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ジョー・ブラックをよろしく

ジョー・ブラックをよろしく
Meet Joe Black/1998年/アメリカ
マーティン・ブレスト
★★★★☆

https://www.youtube.com/watch?v=JdJS07wKUAw

予告編(英語・字幕なしですが)


あらすじ

とある会社の社長であるビル(アンソニー・ポプキンス)の元に、死神(ブラット・ピット)が現れる。死神はビルの死期を延長するのと引き換えに、ビルに人間界を案内させる。ビルは、周囲に彼を紹介するにあたり、とっさに「ジョー・ブラック」と名付ける。

一方、ビルの娘であるスーザン(クレア・フォーラニ)は出勤前のカフェで出会った青年と恋に落ちる。仕事を終えた後、家族と食事を共にする為、スーザンは実家に戻る。そこに居たのは、今朝カフェで出会ったあの青年だった。家族に紹介されたその名前は「ジョー・ブラック」。

ビルは残された時間の中で、家族との時間を見つめ直す。スーザンは次第にジョーに惹かれ、ジョーもまた、スーザンの魅力に引き込まれていく。


感想

この作品、181分というなかなかの長尺なんですが、見れます。苦じゃなかった。むしろ、着実にこの作品の世界観に入り込めてとても幸福な時間を過ごしたように思います。

これから詳しく書きますが、ジョーとスーザンが美しい!画面の美しさといい音楽といい、ロマンチックです。恋愛ものが好きな方はもちろん、ディズニー映画が好きな人にもハマる世界観かもしれません。

また、ジョーとの出会いの中でビルは自分の人生を振り返ったり、家族との関係を見つめなおしたり。死を通して生を見るような物語です。かなしい、せつない、だけどあたたかくていとおしい映画でした。


※以下、ネタバレ有。
好きだったシーンを並べます。


・カフェでの出会い

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登場した瞬間からブラット・ピットが美しいですね。「美し!」となります。二人のいい感じの雰囲気も「あ、もうこれ好きじゃん」となって好きなんですが(語彙力)、個人的にはカフェを出た後のシーンが好きでした。お互いに背を向けて歩き出すわけですが、相手が気になって振り返るんです。でもタイミングが合わずお互いがお互いの後ろ姿を眺めることになる。かわいらしいですね。(この直後、青年は車に轢かれてしまいます。その青年の体を死神が利用してビルの前に現れるわけです)


・ジョーの魅力

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ビルとの契約が成立し、ジョーはビルの屋敷に寝泊まりし行動を共にすることになります。ジョーは人間界で初めて見るもの、触れるものに興味を持ち、不思議そうに、わくわくしたように、目を輝かせます。

屋敷内を探検している途中、厨房でピーナッツバターをもらってなめるシーンがあるんですけど、厨房の人たちが微笑ましくそれを眺めてるんです。あたたかい気持ちになりました。その後もネクタイがうまく結べなかったり、赤の横断歩道を渡ろうとしたり。話している言葉は死神らしくシリアスだったりするんですが、動作や表情がかわいいんですよね。


・病院のおばあさん

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ジョーがスーザンを訪ねて勤務先の病院へ行ったとき、あるおばあさんに出会います。おばあさんはジョーを一目見て「この世のものではない」ということを察し言葉を交わします。このふたりの会話も、やさしくて大好きです。


・ジョーとスーザンが美しい

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この二人のシーン、どこを切り取っても美しい。その一言に尽きます。見つめ合う二人の目に確実に10回は吸い込まれます。しかも二人のシーン、ワンパターンじゃないのがすごい。始めてのキス、2回目のキス、回数を重ねたキス。全部違う。ブラピ!すごいな!

この物語を通して、スーザンは「カフェの青年」「ジョー」という二人の男性に恋をします。そして彼女は、その二人の差に徐々に気付いていくのです。自分が恋に落ちた青年と、いま目の前にいるジョーという男。不思議なことに、見ているこちら側もいま画面に映っている男性が「カフェの青年」「ジョー」のどちらなのか、名前を言わずとも伝わります。ブラピ!すごいな!


・死を通して生を見つめ直すビル

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ジョーが現れ、自分の死期が近いことを確信したビルは、家族との時間を増やし、会社を守ろうと奮闘し、人生を振り返ります。

ジョーが現れた当初は、ビルの中には死に対する恐怖があったはず。しかし、人生を振り返り、周囲との関係を見つめなおす中で、次第に自分の死というものに向き合っていくのです。生と死が切り離せないものであることを感じました。ビルとジョーが行動を共にし、二人の間に絆が生まれますが、ここにも、ビルが死(死神であるジョー)を徐々に受け入れていくのを感じます。


・思い出について

ビルがジョーに、亡き妻との出会いを話すシーンがありますが、そのシーンもまた素敵。愛を感じます。ジョーはそれを黙って聞くんですが、その表情がとても良い。ビルを見つめる目が。

また、病院で出会ったおばあさんを見舞った際、ジョーは「あんたに思い出はあるか」と尋ねます。「あるわ」と答えたおばあさんの表情はとても穏やかなもの。死期が近く、腫瘍の痛みに苦しむ患者の顔ではなかった。

人は思い出を語る時、思い出す時、苦しみや痛みを忘れられる。こんなにも優しい表情になれるんだと感じました。


・愛というもの

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ビルの長女であるアリソンは、日頃から父が妹(スーザン)に対して、自分とは違った顔を見せることを感じ取っていました。「父は自分より妹の方がかわいいんだ」そう思っていた訳です。それをわかった上で「私は愛されている」と言います。とても強くて、家族への愛に溢れた女性だと感じました。きっと妹を妬んで憎むことはできなかったんだろうな。父も妹も愛していた。

アリソンの夫のクインスは、ジョーに妻との出会いを尋ねられ、なぜ彼女が君を愛してると確信できるのかと問われます。クインスはこう答えます。「欠点を許してくれる」「一つの欠点ではなく、すべてを」(ちなみにこのシーンのクインス役、ジェフリー・タンバーの演技とっても好きでした。)

言葉で愛を語り、「愛している」という言葉も何度も出てきます。すべて違ったかたちで。家族を愛し、恋人を愛し、自分を、自分の人生を愛した人たちがたくさん出てきます。やっぱり愛に溢れた映画


まとめ

始めにも書いたとおり、181分の長編です。ですが、退屈な時間はありませんでした。見ごたえ抜群です。生と死、愛、人生。そんな大きなテーマですが、重すぎず軽すぎず、自然に感じられる映画でした。

痛みを忘れられるような誰かの思い出に、自分が居たら素敵だな。誰かを愛して、愛されて、自分を、自分の人生を愛せたらいいな。そんな気持ちになる一作でした。

おわり


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