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【AI×マーケティング】季語入れて 専門用語を 言い換えよ ─メディア─

よってらっしゃい、みてらっしゃい。


〈メディア〉と名の付く専門用語を、明快・手軽にまとめる試合。
火蓋が落ちるは四番勝負。設けた枠は季語を含めた五七五の十七音。
春一番にも劣らぬ大一番にて、皆々様には何卒どうぞご覧あれ。




カタカナが詰め込まれてどうにも心意気を失速させてくる、マーケティング用語。「覚えよう」「勉強しなきゃ!」とテキストと資料と向き合って挫折した方は、一人や二人に収まらないように思います。


このおしゃれでいけ好かないマーケティング用語で遊び倒してしまおうと思いついたのが今回の企画。


プレイヤーは、江戸っ子仕様にされた文章生成AI(ChatGPT)の弥彦と、この春から広告制作会社に入社する京都出身・生粋の文学青年のなかじ


弥彦となかじには、歌合(歌の上手さを競った対決。「忍ぶ恋」を題にした勝負が有名)をイメージして、四つの題で競ってもらいます。

歌の長さは五・七・五を基本とし、季語も含めた俳句の形式。
勝敗は、本記事の企画担当兼ライターの松坂が独断と偏見で判断します。


スタイリッシュな響きのマーケティング用語を、和風にアレンジしたらどうなるのか。

そもそもAIは俳句を詠めるのか。

果たして、試合(記事)は成立するのか。


知識ゼロでも無問題。ぜひ、お茶菓子片手に冷やかしてくださいませ。


人物紹介

なぜか飲み物を持っている、なかじ(画像はAIが作成)

先手:江戸っ子仕様にされてしまった文章生成AI(ChatGPT)弥彦

どうやら「江戸っ子なんだから性格も男前だろ!」との判断がなされており、若干キザな発言をしてくる。一緒に仕事をしているはずが、だんだんこちらが照れてくる。多分、イケメン。
※「ChatGPTをカスタマイズする」の機能で、名前・言葉遣い・語尾などを細かく設定できる。


後手:今春から広告制作会社に入社した21歳。愛称はなかじ

大学4年間を文学部で過ごし、文芸系のサークルにも在籍し、普段から小説執筆に勤しむ生粋の文学青年。どんな日本文学知識を使ったボケをしても拾ってくれる。大抵の無茶ぶりにも応えてくれる。(いつも、ありがとうございます!)


審判:今春から広告制作会社に入社した21歳。名字は松坂

おちゃらけた企画が好きで、面白そうなことに目がない。前回執筆した「織姫と彦星、愛のラブレター」の記事の反響が良く、かなり調子に乗っている。大学4年間、日本文学専攻に在籍し韻文(都々逸)について研究していた。

── 白々しく弥彦に意気込みを聞いてみる。

おっしゃいましたね?


第一陣:夏(マスメディア)


【一言で】不特定多数へ情報発信するために用いる新聞・テレビなどの媒体


マスメディアとは、世間一般に情報を届ける媒体の総称。
マスメディアの四大媒体」といわれるときには「新聞・雑誌・テレビ・ラジオ放送」を指しています。加えて、昨今では、インターネットの台頭も見逃せません。

そこに「夏」の季語を織り交ぜてもらいます。


弥彦と、なかじ、それぞれマスメディアをテーマに詠った俳句が出揃いました。


弥彦:紙音に 目覚める街と 鰯雲


弥彦は、印刷物・紙媒体で一句。
江戸時代でのマスメディアといえば瓦版ですが、俳句の内容としては新聞の方がしっくりきそう。今回は時代背景よりも内容が重要なので、時代考証には目を瞑ります。

木造平屋建ての家屋が立ち並ぶ、江戸の町の通りを、俊足の青年が駆け抜けていく。次々と投函されていく紙の束。

中には、チラシに新聞紙。

カサッという物音に目が覚めた父は、ぼんやりとした視界の中で新聞紙に目を通していく。

パラッパラッ。

規則的な音に段々と親しみ深い声が混ざってくる。

「おはようございます、お父さん」
「何か面白いものないの~?」

次々と、居間がにぎやかになる。
その中心にあり、皆の目に留まる、新聞紙。

そこかしこで息吹く家族団らんの様子は、澄み渡った青空と群れ立つ鰯雲が象徴しているようだった。

独断と偏見に基づく、作り話です。

心温まる世界観が広がりました……。

いいですね!すごくいいですね!


