に訪れた際に見た町並みが、本当に美しかったのです。瑞々しい新緑の自然に溢れて。
「デンマークは幸せの国」であるとよく耳にしますが、私は郊外の自然溢れる景色を見てそれを実感しました。コペンハーゲン市街地には無いものがありました。
ちょうど少し雨が降っていて空気にマイナスイオンがいっぱいで、5月初めの木々がイキイキしている季節だったので、条件が良かったのかもしれません。でも、カナダでも、もちろん日本でも、ちょっと体験したことのないような素晴らしく気持ちの良い空間がそこにありました。
今後、記事を書くか分からないけれど、ルイジアナ近代美術館も素晴らしかったです。アートと自然に囲まれて、美味しいランチもして、リフレッシュした一日を過ごしました。コペンハーゲンの中心地じゃなくて、ちょっと郊外にあるというところが本当に良かった。
私にとっての欧州代表【デンマーク】と北米代表【カナダ】との違い、もうちょっと記録に残しておきたい思いや気づきがあるのですが、ここまでで結構なボリュームになってしまったので、一旦 ① として投稿します。他にも続き物の投稿が溜まっていますが、② も早く出せるといいな。
あ、そうだ! 私がなぜデンマークへ行ったのかはこちらの note でお話しています。音楽を聴きに行ったのでした。少しマニアックな話になりますが、良かったらどうぞ。
冒頭の写真は「デンマークといえばこの街並みでしょう」という、コペンハーゲンのニューハウンというエリアで撮ったものです。
お天気も良くて綺麗な空にカラフルな建物が映える光景でした。よしよしデンマークまで来たぞ、見るべき景色は見たぞ、と思わせる光景でした。でも、目を凝らして写真を見ると分かるかもしれませんが、周囲は物凄い人混みでした。週末だったからかな。東京の原宿や渋谷の人混みを思い出しました。ぎゅうぎゅう。いい思い出です。
ここまでお読みいただいたことに感謝です。毎回生みの苦しみを感じつつ投稿しています。サポートいただけたら嬉しいです!