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精神力!…は大人の都合。〜夏期講習の現場から〜

精神力!

夏を乗り切れ!

いま努力しないでどうする!


なんて言葉が、飛び交う季節になってきました。短い夏休みですが、「夏期講習」なるものは今年も相変わらずあるわけで、clue zemiもご多分に漏れずバタバタしております。


しかし、よく見てみると、熱くなっているのは親や講師だけで、当の受験生諸君は

「ああ、アチーな(気温も大人も)」

「受験なんかなきゃいいのに」

と思っていることがほとんど。


馬の耳に念仏、と言いますがまさにその通りでありまして、そもそも、しかたなーく夏期講習に参加することになった人に熱い言葉を浴びせかけたところで、「ウォー!勉強すっぞ!」とはならない。「精神力!」と言われてハイになるのは本当にごく一部の生徒さんだけであります(この道20年の経験から申しております)。


私自身、そういう暑苦しい言葉にアレルギーを発症し、夏期講習や塾通いをなるべく避けて生きてきたので、今や教える立場ではありますが、そうそうドヤ顔で「精神力!」なんてことは言えないわけです。


とは言え、夏の重要性については全く否定しません。夏の過ごし方は大事です。超大事。ここで油断するとほぼゲームオーバーが決まったようなものです。逆に、ここの頑張り次第で志望校を数ランク上げるなんてこともできてしまったり。だから夏の勉強は本腰入れて取り掛かってもらいたい。


そこで必要なのが、「夏を楽しんでもらう」というアプローチ。もちろんおふざけではありません。楽しく、かつ濃く教えることが講師陣に求められます。「夏休み」というのは本来ワクワクするものなので、「ウェー、今日も勉強か…」と思わせずに、夏期講習を楽しみにしてもらうのが役割。講師はエンターテイナーであるべきだと思っています。


おそらく教える立場の人は「精神力!」「気合!」なんて言葉を発するたびに目の前の生徒がゲンナリしてくるのはわかっているはず。生徒にしてみりゃ、母親に「勉強しなさいよ!」(この言葉は親が発しちゃいけないフレーズ ベスト10 第1位)と言われてるのと一緒で。


ではなぜこういうフレーズが今も昔も横行しているのか、と考えたとき、

「ああ、財布を持ってるのは親だった」

ということに気づきます。


塾の顧客は生徒ではなく、親。そういう捉え方をすると、「精神力!」が使われる意味がわかります。大人は好きですからね、人にそういうこと言うの(自分は嫌なくせに)。

しかし、それで生徒がゲンナリした夏を過ごしてしまうのは、本末転倒だと思いますが。

ぜひ楽しく過ごしてもらいたいものです。





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