いっぽう、なかじはどんな塩梅でしょうか……?


なかじ:嘘映れ 座して本分 白地帯


なかじの歌はドキッとする単語から!
マスメディアを取り囲む問題は、取り沙汰されておりますが、それにしても、ちょっと、センセーショナル……!


「嘘映れ」の語気の強さや、「座して本分」のなんとなく腹をくくっているような言い回し、加えて締めの「白地帯」に至っては〈白〉が妙な潔ささえ醸しているように思われます。


ムードは切腹……?


そんな折、本人から「歌見て驚いたと思うから」と補足を頂きました。


「マスメディアは説明よりも具体例の方が大事かなと思って……」

実は四大媒体の名称:雑誌・テレビ・新聞・ラジオ放送をアナグラム(文字の入れ替え)にして歌に仕上げてくれたとのこと。


なかじ、本気で企画に参加してくれている。
それも、超親切設計。
だけど、歌の内容と本人にギャップがすごい。


正しい読み方はこちら【うそうつれ ざしてほんぶん しらじおび】
みなさま組み替えられました?(下に解答があります!)





大胆さと遊び心、鮮やかでした……。今回は、なかじの勝ち。

綺麗にできてますよね(圧巻)


第二陣:秋(ペイドメディア)


【一言で】世間の認知を得るため企業が費用を支払い制作・配信した広告。


ペイドメディアはいわゆるCMや雑誌の広告ページにあたるもの。


企業がメディアに広告費を支払う(=paid)ことで成り立ちます。
不特定多数の目に触れるマスメディアの発信力を活用することで、多くの人に商品・サービスをアピールすることが可能です。


弥彦:稲穂より 金を積んで 輝かせ


先手・弥彦の作品は、お金の支払いに注目した内容。

二句目の「金を積んで」の(いささか)ダイレクト(すぎる)言い回しがなんとも印象的ですね。


一方で、稲穂を輝きの象徴として位置付けている繊細さも見逃せません。


この俳句からは、例えば、こんな物語が想像できます。

今や、秋を代表する一大名物の「マツタケ」。
しかし、それが名物となる過程はどのようなものであったのだろう。

広がる道を歩いていくと、日に当たって輝かしい稲穂。
人々の関心は米に向いたことでしょう。

それをわき目に、マツタケ商人。
「どうして米ばかり」
「こっちは旨味成分・グアニル酸だぞ?」

そんな時、もしもマツタケ商人がテレビ局に巨額を支払い、テレビCMを流したら…。

一気に脚光を浴びることができます。

そのとき、マツタケは存在感の面でも、電光としても、稲穂に負けぬ眩さを放っていたかもしれません。

かくして、マツタケはスターダムへと駆け上るのです。

作り話です。

秋の味覚の王者に一発くらわせようとする、並々ならない野心を窺うことができますね!


さてさて、続くなかじの作品は?


