ダウ90000第六回演劇公演『旅館じゃないんだからさ』再演大阪公演千秋楽感想
前置き
「ダウ90000道上珠妃さんしか生で見たことない」状態からやっと脱することができた!
※昨春道上さんが出演していた『午前0時のラジオ局』を観劇していたため。
第三回〜第五回の演劇公演は配信で視聴していたが、劇場でダウのお芝居を見るのは初めて。
今回再演される第二回公演については、完全に初見であった。
西日本で公演を打ってくれると、日帰りできるのでありがたい……。
近鉄アート館
大阪在住ではないということもあり、近鉄アート館でお芝居を見るのは初めて。
事前に座席表を確認していなかったので、到着してびっくり!
三面舞台ではないか!
確かに席番号がなんか変だとは思った!
(あれは二面舞台だが)小劇場B1を思い出した。
筆者は上手側2列目という、それなりの良席で観劇することができた。
観劇中、お向かいの下手側の観客が笑う姿が目に入ってきて、非常に新鮮だった。
観客がこんな近距離で真向かいにも座っていることは、初体験だったもので……。
本編の感想
ダウ90000については、2年前にコント『ワンピース』を題材に、鬱めいた批評を書いたことがある。
コント「ワンピース」では、吉原さんとのデートに大好きなワンピースの映画を選んだ蓮見さんが、鑑賞後に「ワンピースが、目的じゃなくて手段になっちゃったなあと思って」と後悔する。
「旅館じゃないんだからさ」の片山(演:園田祥太)は、元カノの藤川(演:中島百依子)が、二人が付き合っていた頃一緒に見た映画を"見ていない"と現在の彼氏に話していることに激怒する。
そんな片山に大して藤川は、
と返答する。
このやり取りを聞いて、「ああ、相変わらず蓮見翔は、何かしらのコンテンツの"オタク"と"そうでない人"の熱量の差を、日常会話に落とし込むのがうまいな」と感じた。
その後、片山と藤川のやり取りは続いていく。
現在の彼氏である優斗(演:飯原僚也)と、以前片山と見た映画をもう一度見ることに対して、藤川は、
と答える。
そう、特段映画オタクではない藤川は、"なんの映画を見るか"よりも、"誰と映画を見るか"ということを重視しているのである。
前述のコント・ワンピースの感想noteを、私はこのような書き出しで始めている。
2年前当時は、なぜ「映画を一人で見ること=映画に対する真摯な向き合い方」だと思っているのか、我ながら言語化することができていなかった。
しかし、今回「旅館じゃないんだからさ」の再演を鑑賞して、その理由にやっと気付くことができた。
要は、作品そのものとは直接関係のない、自分の人間関係で作品のイメージが変化することを、私は極度に嫌っているのだと思う。
今作のシチュエーションから例を挙げると、「元カノと見た映画だから、見た映画ごとなかったことにする」なんてことをしたくないから、私は映画を一人で見たいのである。
上記は作品に悪いイメージがつく例だが、栗原(演:吉原怜那)が呪術廻戦の映画を「観た後告白された思い出の映画」と評していたような、作品に素敵な思い出が付随するのも、私個人としては避けたいと強く感じる。
「鑑賞後に告白されたから」という作品の本筋にない理由で、「劇場版 呪術廻戦 0」の評価が自分の中で高まることは、どうしても絶対に許せない。
作中、片山に思いを寄せる塚田(演:道上珠妃)が、彼を「映画しか観ないから人の気持ちとかわかんないんだよ。作り物でしか心が動かないから」と評していた。
勝手ながら塚田の言葉をアレンジさせてもらうと、要は私は「作り物でしか心を動かしたくない」のであろう。
だからこそ、作品の評価に現実の出来事が影響することに強い忌避感を覚えるのだと思う。
なぜ「作り物でしか心を動かしたくない」のかと言うと、結局は対人コミュニケーションが不得意で、その分ずっとサブカルに逃げ続けてきたから、と自分で自分の欠点をあげつらうことになるのだが、ここを膨らませるとまた鬱ブログになるので今回は辞めておく。
本公演を鑑賞して、面倒くせえオタク心を日常会話に落とし込む蓮見さんの言語化能力に再度感嘆すると共に、配信視聴で良いから初演の時点でこの作品に出会いたかったなと思った。
過去のことをうんうんと後悔しても仕方がないので、今回再演の千秋楽という貴重なチケットを取れたことに、改めて感謝したい。
カーテンコール
カテコは写真撮影OK。
演劇を見に行くたびに何度も同じことを書いているが、筆者は演劇特有の演者が何度も出てくるカテコが大嫌いなので、1回出てきてすぐしゃべり始めた点に非常に好感を持った。
次回公演は、2025年5月に東京・大阪・福岡で開催するとのこと。
大阪以上に交通費を抑えられる福岡での開催は、マジでありがたい……。
チケット代以上の交通費を出して公演を見に来る観客に蓮見さんが改めて感謝の意を示し、今後はいろんな地方でも本公演を行いたいとおっしゃっていた。
舞台セット見学
終演後15分間は、舞台に降りてセットの見学ができた。
写真撮影も可能だった。
DVDコーナーや漫画コーナーの棚の写真を全て本noteにアップすることは避けるが、田島列島先生のファンとして、「子供はわかってあげない」と「水は海に向かって流れる」がラインナップに入っていたことがうれしかった。
私はコロナ前までアニメ以外の映画を全然見てこなかった人間なので、映画・ドラマ棚の作品やオマージュ元の作品を全然見ていないのはまあ仕方がない。
一方で、そこそこの数ラインナップされていた漫画のうち、読んだことがある作品が3作品しかなく、「私って本当にオタクなんだろうか……」と若干ショックを受けた。
無理矢理いい意味で捉えるのであれば、「TSUTAYAのレンタル棚に置いてあるような有名作品を思考停止で読んできたのではなく、自分で自分の読みたい漫画を選び続けてきた」と結論付けることもできるが……。
さすがにこじらせオタク思考過ぎて嫌だな……。
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