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誰もが「居場所」と思える場所をつくりたい──いちたろうさんインタビュー【バーチャル探訪vol.03】

「バーチャル探訪」はこれからのバーチャルSNS「cluster」を深く考えるためのインタビューシリーズです。

clusterは2020年3月の大型アップデートにより「バーチャルSNS」として進化しました。そこから1年以上が過ぎ、clusterでは想像以上に多くの人が、つくり、あそび、生活をしています。
clusterは日々アップデートを続けていますが、よりよい場所とするためには現在clusterにいる方たちの声も必要だと考えています。

そこで、clusterでつくり、あそび、生活をしている方たちにお話を聞くインタビューシリーズをはじめることにしました。
clusterの楽しみ方はさまざまだと思います。そこでシリーズを通して、さまざまな方にお話を聞く予定です。

「cluster、バーチャルSNSって何?」という方はぜひご覧ください!

数々のワールド・イベントを生み出してきたクリエイター・いちたろうさん

第3回でお話を聞くのは、いちたろうさんです。

いちたろうさんはclusterがモバイル対応し、バーチャルSNSとなった最初期からワールド制作・運営やイベント企画・運営を行ってきたクリエイターです。

運営する「いちこんカフェ」をはじめとした数々のワールドは多くのユーザーが訪れ、居場所にしているワールドであり、これまでお話を聞いたYou Aoiさんやへぷたんさんをはじめとしてさまざまな方がclusterにいるきっかけとなっています。

長く精力的に活動されているいちたろうさんにclusterをはじめたきっかけや、何を魅力に感じているのか、活動の動機などをお伺いしました。
(聞き手は、クラスターのFUKUDAが務めます)

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いちたろうさん(本記事の特記なき写真はクラスター社撮影)

モバイル対応をきっかけにclusterへ

──clusterをはじめたきっかけはどのようなものでしょうか?

clusterをはじめたのは2019年の年末だったと思います。まだワールドもない時代ですね。
その時は、入ってみたはいいもののなんとなくこんなもんかみたいな気持ちで終わりました。
特にこれといった印象もなく、イベントだけのプラットフォームなんだなという認識で使うのを辞めてしまった記憶があります。

──モバイル対応の前にclsuterには一度来ていたんですね。

しばらくは立ち上げることもなかったのですが、clusterに来る前からVR機器を使っていたのですが、VR飽きてきたなーという気持ちになっていた時に、サンフラワーふじさんという方からclusterがモバイル対応したことを聞いたんです。VRをやっていた身からするとスマホの人がVRの人と同じ世界を見れるとか嘘だろという気持ちで、clusterを久々に立ち上げたら本当に入れて。
その時の一瞬の感動で、次はclusterだなっていう直感がビビッときて、そこからどハマりでしたね。

──元々VRに興味があって、VR機器もお持ちだったんですね。VRに興味を持つきっかけがあったのでしょうか?

そうですね。VRに興味を持ったのはYoutubeか何かで誰かがプレイしているのを見たのがきっかけだったと思います。その時はOculus Rift DK2の時代でしたね。興味をすごい持ったというわけではないんですけど、直感的にこの世界は面白そうだなと思って、人生で初めて10万円以上するものを勢いで買ったんです(笑)

いざはじめてみたら、バーチャル空間をVR機器で見れるのに感動して、VRすごいってなりました。そこから卓球ゲームとかをやるようになったんですが、当時VR機器を持っているのは開発者などしかいなかったので、いい年した方たちと卓球する日々でした(笑)

でも、やっぱりゲームというのは1プレイはすぐ終わってしまうので、次第につまらなくなってしまって、せっかく買ったVR機器は1年くらい電源が入ることなく、放置していました。
そんな日々を過ごしていたら、ある時clusterとは別のソーシャルVRに出会って。試しに入ってみたら、その中で人と話したりするのが楽しいと感じたんです。
ゲームはすぐ飽きてしまいましたが、VRの世界だと童心に帰って人と話せるんだという感覚がすごく面白いなと思って、再びVRの世界にハマっていきました。続けて、blenderとかを使って自分の世界をつくるということにもハマっていきましたね。

──自分で世界をつくるということもclusterに来る前からされていたんですね。

そうですね。

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スマホの人もパソコンの人もVRの人も平等に生きられる場所をつくりたい

──clusterがモバイル対応して、これは来るぞと感じたということなんですけど、clusterに来た時はまず何をしていいか分からないという声をよく聞きます。いちたろうさんはまずどういうところから始めたのでしょうか?

