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『日本のICT教育を加速するバーチャル空間の可能性〜教員向けクラスタートークセッション〜』イベントレポート

2023年7月11日、メタバースプラットフォームを運営するクラスター株式会社は『日本のICT教育を加速するバーチャル空間の可能性〜教員向けクラスタートークセッション〜』を開催しました。

イベント累計動員数2,000万人を超え、国内最大級のメタバースプラットフォーム「cluster」を運営するクラスター株式会社(以下「クラスター」)は、2023年に教育分野における新しいプロジェクトをスタートします。

そのキックオフとなる今回のイベントでは、CEO加藤からのプレゼンの後、文部科学省の鈴木顕氏、特定非営利活動法人みんなのコード 代表理事の利根川裕太氏、加藤の三者で、clusterのような「バーチャル空間」がどのように教育分野に役立てることができるのかディスカッションを行いました。
イベント概要や各登壇者の詳細な情報はこちら

アーカイブ動画もありますので、気になる方はそちらもご覧ください。

まず、今回のイベントでクラスターが発表した、2023年に教育分野における新しい取り組みを簡単にまとめます。

  • clusterによる教育関係者へのサポート

    • 教育の事例や問い合わせ窓口をまとめたウェブサイト「cluster エデュケーション」を公開

    • 「メタバースってどういうものなの?」「何を学ぶことができるの?」という方に向けて、メタバースの歴史や技術、使い方についてまとめた教育利用向けガイド「Cluster Educators Guide」の無償配布

  • 学校教育での利用の無償化

    • 学校教育法に規定された教育機関(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校)での授業や部活などでの無償利用が可能になりました

      • ※それ以外の教育機関(専修学校・各種学校など)でのご利用についてはご相談いただく形となります。

      • 詳しい内容はこちらのリリースをご覧ください。

イベントでは、上記の取り組みを行うに至った背景をCEOの加藤からプレゼンを行いましたので、下記では、加藤がプレゼンした内容をまとめ、レポートとしてお伝えします。

日本のICT教育/デジタル人材育成を加速したい

clusterで起こっていること

今回clusterで教育分野の取り組みを始めるきっかけともなったのは、既にユーザーによって教育的な側面で使用されていたことからです。

「cluster エデュケーション」でも、いくつかの事例を紹介しています。
例えば、デジタル教育施設「REDEE」ではclusterでの創作を教えるワークショップが開催され、そこに参加した小学生がクラスターが主催するワールド制作コンテストで受賞。
十文字中学高等学校や栄光学園の生徒がクラスターへの会社見学を自主的に企画したり、子どもたち側から積極的にclusterを活用する動きが生まれています。

clusterが「デジタル人材育成」とどう関わるのか?

では、clusterがどのようにICT教育やデジタル人材育成に役立つのか?
加藤は文部科学省が発表している資料を紐解きながら解説しました。
文部科学省が公開している「大学等における価値創造人材育成拠点の形成について」という資料では、デジタル人材について下記のように記載されています。

Society5.0の到来やデジタル社会の進展、新型コロナウイルス感染症の影響など、変化が激しく不確実性の高まる時代において、個人が、自由に個性を発揮しながら付加価値の高い仕事を行うことが求められており、このような付加価値を生み出すため、機械やAIでは代替できない、創造性・感性・デザイン性・企画力など、社会人が新たな価値を創造する力を育成することが必要です。

引用:「大学等における価値創造人材育成拠点の形成について

デジタル人材とは「デジタルを利用して新たな価値を創造、付与する人材」と解釈することができます。
また、社会が複雑化し、新たな技術がどんどん生まれ始めてきている状況において、デジタル人材に求められる要件はより高度なものになってきています。

そこで、加藤が重視するのが「クリエイティビティ(創造性)」です。

clusterでは既にユーザーが制作した数万ものワールドと呼ばれる3D空間やデジタルアイテムがつくられ、それらが交流の場となり、また新たな価値として経済が生まれ始めています。

つまり、clusterでは「メタバースというデジタル技術を利用して新たな価値を創造している」状況が生まれているということです。また、clusterでは、先ほど触れたように子どもたちを含めたさまざまな層の交流や、自発的な学習等、「柔軟で自発的な思考」を育てる地盤が生まれつつあります。