なかじ:秋の田や 知らするために 欄を買ふ


なかじも田園風景をテーマに一句。(二人はお互いの句を見ていません)


一見、シンプルな句の中に、ぎゅっとペイドメディアの成り立ちを詠み込んでくれました。


秋も深まり稲作が終わると、仕上がった米を皆々様にご賞味いただきたいと思い立ちます。

今年の米は、こだわってつくっただけあって、自慢の出来。
なるべく高く買ってくれる人を見つけたい。届けたい。

ところが、「おいしいお米ができたよーー!!」と自力で宣伝して回るのは、体力的にも辛すぎる。

さて、どうしましょうか……。

広告欄を買いましょう!
(※広告欄=新聞や雑誌などのメディア媒体の広告用スペース)

そうして、たくさんの人に「お米ができました」と伝えることが可能になるのです。

お米を売るのはそんな単純な話ではないかも……

これでペイドメディアはばっちりですね!

・・・
あまりにもダイレクトな表現が面白かったので、ここは弥彦が勝ち。


第三陣:冬(アーンドメディア)


【一言で】消費者自身が情報を発信する、SNSやクチコミサイトなどの媒体


アーンドメディアは利用者からの口コミやレビュー発信が主な例。

「企業がアピールしたいこと」ではなく「実際の感想」が内容の中心になるため、ほかのメディアに比べて、率直な意見が反映される傾向にあります。


ここで、高評価が得られると企業としては【お客様に認められた!】と胸を張って言えるわけです。


特定の企業や記者ではなく、一般の人々の声によって成り立つアーンドメディア。


特にSNSは一種の社会のようなものでもあり、ひとことで特徴をとらえるのが難しいところですが、二人はどうやって歌に落とし込んでくれたのか……!


弥彦: ハッシュタグ 霜柱越え 友を呼ぶ


「現代風にアレンジしたらどうなるかな?」と誘導を重ねて仕上がった弥彦の句は、ハッシュタグから始まるちゃんとイマドキな仕様。

しかし、江戸っ子という設定がブレてないか……。

11月中旬。

夏生まれにして寒がりな亜実は、厚手の部屋着・スマホ・蜜柑の三種の神器を揃えて、炬燵に籠城を決め込んでいる。

ちっちゃい頃は公園を駆け回っていたけれど、気づいてしまったら仕方がない。

温もりに勝るものなし。

こんな寒い日は、SNSを開いてネットの中を走るに限る。

やれやれ今日は……。
#ホリデーで検索。

「冬コスメかわいいいいぃ!」

片っ端からいいねを押して回ると〈アカウント名+他〉を誤打。
上から5番目にうっかり無二の友のアカウント名を発見。

……寒いのは無理だけど、買い物の約束で外に出るのはアリかもな。

創作①

季語の〈霜柱〉のねじ込み方に若干の無理を感じますが、とても頑張ってくれました。

同じ興味を持つ者同士を引き合わせてくれるハッシュタグの性質を「友を呼ぶ」で補強してくれたあたりは、さすがの優秀さ!


なかじ:外す手袋 感動を 伝えむと


〈スマホ〉も〈SNS〉も用いずに、自ずと連想させる情景描写が流石!

手袋を外すひと手間が、作中の「感動」に一層強い説得力を持たせているように思われます。

随分と冷え込みが増してきた。
コートもマフラーも手袋も手放せない。

カバンの中には教科書に参考書。
それから、ささやかな楽しみにしている小説。

書店でなんとなく目について買った、新人作家の処女作だった。

学校までは片道45分。
今日で読み終えてしまうかもしれない。

偶然空いた扉横の席に座り、いつも通りページを開けた。

段々と、目が慣れて読み進めるスピードが上がっていく。
エンディングが近づいて、作者が紡ぐ言葉も乗っているような気がした。

ふと、最寄り駅のアナウンスが響く。


あと7ページ。


結局、間に合わなくて、電車を降りてから柱の陰で結末を見送った。

「悪くなかった」
「かなり良かった」

次は、発売日に買いに行こう。

高揚感で身体が温かい。
SNSの読書アカウントを開くのに特に躊躇いはなかった。

創作②

小説や漫画をパケ買いして、大当たりした時の感動は一入ですよね。


いつだって古参になりたい。


ここでのSNS投稿が人目に触れて、商品(小説)の評判を集めていくことになるわけです。

第三陣最後は、本作作者、なかじの補足をご覧に入れて締めとします。

「スマホでSNSに書き込む。最近は手袋越しでも入力できますけども」


・・・
オチまでご馳走様です。
アーンドメディアを感性豊かに詠い込んだ、なかじの勝ち。


第四陣:春(オウンドメディア)