当時行っていたclusterとは別のソーシャルVRではバーチャル空間の中から配信をしていたんですが、視聴者や知り合いにバーチャル空間楽しそう、どうしたら入れるんですかと聞かれた時に「30万のパソコンを買って、10万のVR機器、数万円のトラッカーを買って...」と説明するとみんな「あっ、じゃあいいです」ってなってしまい。
それがいつも悲しいなと思っていて...

その時は視聴者とVRの世界にいる我々とでは温度差がかなりあって、楽しさが10%くらいしか同期されていなかったと思うんです。だからこそ、スマホでも入れるclusterがVRを普及するための土台になるなということが分かっていました。

ただ、clusterの中にも場所がないと始まらない。そこで、自分が持っているベイクのスキルが相性がいいなと思ったんです。clusterにスマートフォンで入れるということはワールドも軽量かつ長時間人が入れる場所じゃないといけないですからね。
そういうことを考えて最初につくったのが「壱狐宇宙カフェV5」というワールドでした。

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公開した時は他のソーシャルVRでは視聴者としてしか関われなかった人たちがこちらの世界にも来れるんだという感動がすごかったですね。

VR機器はあくまでここに入るまでの手段でしかなくて、入った後はみんな平等だから、お互いに話せないといけないし、長時間入れるようにしなくてはいけないと思います。
そのために軽量なワールドが重要だなということを改めて感じました。ベイクがいいのは、みんな同じ風景を見れることなんですよね。

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そのDNAは今でもずっと続いています。
今日お話ししている旧いちこん城跡地もベイクが基礎にありますし、シェーダーはVRMのものだけ使っていて、パーティクルも基本的にはUnityのモバイルシェーダーのような基本的なものを使うことで、できるだけ負荷がかからないようにしています。そして、スマホやPC、VRからの見た目はみんな同じ。

──なるほど。いちたろうさんは「みんなが共有できる場所をつくりたい」という思いがclusterをはじめる前からも、はじめてからも強い思いとしてあるんですね。

そうですね。そういうことができるのがclusterだと思いますし、自分がclusterの素晴らしさを伝えるにあたって、軽量につくることは強みになると思っています。
アバターがたくさんいたとしてもスマホや低スペックのPCの人が生きられるワールドがあることはclusterにとってプラスになると思うんです。自分がclusterにいる意味というのはそこにあると思っています。

楽しさを知ってもらう受け皿としての「いちこんカフェ」

──軽量化されたいちたろうさんのワールドには日々多くの人が訪れていると思います。
これまでインタビューしてきたYou Aoiさんへぷたんさんもいちたろうさんのワールドがclusterにいるきっかけになったとおっしゃっていました。
これまでワールドをつくってきた中で、ワールドに訪れる人と色々交流する中での気づきや発見などはありましたか?

clusterに来る人はとにかく若いというところですね。
それは、VRに憧れていたけど来れなかった人が多かったからなんだと思います。なので、そういう人たちがスマートフォンでバーチャル空間に来れるようになったというのがとにかく嬉しいんですよね。

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早くにVR機器を購入した人たちが、かつての私と同じようにVRを辞めていく中で私はソーシャルVRでの配信の経験からVRに興味を持ってくれる人がたくさんいるというのを知っていました。しかし、こちらの世界に来るためにはさまざまなハードルがあり、その気持ちを受け取れないみたいな状況が続いていたんです。
そういうもやもやした感じでVRを辞めるのも微妙だなと思っていた時期にclusterが出てきたので、これがひとつの答えなんだろうなと思ったんですよね。

若い層にとってはタブレットやスマホがパソコン的な存在価値になっているらしく、かつてあった「パソコン持ってるの当たり前でしょ」という時代は終わっているんだなと感じます。それはclusterの「スマホの人が来れる=若い人が多い」という現在の状況が証明していると思います。
今日のいちこんカフェにも小学生の子がきていましたし。

──小学生!そういう人たちがはじめて来た時はコミュニケーションを取ったりするんですか?