こうした状況を踏まえて、クラスターはclusterをICT教育やデジタル人材育成に役立てる可能性があるのではないかと考え、今回の取り組みを始めるに至りました。

教育における「cluster」活用の方法

とはいえ、具体的にどのように役立てることができるのか。クラスターは教育の専門的な知見を持つわけではありませんので、あくまで妄想的なアイデアに過ぎませんが、今回はきっかけとしていくつかのアイデアを提示しました。

文部科学省が公開している「高等学校情報科の指導におけるICTの活用について」によれば、デジタル / ICTにおいては「実践力」「理解力」「コミュニケーション力」の3つを学ぶことが求められていると書かれています。
今回のイベントでは、この3つに沿って、clusterを使って実現できるアイデアを「学ぶ」と「創る」に分けて紹介しました。

理解力|【学ぶ】デジタルでしかできない高度かつ専門的で体験的な学習

clusterの大きな特徴は「3D空間にアバターを使って入ることができる」という「体験」にあります。この特徴を利用して、既存の教育を加速するコンテンツを生み出すことも可能です。
clusterでは、実際に「身体の中に入って食物の消化のされ方を学ぶ」「実物大の恐竜を眺めることができる」「化学式を立体化したものを飛び移って体験する」などのコンテンツがユーザーによって制作され、公開されています。

下記は一例ですが、clusterを活用することで教科書では伝えづらい「ものの大きさ」や「立体的な構造」「実際の動きの流れ」を伝えることも可能になります。

コミュニケーション力|【学ぶ】国境や性別を超えて、デジタルでのコミュニケーションや他者の尊重を学ぶ

clusterでは「アバター」という、もうひとりの自分とも言える身体をまとい、世界中の人と交流することができます。
そこでは、現実と同じように他者に敬意を払った交流が求められます。clusterでは、ユーザーの皆さんが安心して交流できるように機能開発を進めているほか、コミュニティガイドライン等を定めて運営されており、そうした地盤の上でさまざまな形の交流が日夜生まれています。
clusterでの体験は、デジタルでのコミュニケーションを学ぶための良い環境になるのではないかとクラスターは考えています。

また、clusterでは声によるコミュニケーションだけではなく、テキストチャット、「エモート」と呼ばれるリアクションによるコミュニケーション、身振り手振りなどさまざまなコミュニケーションの選択肢が存在しています。
喋るのが苦手な人でも始めやすい環境になっており、そうした環境が色々な交流を生み出す大きな要因のひとつになっています。

実践力|【創る】3Dでプロダクトやアイデアを考え、形にして、他者に届ける・一緒に体験する

clusterでは、「ワールドクラフト」と呼ばれるclusterだけでワールド(3Dのバーチャル空間)をつくることができる機能を提供しているほか、「Cluster Creator Kit」という開発キットとゲームエンジン「Unity」を利用することで、自分が思い描いた世界をつくることができます。

また、つくるだけではなく、つくったものを他者に体験してもらい、その中で交流することもできます。こうしたものづくりの経験は「実践力」という点で良い影響力を与える要素ではないかと考えます。

様々な教育活用のあり方

ここまでは、クラスターが考える教育活用のあり方でしたが、おそらくもっと様々な活用のあり方があるはずです。
現時点で、実際に様々な教育機関で活用されています。今後、「cluster エデュケーション」では、そうした事例を紹介し、クラスター自身も知見を深めていくと共に、教育関係者の方々が利用するヒントにしていただければと思っております。

今回のイベントは教育活用について考えていく出発点

先に述べたようにクラスターは教育についての専門的な知見を持っているわけではありません。そこで、今回のイベントでは、文部科学省の鈴木顕氏、特定非営利活動法人みんなのコード 代表理事の利根川裕太氏、専門的な知見を持つ二人に登壇いただき、「ICT教育のデジタル化の現状」「バーチャル空間が教育にどう役立つのか」「現場でのインストール方法」をテーマにディスカッションを行いました(ディスカッションの模様はぜひアーカイブをご覧ください)。

ここで議論されたこと以外にも、おそらく様々な課題があると思います。
今後、クラスターは色々な方の意見を伺いながら、教育分野への取り組みを少しずつ進めていければと思っております。

今後の情報発信については、ぜひ「cluster エデュケーション」をご覧ください!


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