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ジッチャンを鼻にかけて!#02
金田一少年が名探偵なことに異論はないのですが,リアルタイム進行系連続殺人事件を複数経験しているひととしては,2人目以降の犠牲者出し過ぎな気がしてモヤモヤしている今日この頃,みなさんご機嫌いかがでしょうか。いや対策しろよ。
本日は,僕がミステリファンとしてこれまでに一番驚いてケツが浮いた作品をご紹介したいと思います。
当時まだ僕はミステリを読み始めて間もなく,いわゆる本格派とかパズラーとか言われるような謎解きメインのような推理小説とそうでない社会派ミステリのようなものの区別もつかず,なんとなくおもしろそうなタイトルを片っ端から読んでいました。
赤川次郎先生の「三毛猫ホームズ」シリーズを順番に読んでた頃です。
ミステリの中でも本格と言われている Who done it 系ミステリというと,パズルを作る側の都合でいろいろこう不自然な設定になることが散見されまして,どの作品にもツッコミどころはあるものです。
本日ご紹介する作品でも,最初っからツッコミどころはあって,結果,ツッコミどころはほとんどの場合大事なことと密接に絡み合ってはくるものなのですが,しかし,僕は本当にすっかり騙されました。
それはもうコロリと。
ツッコミどころハッケーン!と怪しんでいたにも関わらずです。
ぜひみなさんにもケツ浮きを味わっていただきたいと思いますので,もしもまだ読んだことがない方がいらっしゃいましたら,今すぐ本屋さんへダッシュするか,Amazon でポチるかしてみてください。
さて,本日のケツ浮きミステリは。
これです。ドン!
「十角館の殺人」綾辻行人(講談社文庫)
離島に集められた元推理研究会の面々。
ヴァン,エラリィ,カー,ポウ,ルルウと呼ばれる男性,そしてアガサ,オルツィと呼ばれる女性が島を訪れています。
なんでそんなあだ名やねん。
ニックネームで呼び合ってること自体もう怪しいと思ってしまうわけです。
アガサ・クリスティの超名作「そして誰もいなくなった」をどうしたって意識せずにはいられない本作。何がスゴイかというとアレです。これはもう最後のほんの一行にすべてが込められていると言っても過言ではないという,メイントリックです。
離島内の十角館という曰く付きの建物の中で,次々と殺人が起こっていくわけですが,まぁご多分に漏れず結局全員が死んでしまって,犯人誰やねん状態に陥るといういよいよワクワクする展開です。
アガサに照らせば,アイツもアイツもアイツも怪しくないか?とミステリファンであれば誰でも怪しむものですが,怪しんだからと言って誰がいつ,どうやって連続殺人を完遂したのかは簡単にはわからない。
けれども2週目を読めば,そこかしこに確かに伏線がちりばめられているのことに気が付くのです。大胆に,しかし細心の注意を払いつつ,ギリギリでいて,かつあからさまに仕掛けられたトリックの種明かしの瞬間 ―それは本当に瞬く間,たったの一行で― ,僕は椅子から飛び上がるほどの衝撃を受けたのであります。
これか。
これがミステリの醍醐味というヤツか。
という気持ちを存分に味わうことができる一品です。
僕はこれですっかりミステリにハマりました。
しかし以降,この作品を超えるほどケツが浮いたことはありません。それほどの驚きでした。なにせ,あーた。まさか,あの,ね。
ネタバレなしで中身を説明するのって難しいですね。
この先はぜひ,本作を読み終えてから読後感想会でも開こうじゃありませんか。
それではまた次回。
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