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現状の外に向かう就活

学生が就職を考える時に、何のために働くのか、何を生涯の職業としていくのかが明確になっている人は少数派だろう。先日も就活前の学生と話をする機会があったのだが、事務系か、それとも人と接する仕事かと二分して仕事を捉えていたので少々驚いた。とはいっても、自分が就活していた頃も、同じようであったと記憶するのではあるが。

何のためにその仕事をするのか?お金のためなのか、社会に何かしら貢献したいという思いからなのか?貢献というと、自分には何ができるのだろうと答えの出ない問いをぐるぐる巡らすことになりがちだ。では社会にどんな機能を提供できるのかと考えてみてはどうだろう。機能だから、自分が得意なことがよいと思う。学生時代に取得できる資格もたくさんあるが、たとえば、数字に強い、文章を書くのが得意、丁寧に人の話が聞けるといった一般的なものでもよいと思う。得意なことであれば、あまり苦にならず、その得意なことを社会から求められるニーズに合わせて、現実的に役に立つ形になるまで磨いていこうとする意欲も湧く。

あたりを付けるのが大事だと思う。

世の中にずっと同じ意味で定義された固定的な職業があるわけではない。弁護士、会計士、医師、教師など資格で定義された職業はあるが、それでも時代の変化に伴って、カバーすべき領域は変化している。だから、この職業に就くためにはどうすればよいかということだけではなく、何のためにその職業に就いて何を成し遂げるのかも同時に思い描くべきではないか?それがぼんやりしたものであっても、北極星のように当面自らの進路を指し示す目印があれば、多少の寄り道があっても戻ってくることが出来る。もちろん、冬のシリウスを目印にしてもよいと思うが、毎日同じ時間でも少しずつ動く目印になってしまう...

にわとりが先か、卵が先か、結局、行ったり来たりしながらしか決まってこないのだから、まずは仮でも方向を決めて、進みながら調整していこう。何のために、何を提供して、何を成し遂げるのかをイメージすればとりあえず進んでいける。

大事なのは、それは果たして心からやりたいことなのかどうかだ。いくら得意なことであっても、やりたいことでなければ、やらされているということなので、前向きに取り組めるはずはない。当然、期待されるような知識の蓄積も、スキルの上達も望めない。

まず、思いついた職業についてできるだけ情報を集めて、その職業で働いている未来の自分を想像してみる。もちろん楽しいことだけじゃなく、苦手だな、それはやりたくないなと思うことを想像してしまうこともあるかもしれないが、それはあまり深く考えない。まだ就職もしていないので、現実に起きるかどうかは分からないのだから。そうして、なんとか首尾よく就職できたら、嫌なこととしてイメージしていたことが、実は楽しいことだったり、キツイけど意味のあることだと理解できたりするかもしれない。そうやって、状況に合わせて、自分の感覚や判断をアップデートしていくのだ。もしその時点でこれはどうしても受け入れられない、このまま続けられないと思ったら、次に向かっていけばいい。もっと自分の能力を発揮できる場所が、きっと他にあるはずだ。そんな風に考えてはどうだろうか?

人はずっと居心地のいい場所にいたいと思う反面、成長していないと退屈してしまう生き物だ。だから、最初に勤めた会社で成長し続けられれば辞めることもないだろう。けれどもひとつの会社の中という閉じられた競争環境よりも、開かれた競争環境の方が成長のチャンスがあるに決まっている。それに人生はどんどん長くなっていて、すでに世界は何度でもチャレンジできる場所に変わっているのだから。

いつもいま生きている現状の外側に、まだ見えていない活躍の舞台があると信じて、どんどん先に進んでいこう。

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