そういう人たちは「VRに憧れて来たけど、何すればいいかわからない」と思っている人が多いみたいですね。
なので、積極的に近づいていって「こんにちは」と言ったり「ゲームとかやれることはいっぱいあるけどどうする?」みたいにアドバイスするようにしています。

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いちたろうさんのワールドでは電車に乗って他のワールドへ行くことができる動線も用意されている

私はclusterはイベントが主体にあってそれ以外の時間を過ごす場所がワールドだと思っていて、だからこそワールドが成り立たないとclusterのイベントも成り立たないと思っています。
なので、そういう最初に来て遊び方が分からないという人たちを支えられるようなワールドがないと「clusterってなんだったんだろ」とすぐアンインストールされてしまうのではないかと思います。
実際、公式イベントではじめてclusterに来て、しばらくclusterに来てなかったという人たちが最近いちこんカフェに来るんですよ。なので、やっぱりイベント後にイベントでclusterにはじめて来た人たちの受け皿があった方がいいのは間違いない。そして、そこではコミュニケーションが重要になると思うんです。

──なるほど。

コミュニケーションと言っても、ボイスとチャットで違いがあると思っています。
チャットだとどう話し始めればいいのか分からないんですよね。また、clusterのUIでチャットは吹き出しアイコンを開かないとチャットが出てこないので、その操作方法すら分からないという人はすごく多いですね。

そういうUIの使い方が分からない、操作方法が親切ではないから辞めた、という状況にならないようにするためにボイスがすごく役立つのではないかと思います。
当たり前の話ですが、ボイスを使うと音が出てきて「この人喋ってんじゃん」となるので、そこから会話が始まるんですよね。また、ワールドのつくり方としても色々なところに色々な音を置くようにしていて、そういう不確定要素のようなものをつくることで、会話のきっかけになると思うんです。そういう色々な人や要素が互いに支え合い、助け合うことがいちこんカフェのあり方ですね。そこは自分の中で一番大事にしています。

──イベント経由ではじめてclusterに来た人たちに、clusterの中には「人がいる」と分かってもらうようにするためにワールドが下支えになるということですね。

そうですね。自分の中ではclusterはゲームではないと思っているので、日常的にコミュニケーションが取れるワールドの存在は不可欠だと思います。

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clusterに来たならまずはイベントもワールドも体験してほしい

──いちたろうさんはワールドだけではなく、誰でも登壇者になれるスピーチイベント「TTVR」や音楽イベントなどさまざまなイベントを開催されていますが、イベントはどういう経緯でやるようになったのでしょうか?

TTVRが一番古くからやっているイベントですね。私が他のソーシャルVRにいた時に、いつかやる社長さんという方が時々遊びにきていたのですが、そこではそもそも決められた人数しか入れないし、配信でしかコンテンツを提供できないよねと話していて。
そこから、色々な人が来ることができるイベントがやれたらいいねーという話をしていた時にclusterのモバイル対応がやってきたんです。
自分はclusterに感動してここならやれるといつかやる社長さんに伝えたら、スマホで来れるなら色々な人が登壇して、それを会場で見れるイベントをやれたらめちゃくちゃいいじゃんという話になって、それで始めたのがTTVRなんです。

音楽系のイベントに関しては、やっぱりREALITYのアバター連携が大きなきっかけですね。

REALITYは音楽系の人が多いので、コラボレーションすることが多くなったという感じです。必ずしも自分が音楽をやりたいから呼んできたというわけではなく、いちこんカフェで知り合って、自分は背景を提供できるけど音楽は提供はできない、そちらは背景は提供できないけど音楽は提供できるとマッチングしてやりましょうとなって、どんどんやるようになったという経緯ですね。

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へぷたんさんによるピアノコンサート終了後の集合写真 写真提供:いちたろう

clusterのいいところは思いついたら、日にちはいつで、何時からやりますかって決めたら、イベントページをすぐにつくれるところですね(笑)

──いちこんカフェで出会って一緒にイベントをやるってリアルと同じような「出会い」ですね。

clusterに来たからにはイベントをやらないといけないと思っているんですよね。
いちこんカフェに来るだけではclusterで何ができるのかというサンプルを提供できないんです。だから、自分から積極的に絡んで、その人がどういうことをやりたいと思っているか聞くようにしています。

──なるほど。確かにイベントをやってみないと楽しさを見つけるきっかけもつくれないですからね。

自分の中ではclusterはやはりイベントが中心にあると思っています。だから、ワールドを体験するだけではだめでイベントも体験しないといけないと思うんです。他のプラットフォームと比べてもclusterはイベントが一番強い。そこは体験してほしいと思っているので、来た人にはそのことを伝えるようにしています。

──イベントに行ってみるのもいいし、自分で開催するのもいいし、ということですか?

