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Windy上ECMWFモデル予測と実際の雨量比較-8月中旬の大雨に関して

8月中旬、お盆を中心に降り続き、九州北部などで大きな被害を出したあの恐ろしい大雨。甲子園球場で今年の夏の全国高校野球大会もこの大雨に翻弄され、大会のあり方や甲子園球場の開催の是非にまで大きな議論を巻き起こした。実は、Windyサイトなどに載っている各種気象モデルでは、降り始めの数日前にこのとんでもない大雨が予想されていて、的中してしまった。

では、この気象モデルの正確度はどれくらいだったのか。福岡県、佐賀県を中心とした8月10日夕方ころの「ECMWF」(ヨーロッパ中期予報センター)の雨量予測のスクリーンショットが残っていたので、これと比較してみる。

まずは、8月10日夕方時点での、今後の累積雨量予測の写真。期間については「データ更新時点以降」と思われる。日によって前後はあるが、夕方のデータ更新は17時頃のようだ。

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▲次の3日間

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▲次の5日間

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▲次の10日間


主要都市について、対応する期間の実際の雨量と、括弧内に示す予測との比較は以下のようになった。なお、対応する期間に関しては、簡便のため、8月11日を起点とした3日間、5日間、10日間としている。実際の数字は、気象庁の「過去のデータ検索」によった。

●福岡市
8月11~13日 249.5㎜ (+168%)
8月11~15日 481.5㎜ (+28%)
8月11~20日 614.5㎜ (△4%)

●久留米市
8月11~13日 468.5㎜ (+220%)
8月11~15日 762.5㎜ (+132%)
8月11~20日 897㎜ (+63%)
●佐賀市
8月11~13日 617㎜ (+347%)
8月11~15日 831.5㎜ (+148%)
8月11~20日 1,018.5㎜(+79%)

●大牟田市
8月11~13日 644.5㎜ (+334%)
8月11~15日 855㎜ (+200%)
8月11~20日 1,052.5㎜(+137%)

福岡市における「10日間の予測」は、ほぼ正確な予測だった一方、上記都市に関しては全体に予測を超える雨量となり、さらに想定とは異なり南の方で雨量が多くなったことがわかる。

このWindyサイトには、「ECMWF」(ヨーロッパ中期予報センター)の予測のほか、GFS、ICON、METEOBLUEの予測があり、各サイトでデータは適宜更新されている。そのため、1時点の1サイトの予測を取り上げて正否を論じるのは困難だ。ただし、とんでもない大雨の発生とその大雨の続く期間に関しては、だいたい当たっていた感じだ。

なお、福岡市において、8月14日の実際の3時間別降水量と予測降水量を比較すると、以下のようになった。予測は上記のとおり「ECMWF」の8月10日夕方更新版。8月14日は、一連の大雨の期間中福岡市内で一番降水量が多かった日だ。

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4日先を予測したものにしては、よく当たっている感じ。相関係数を単純計算すると59%になった。


Windyサイトを活用した予測、いろいろ活用できそうだ。もちろん、随時情報が更新され、このチェックが必要なことは言うまでもない。そして、このデータやチャートが、気候危機の進行を示すことも多い。

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