【詩・掌編?】病院に行った

病院に行った

ずいぶんと空いていた

受付に診察券を提出して

5分ほど待っていると名前を呼ばれた

「今日はどうしたんですか。この前のイボですか」

「いえ、イボは完治致しました」

「そうですか、よかったですね。それで、今日は一体どうされましたか」

「いえ、特に何ともないです」

「はい?」

「特に何ともないです。体に異常はありません」

「え、それじゃあ……   その、何のために」

「親や友達が口を揃えてお前大丈夫か、病院行けとおっしゃるので、ここにきました」

「ははぁ……   その、あれですかね。貴方自身は気づいてないのかもしれませんが、周りの方から見て貴方は精神的に不調そうで、ほら、仕事の疲れとかで大変そうだから心配で声をかけたんでしょうね」

「なるほど。別に仕事はしてませんが」

「しようがしまいが日常的にストレスは溜まるもんです。私は貴方について詳しくは知りませんが、まぁその、いろいろと事情があっていつの間にか精神的に……というか、そもそもここは皮膚科なので、心療内科とかそちらの方で診てもらうとよいでしょう」

「そうですか。分かりました、ありがとうございます」

「何はともあれ、お大事になさってください」

「はい、ありがとうございます」

丸椅子から立ち上がって

自分のゆで卵みたいなつるっぱげを

拳で軽く2回叩いて

卵を割るときのように頭頂から軽快に開き

脳みそをひとつまみほじくり出して

唖然としている先生の口に突っ込んだ

「蟻たちで作った肉団子みてえな味するだろ」

先生は猛烈にぺっぺっしていた

医者にも分からないか

病院を出た

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