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【読切】ローリングソバットの女

彼にふられた。
塞ぎ込んでしまった私には
何か必要だった。

そんな時、
私が出会ったのは
「ローリングソバット」

かつて、
タイガーマスクと呼ばれるヒーローが
得意とした技。

飛び後方回し蹴り
「ローリングソバット」

空中を華麗に舞うその姿は
美しい。

私はローリングソバットを
身につけて
自信も身につけた。

そして、空前の
ローリングソバットブーム。

私はローリングソバットの火付け役として、
脚光を浴び、
やがてローリングソバット御殿を建てるほどに至った。

財産、名誉、全てを手に入れた。

人生を変えたローリングソバット。

ある日、
かつての彼が現れて
よりを戻そうと言う。

伝家の宝刀
ローリングソバットを見舞う。

せいせいした。

しかし、そのことが
スキャンダルされ
私は転落した。

丘から海が見える
人里離れた家に1人。

夕陽が私を癒してくれた。

全てを手に入れたつもりだった。
でも失った。

しかし、静かな時間を過ごしていた。

突如として、
地球滅亡の危機となる
彗星が!!

ああ、そうか。
私のヒーロー

今こそ伝家の宝刀
ローリングソバットで

私は地球を救う。

何もなくない。
私に残されたローリングソバット。

━━━━━━━━━━

(あとがき)
何もなくてもあなたは素晴らしい。
落ち込んだ時、
それでも私にあるものが
私を救ってくれることがある。
でも、本当は何もないように思えても
何もなくない。
あなたはそのままであなただし、
あなたはいるだけで素晴らしい。


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