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エルフリーデ・イェリネク「ピアニスト」


Elfriede Jelinek:Die Klavierspielerin

 イェリネクはオーストリア人女性作家で2004年ノーベル文学賞受賞者。この小説が原作である、イザベル・ユペールが主演の映画「ピアニスト」は2001年カンヌ国際映画賞グランプリ。上品で綺麗な女性ピアニストの偶像を、打ち破ってくれる作品。

 あらすじは、ウイーン名門音楽院のピアノ教師エリカ(主人公)は、母と二人暮らし。母の監視が強くて30代後半になっても男性経験がなく、好みの洋服すら着られない。

 ある音楽サロンでバッハを弾いたときに工科学生クレマーと知り合い、クレマーはエリカの知的な雰囲気に一目ぼれ。音楽に専攻を変え音大に入りエリカの生徒になる。クレマーの猛プッシュ後、エリカの部屋で首尾よく二人きりになるが、エリカから事前に手渡された手紙を読むと、彼女のM的性癖への願望が明らかになる。理想のイメージと異なってショックを受け最初は拒絶するが、結局彼女の希望通り、暴言を吐き暴力をふるい強姦するのだった。

 母の存在や音楽家になる為にいろんなことを犠牲にして抑圧された結果、歪んでしまった「性」が悲しい。でも文体は重くなく、シュールでどこかコミカルなタッチで新鮮でした。

https://www.youtube.com/watch?v=Zic42oYqFoI

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