そうですね。ただ、イベントを開催したくて来たという人に対しては、もうちょっとclusterのイベントを体験してから考えた方がいいですよ、と伝えています。その人が思っているイベントとclusterでできるイベントはおそらく違うので。

──なるほど。計画的にということですね。

イベントをやるからには、clusterに残念な気持ちを残してほしくないですからね。

──イベントをやるからには何か持ち帰れるようなイベントにしてほしいということですね。

clusterはイベントに100人まで入れるようになって、たくさんの人がいるのが見えます。それはほかのプラットフォームではなかなか体験できないので、その部分に関してはイベントに行って実際に体験することは必須だと思います。

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場所をつくることの楽しさ

──つくる側の視点の話を色々聞いてきたのですが、いちたろうさんがclusterを純粋に楽しむ側としてはどこに楽しみを感じているのでしょうか?

繰り返しになりますが、スマホとPC(Windows・Mac)の人、VRの人が同じ場所に来れるというのが自分の中で楽しいんですよね。

今までたくさんのVR機器を買って思ったのがVRの人はVRの人にしか会えないじゃんという残念感でした。でも、clusterにスマホ勢が来れるようになって、そこで会話したり、チャットがあるので無言勢もいることもできる。ある種、どんな性別、どんな人種、どんな環境であっても平等に立てる場所ができている、そこに楽しさを感じています。
その上で、つくる側の人はUnityでつくれる大体のものは持ってこれます。そういう面でも製作者としては入りやすいです。clusterは製作者としても楽しむ側としてもバランスが取れていると思います。

──つくること自体が楽しいという視点もありますからね。

自分は人が楽しんでいる様子を見るのが楽しいんですよね。だから、人がどうすれば楽しんでくれるんだろうなというのはいつも考えています。

──リアルだとなかなかそういう実際の場所をつくるということはなかなかできないじゃないですか。でもclusterだとある意味誰にでもそういうことができますよね。

そうですね。材料もなしにできますよね。

──リアルではそうした制約から場所をつくるのは難しいという面もありますが、色々な人が共有できる場所をつくりたいと考える人もすごく多いわけではないと思います。いちたろうさんは、もともと場所をつくってみたいという思いはあったんですか?

どうですかね。
元々そういうのが目的ではなかったはずなんですけど、VRに一度飽きたということが影響しているんじゃないかと思います。VRをやるにしても目的がないのおかしいよなという考えが、何かつくることの楽しさに全部降り注いだというか。

子どもの時に蟻が歩く道をつくるみたいなことをしませんでしたか?
自分の中でワールド制作はそういう感じに近いんです。ここは人が歩きそうだなとか、そういう人の流動を考えながらつくっていくのが楽しいんですよね。忘れてしまっていた子どもの時に楽しかったことをclusterでワールドをつくることで取り戻したという感覚があります。特に僕はイベントの時のスタッフエリアを考えるのが好きですね(笑)

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いちこんカフェに人が集っている様子(写真提供:いちたろう)

コミュニケーションのきっかけとしての動画や飲食

──今後こういう機能があったらいいとか、こういうところをよくしていくというのはありますか?

clusterに欲しい機能ですか...
エンターキーでコメントを送信できるようにする、これだけはやって欲しいですね(笑)

あとはclusterの中でYoutubeをはじめとした動画サービスが見れるようになってほしいですね。もちろん権利的な問題もあると思いますが。
先ほども話しましたが、人とコミュニケーションするきっかけという点でノイズは大事だと思っていて、動画はそういう存在になると思います。
たとえば、歩いている時に動画が流れていて、どこどこのCMでこの曲聞いたことあるなとか、そういう不確定要素的なものがコミュニケーションのきっかけになると思うんです。

動画なら知識とか関係なく感想を言えばみんな楽しめるし、いつもより盛り上がると思うんですよね。なので、イベントも大事ですし、ワールドも大事だとは思うんですけど、次はそういう何かを一緒に見る、イベントとは別のイベント的なものがワールドの上にできてくるといいのではないかなと思っています。