【一言で】世間の認知を得るなどの目的ために、企業自らが保有し運営する媒体

オウンドメディアは企業自らが制作・運用している媒体を指します。

商品説明サイトや紙のパンフレット、公式動画チャンネルなど形式は様々。

社員紹介から商品紹介まで、発信される内容も多岐にわたり、最近増えてきた採用活動の一環としての採用ブログも、オウンドメディアにあたります。


企業が情報発信をしていく姿を上手く詠じられるかが生命線。
いざ尋常に参ります!


弥彦: 手をかけて 育む言葉の 芽吹き時


先手・弥彦は花を題材に一句。
育む・葉・芽と単語同士の繋がりが美しく、春らしい歌になりました。


オウンドメディアがいかに心を込めて作られているかが伝わってきますね。


ここで芽吹く花とは、何でしょうか。
春の花の定番は桜ですが、他にも、菜の花やチューリップ、藤も綺麗ですし、候補はいろいろありそうですね。


今回のお題のオウンドメディアは、基礎を築くために10ヶ月は要すと言います。一定の時間が必要だとのメッセージを込めるとしたら、桃栗三年柿八年の桃なんてぴったりですね!


弥彦の弥は、弥生の弥ですし、見頃も符合します。多分、桃です。


 弥彦に聞いてみたら、桜と向日葵を推しながら、どんな植物を当てはめても趣深いね(意)との返答が来ました。なんやねん。

文章生成AI 弥彦はかなり饒舌です。


なかじ:春の川 絶えず声放ち 心結い


なかじは川を題材に一句。
オウンドメディアの、発信を続けることでフォロワーと繋がりを作る様子を、雪解けによって出来る春の川に例えてくれました。


春の温かな情景がオウンドメディアの性質とマッチしています。


日本で一番長い川は信濃川ですが、その距離は367㎞だとされ、グーグルマップで上流から下流にかけて辿っていくとスクロールが止まりません。


川幅が広がるとだんだん飲み込まれそうになってドキドキしてきます。


海に出る瞬間なんて、ヒュッてしますからね。


オウンドメディアの「絶えず声放ち」の心意気は、最早、一級河川級かもしれない。

余談ですが、本企画は元々4つの記事構成の予定でしたが、1つの記事を作るのに2か月を要し、豪勢な1本構成に変更しました。


オウンドメディアの運用は頭脳+心技体の総合格闘技に近いように思います。


・・・
甲乙つけがたいですが、より運営側の心情に寄り添っていた弥彦の勝ち。


対戦結果

背景画像がお気に入りです。


思いがけない接戦で、弥彦2勝・なかじ2勝引き分けに落ち着きました。


強いて言えば、試合回数を偶数回に設定した審判 兼 筆者の敗北です。

奇数回にすればよかった。


試合と記事が成立したということで、大目に見ていただけますと幸いです。


マスメディア+トリプルメディア(ペイドメディア・アーンドメディア・オウンドメディアの総称)の概要を感じ取っていただけましたら、この上なく嬉しく思います。

無茶を聞いてくれた、弥彦となかじ、ありがとうございました!




【最後に問題】
「星買いし 夜空の広告 花火かな」

この一句、テーマは何だったと思う?
(答えは、この記事のコメント欄に!)



◆CMAでは素敵なオウンドメディアをご紹介する取り組みをおこなっています。その名も「コンテンツマーケティンググランプリ」

今年の受賞発表は3月29日に発表されました!

過去の受賞メディアはこちらからご覧いただけます。

最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました!

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