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読書メモ|『死にがいを求めて生きているの』

読んでいてとにかくしんどくなる、思わず「うぅ…」と唸ってしまうような、登場人物に共感できてしまうがゆえに苦しくも、どこか救われるような、そんな本だったなと思います。

やりたいことなんてない、決められたルールがないと自分からは何も出てこない、死ぬまでの時間に役割が欲しいだけ。
でも、何者かになりたい、何かを成し遂げたい、ならなきゃ、やらなきゃ、ただただ生きていることには耐えられない。
だから、何かに取り組んで評価されるのではなく、評価されるために何か取り組むものを見つける。"手段と目的が逆"になる。

自分もそういうとこあるよな、と思った。外から与えられた課題・役割・評価。そういうものに縛られるよりも、そういうものがない方が不安で仕方なくなる。そういうものを求めに行ってしまう。

話の中で安藤に「手段と目的が逆だ」と言った彼は、「何者かになる、評価される」ための手段を選ぶって順序が逆なんじゃないの、と言いたかったんだと思う。けど、もしかしたら彼は、そんなふうに自分の欲求に素直に行動する安藤に対して、そして実際にその行動の結果狙った評価を手にしたことのある安藤に対して、少しの嫉妬みたいなものを感じてたんじゃないかな、とも思う。安藤のその戦略がうまくいかなくなって、そのやり方は間違ってたんだ、自分が合ってたんだと正当化できたのかもしれない。

でも、それを本当に目的とするなら、そこから逆算して手段を選び、その結果「何者かになる」という目的を果たすって、必ずしも悪いことではない気がする。どんな手段を選ぶかにもよるけれど、それを見てモヤモヤする気持ちもわからなくはないけれど、それを目的にしてはいけない理由ってあるのかな、と思った。

…こんなことを考えて生きている人がどれだけいるかはわからないけど、みんなそんなもんで、意識していようがしていまいが、同じような行動原理を誰しもが持っているのかもしれない。