『MOMOIRO CLOVER Z』アルバムレビュー + 全曲解説
ももいろクローバーZの5枚目のフルアルバム『MOMOIROCLOVER Z』。
5枚目にして初のセルフタイトルとなった今作の超個人的な感想をつらつらと、楽曲ごとに書いていきたいと思います。
4thまでのアルバムとの1番大きな変化は言わずもがなメンバーが4人になったことだろう。
4人になったももクロとしての初のアルバム、大きなテーマはおそらく「大人のももクロ」だ。
大人のももクロの華麗なるショー。
それが今回のメインとなるコンセプトだろう。
ここからはアルバムの曲順に感想を書いていく。
1. ロードショー
アルバムのトップを飾る一曲。
『ロードショー』という曲名の通りアルバムというショーの始まりの曲にぴったりに仕上がっている。
かの有名な曲のキラーフレーズが盛り込まれているおかげで誰でも初耳でアガれる曲になってるのが良い。アルバムの一曲目はこうあるべきだという見本になる曲といえるだろう。
この曲のおかけでアルバムのコンセプト・雰囲気がバシッと伝わってきて、アルバムの土台をしっかり作っている。
ライブで単体で歌っても確実に盛り上がる曲といえるので、今後も人気曲に成長していくだろう。
2. The Diamond Four
作詞・作曲・編曲 invisble mannersの曲。
今回のアルバムの表題曲。
ももクロの決意とこれがTDFだ!ということを見せつけるような楽曲になっている。
曲調はラップ調の部分が多いがとても軽快でノリがいい。大人な雰囲気を出しつつも、ももクロ本来の楽しい和気あいあいとした雰囲気も感じとれる聴き心地の良い作品。
ロードショーからの流れも素晴らしく、TDFのショータイムが始まったことを感じさせてくれる。
1番好きなリリックは『能ある鷹の爪にネイル』
この歌詞だけで100点つけたくなっちゃう。
3. GODSPEED
このアルバム唯一のアイドルっぽい真っ直ぐな曲。
単体で聞いたときはなんか普通だなぐらいにしか思わなかったが、アルバムの3曲目にいることで見事にアルバムの勢いをつけている。
アイドル王道ソングがこの位置にあるおかげでアルバム前半をスッと駆け抜けることができる。
疾走感と応援ソングの面を一曲で担う、非常に大事な楽曲だ。
4. あんた飛ばしすぎ!!
作詞にオークラを加えたGARLICBOYSのリメイク曲。
ロックにガッツリふった自己紹介ソング。
基本的には飛び道具的なネタ曲っぽいのだが、軽快なロックサウンドのおかげでアルバムの中でもロック曲の立ち位置を担っている。この絶妙なバランスがうまくハマっている。
おもしろ曲で終わらせず、アルバム前半の勢いに一役買っている。
こちらも『GODSPEED』同様先行配信されていた楽曲だが、アルバムに入って評価をあげた印象だ。
5. 魂のたべもの
作曲・編曲は昔からのももクロ作家陣の1人横山 克。とても暗い落ち着いた曲。
アルバム前半の終わりの曲でこういった曲を歌い上げれるようになったのは、ももクロの歌唱力が向上したことを痛感できる。
ひたすらに暗い曲は個人的にはそんなに好きではないのだが、アルバムとして見たときに『魂のたべもの』のおかけで前半がしっかりと締まっていると感じることができた。今回はシングル曲がないため、先行配信されていた曲をシングル曲と考えれば
アガる曲→表題曲→シングル曲→シングル曲→落とす曲
と実はアルバムの王道をしっかりいっていることが分かる。
これはこのアルバムの聴きやすさやコンセプトの浸透しやすさに繋がっているだろう。
6. Re:Story
作詞・作曲・編曲 invisble mannersの曲。
本作のinvisble manners3部作の1つ。
まさに4人のももクロの再出発の曲。これからのももクロにとって大切な曲となるだろう。
アルバムの立ち位置的には中盤の核となっており、ここからB面が始まるといってもいい。
invisble mannersお得意のラップパートも兼ね備え実に安定感のある曲になっている。
ライブで大切に歌って育てていきたい楽曲だ。
7. リバイバル
かっこいいけどもったいない曲。
曲順やアルバム全体の雰囲気にひっぱられ損をしているタイプの曲。
イントロのスティールバン?(わかんないけど)の音色とサビの『Go on more and more』 が心地よい。
オシャレだけど、オシャレ度と飛び道具度で他の楽曲の中に埋もれてしまっている印象。
アルバム順で聞くより単体で聞くほうが良く感じる、シングル曲のB面とかに入っていたらもっと評価していたかも。
8. 華麗なる復讐
まるでディズニーのショーのような曲。っていうかもう完全に舞台やショーを意識したミュージカル調の曲。
ストリングスの美しい音色、ドラマチックでぶっ飛んだ曲展開、不安を煽る迫力のコーラスに語りパート、曲中で繰り広げられるストーリー、そして最後の蛇足っぽいマハラジャパート………
