嫌われリーダーがコーチングを学んだら②
〈コーチングを学ぶ前の私〉ホテル編 ②
私の携帯に、支配人から連絡が来たのは、会議室の出来事から2日後。
本社でマネージャーとの面談が決定し、その時に処遇も決定するとの事。
電話を切ったその後、同僚から連絡があった。
「えみさん!もしかして、支配人から何か話ありました?みんな騒いでいたから、ちょっと心配になって…」
同僚はきっと、スタッフ達が支配人にどうにかして欲しい!と話している場を見ていたのだろう。
初めて、今起きている事がどれだけ大きな事になっているか、それを私に気付かせる言葉だった。
「話、あったよ。●●だったらどうする?」
私には、まだ掴み切れていなくて聞いてみた。
「わたしですか?
私なら間違いなく辞めます。だって全員知る事になるわけだし、私には耐えられない!」
「そうだよね…」
きっと、それが普通だよね。
私から辞めますって言って欲しいんだよね。
ただ、私にはもう一つの悩みがあった。
それは、母の事。
父が他界して1年。
母は、寂しさから立ち直れなかった。
働かず、夕方からお酒を飲み、
お酒が無くなると言葉が悪くなる
寂しさを感じると、
睡眠薬を大量に摂取し、リストカット
夜勤中に連絡が入り、
タクシーで病院に駆けつけた事も。
そう、大黒柱は私。
そして不安定な母がいながら転職活動ができるのか?
入社早々に、迷惑かけてしまわないか?
私は1人なんだ。
しっかりしないと、亡き父に顔を向けられない。
そんな気持ちでいました。
-面談の日-
久しぶりの本社。
新入社員が入るたびに、1day英語研修を受け持っていたので、半年に1度くらいは本社に顔を出している。
午前10時。
エレベーターホールでばったり社長に会うも、会話に困る私。
エレベーターに乗り込むと、一言先に声をかけてくれたのは社長だった。
会話をしていくうちに、今回のことを察してなのか、一つ質問をされた。
「ねぇ?そういえば、コーチングって知ってる?」
「コーチングですか?ティーチングの仲間みたいな感じですか?」
私は、なんとなく言葉の意味からイメージして答えた。
社長は、その質問に答えることなく
「コーチング、勉強してみたらいいかもね…」
そう言い残して、社長室に入っていった。
面談は、本社マネージャーと1対1で。
雑談もなく、本題から入る。
「今回、ここに呼ばれた理由は分かる?」
この質問で、私が悪者かのように感じる。
それでも時間を取らせてしまった事は事実。
「この度は、ご迷惑をおかけいたしました」
とだけ伝えた。
「早速だけど、今回の件を踏まえて、〇〇店に異動とします。」
えっ?異動?
それも◯◯店って、通勤に、何時間かかりますか?晒し者にしたいの?私より厳しい人、いっぱいいるでしょ!
やっぱり辞めろって事か…
私の思いや気持ちは、どこにも伝わっていない
ここに、私の居場所は、無いんだな…
よし。
「分かりました。退職します。」
そう伝え、会議室を後にしました。
案の定、手続きは最短で行われました。
その後、退職日前までに、
沢山のマネージャーから引き留める話や
私なら、スタッフの話は聞くに留めるなぁとか
えみさんを手放していいのかな?
そして、泣いてくれ人も。
本当にたくさんの有り難い言葉をいただきました。
ただ、当時の私はこの場から、この状況から
「逃げる」ことしか考えられず、皆さんの優しささえ気付く事なく、会社を去って行くのでした。
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