──なるほど。「みんなで動画を見ると楽しい」という感覚は分かります。

最近自分が欲しいなと思った機能があって。
それはclusterの中で同じ飲食物を共有できる機能です。ワールドの中にスイッチがあって、ビールでも飲みますかとなってボタンを押したら、注文が確定して、リアルのそれぞれの場所にビールが届いて、さらにバーチャルでも同じものが現れて一緒に楽しめるみたいな機能です。

今後VRが成長するには絶対に必要なのが飲食だと思っていて、その時、飲食は絶対同期した方が楽しいと思うんですよね。

──バーチャル空間で飲み会する楽しさはありますよね。

それもありますけど、さらに同じものを飲み食いするという楽しみがあると思うんですよね。
この場所に来たからその商品を注文できるという道筋があるとバーチャル空間はより楽しくなると思います。

──あるピザ屋のワールドがあって、そこにはピザを注文できるボタンがあって、それを押すとその場にいるみんなにピザが届いて楽しめる、みたいな感じですね。

そうですそうです。
そして、そういうのは飲食をやっている企業がいないと実現できないと思うんです。だからこそ、clusterに色々な企業が参入してほしいですね。
そうすれば、バーチャル渋谷の片隅でピザ屋をやるとかもできるかもしれないですし。場所っていう概念をもっと具体的にしていって、価値を上げていくことができると思うんです。
私は個人勢としてはぶっちゃけclusterを遊びきっていると思うので、もっと多様な世界が生まれるといいなと思っています。

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誰かの「場所」となるためには何が必要なのか?

あとは、これからの未来あるユーザーに来てもらうためにも学校も欲しいですね。

──clusterの中で平日はずっと学校のワールドが空いていて、そこでは授業が行われていて、いつでも入れて授業を聞けるとかができたら面白そうですね。

学生さんはこのコロナ禍で機会を失っている人はめちゃくちゃ多いと思うんですよ。そして、機会を失ったことによって、悩みを共有できる場がない。
いちこんカフェに来る人も悩みみたいなのを持ち込んでくる人が多いんです。なぜかというと、頼れるところがそこしかないからなのだと思います。リアルで頼れる人がいないからバーチャル空間に来るという状況ができていて、その意味でclusterは価値あるものだと立証できているんですけど、そうした状況を認識した上でさらにその状況を支えられるプラットフォームになる必要があると思います。

今後発展していくとしたら、その部分を支えられないとやっぱりただのゲームでしかなくなると思います。そのためには、一般の人から見た時になんだバーチャルかではなくて、ここで人生相談受けてるんだとか、セラピーを受けているんだ、ということを恥ずかしいことではなくて堂々と言える世界になってほしいです。そのためにも、やっぱり利用する人たちの裾野を広くして欲しいですね。

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──なるほど。

学生さんが歩いていて「お疲れー下校中?」みたいな会話を気軽にできるようなバーチャル空間にもっとなってほしいですね。そうすれば、恥ずかしがることなく悩み相談もできるようになると思いますし、clusterに色々な人たちがいるようになったら、そういう悩みだったらあの団体がサポートしてくれるよ、とかアドバイスすることもできるようになると思います。
そういうことができるプラットフォームとしてclusterが場所を提供できるようになれば、色々な人が幸せになるのかなと思います。

──まさしく「場所」ですね。ひとつの場所を失った人たちが新たに自分のいる場所として認識できるような。

いちこんカフェに自分の病気の話をする人が来ることがあるのですが、そういうのは伝わる人がいないから辛いんだと思います。最近その人は、そういう話がお互いに分かる人と出会えたことによって、はじめて自分の場所ができたと思えたみたいです。

そういう場所ができていることが大事だと思いますし、それこそ本当の社会貢献というか、この世界があったからこそその人を救えたということがあってほしいなと思っています。
誰かが儲けるためだけにあるわけではなくて、この人がここにいるのはclusterがあったおかげなんですよっていうことが起きるところまで発展してほしいですね。

──なるほど。本当の「場所」になるためにはまだまださまざまな要素が必要となりそうですね。本日は長時間ありがとうございました。

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今回のワールド|「IchiKon Caffee 3号店 V8.35」Ichitaro/いちたろう

今回、お話を聞いたのは前回のへぷたんさんインタビューと同じくIchitaro/いちたろうさんによる、空中に浮かぶカフェのワールド「IchiKon Caffee 3号店 V8.35」です。
継続的にアップデートされているようですので、まだ行ったことがない方はもちろん、最近行ってない方も訪れてみるのもよいかもしれません。


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