こういう無茶苦茶な曲が個人的に大好物なため正当な評価ができていない気はするが、とてもももクロ感でていて良いではないだろうか。
ディズニーランドでライブを見たい。
9. MORE WE DO!
10. レディ・メイ
『MORE WE DO!』はCHAI提供曲、『レディ・メイ』はGLIM SPANKY提供曲。
個人的にはだいぶイマイチな2曲。
作詞作曲だけでなく、編曲もそのバンドがおこなっているため、ただのCHAIの曲とGLIMSPANKYの曲になってしまっている印象。その曲をただももクロが歌っているだけに聞こえてしまい、"ももクロの楽曲"というところまで昇華しきれていない。
また、どちらも少し飛び道具的な癖のある曲(ストレートな分かりやすい曲ではない)であるためアルバムの曲順と相まって中だるみゾーンに感じてしまう。
曲順やアルバムの他の曲がもっとストレートなアゲ曲であれば、この2曲も印象が少し変わったかもしれません。
11. Sweet Wanderer
作詞は高橋久美子、作曲・編曲はinvisble mannersの曲。
本作のinvisble manners3部作の3つ目のミディアムバラード曲。
今回のアルバムではinvisblemanners曲が怒涛の3曲あってどれもいい曲なのだが後味が何だか同じなのが残念。一曲でもマホロバ・デコレーション系があれば映えたのになぁと。
invisble mannersお得意のラップパートだが、この曲に関しては必要だったかは諸説ある。クミコンの歌詞を全面に押し出すなら、ラップパートなど入れずに歌詞に浸らすべきではと思ったり。(まぁ、これは私がクミコンのファンだから思ってしまう贔屓目な話ではある)
12. 天国のでたらめ
作詞・作曲は志摩遼平、編曲はケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラの人)。
めちゃくちゃ良い曲。
泣けるし染みるし震える個人的今作NO.1ソング。
ももクロの表現力と歌詞と曲調と編曲がしっかりとハマった今だから歌える、今だからこそ歌うべき"芯"を感じる。
ももクロ主演のミュージカル『ドュユワナダンス?』の楽曲だが、舞台を見てない私でも染みる切ない歌詞。舞台を見ていたらその映像とリンクしておそらく号泣必死の名曲だろう。
13. The Show
本アルバムを締めくくる、このショータイムを締めくくる曲。落ち着いたゆったりとした締めにぴったりの曲。
『ロードショー』で始まり『The Show』で終わる、この辺りはアルバムを1枚の作品としてしっかり作り上げていることを感じとれとても良い。
元々はレンカというシンガーの曲で、それを日本語訳しリアレンジした曲らしい。
"人生というショー"とこのアルバムというショーが重なり歌詞とのリンクが気持ちいい。
14. ももクロの令和ニッポン万歳!
前山田曲の『ももクロのニッポン万歳!』の所謂ZZバージョン。アルバムとしてはボーナストラックの位置付け。
やはり前山田は自分の曲を再構築するのがとてもうまい。前回曲のフレーズをしっかり残しつつ、彼女達の『今』をしっかり歌詞に反映している。
今回のアルバムには前山田曲が一曲もなかったが、最後にボーナストラックとして前山田曲があることで、ももクロらしさと古くからのももクロファンを救済するという重要な役割を担っている。
アルバム全体がピンと来なかった古参さんもこの曲でなんだかんだ許してしまう、結局ヒャダイン曲があるのとないのでは全然違う、そんなことを思い知らされた。
総評
楽曲としてあえて個人的に順位をつけるとするならば
1位 天国のでたらめ
2位 ロードショー
3位The Diamond Four
といった感じだろうか。
1番心配されていた4人なったパワーダウンをあまり感じさせなかったのはすごい。ただ、それは勢いのあるパワー曲が少なく歌い上げる聞かせる曲が多かった影響もあると思われる。
個人的には今までのアルバムに参加してきたももクロ作曲陣による安定感とパワーを兼ね備えた曲がもう1、2曲あればよかったなというのが正直なところ。NARASAKIやAKIRASTAR、ツキダタケシら作曲家たちの成分がやっぱりほしい。新しい人達からの楽曲提供はもちろんウェルカムだが大事なのはバランスだ。
それらの点も含めて3thアルバム『アマランサス』には敵わないなというのが私の感想である。
もちろん個人的に『アマランサス』『白金の夜明け』が好きすぎるだけなような気もするが………
どちらにしても!!
良くできたアルバムであることは間違いないので、
一人でも多くの方に新しいももいろクローバーZの『MOMOIRO CLOVER Z』を聴いて頂ければと思います。
長々と書いてしまいました。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
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