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【38】 抽象度の高いゴールを設定する

ゴール設定における3つのルールのうちの1つとして、「ゴールは現状の外に設定する」というものがあります。
前回の記事では、現状の外にゴールを設定する方法として「ゼロを1つ足す」という方法を紹介しました。


今回は、より本質的に現状の外のゴールを設定する方法として、「抽象度の高いゴールを設定する」ことについて説明します。

抽象度(levels of abstraction)とは、もともと分析哲学の用語で、ある概念がどれくらい抽象的であるかどれくらいの情報を潜在的に包摂しているかの度合いを指す言葉です。

たとえば、「哺乳類」という概念は、イヌやネコ、ヒト…といった、より具体的な情報を潜在的に包摂しています。これは、「哺乳類」という概念が、「イヌ」や「ネコ」といった概念より上位の概念であるということもできます。

また、「動物」という概念は、哺乳類、爬虫類、鳥類…といった情報を包摂しています。

もちろん、哺乳類の中にはさらにイヌやネコといった情報が包摂されているので、抽象度の高さで言えば、「動物」 >「 哺乳類」> 「ネコ」 ということになります。

このように、概念には階層性があり、抽象度はその概念の上下関係を示してます。


では、コーチングのゴール設定において、「抽象度を高くする」とは具体的にどうすることを指すのでしょうか?

それは、「より利他的なゴールを設定する」ということです。

たとえば、「家族全員が健康に過ごしている」というゴールを設定すれば、そこには自動的に「自分が健康に過ごしている」というゴールも包摂されています。

さらに、「すべての人々が健康に過ごしている世界を実現する」というゴールを設定すれば、そのゴールには自分の家族はもちろん、日本中、世界中の人々が包摂されています。

つまり、より多くの人々に貢献する利他的なゴールが、「抽象度の高いゴール」です。

ゴールの抽象度を高めることによって、ゴールを現状の外に設定することができます。

抽象度の高い利他的なゴールを設定すると、そのゴールは達成方法がすぐにはわからない、現状の延長では実現できないものとなるからです。

その上で、そのゴールを実現したときの自己イメージ、コンフォート・ゾーンの臨場感を高めることによって、ゴールの世界に現状を修正しようというエネルギーと創造性が生まれ、自分自身と外の世界を変えていくことができます。


ゴールのコンフォート・ゾーンの臨場感を高めるためには、抽象度の高いゴールを実現したときに、

自分はどういう人物になっているか?

どういう生活をしているか?

どういう人々と関わっているのか?

といったことを一人称視点で想像し、五感で感じてみてください。

そして、その抽象度の高いゴールの実現につながる行動と選択を繰り返すうちに、いつのまにかゴールは実現されていることでしょう。

ワーク
自分が実現したいことはありますか?利己的なことで構いません。
その実現したいことを自分の家族全員が実現したら、家庭や自分の人生はどのように変化するでしょうか?
また、普段関わっている人たちや、日本中の人、世界中の人がそれを実現したら、どんな社会や世界になるでしょうか?
そして、そのような社会や世界を実現した自分はどのような人生を送っているでしょうか?
想像してみてください。