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ディズニー行ったら別れかけた話

恋人同士でディズニーランド。

これは、若い男女ならば必ず1度は経験するカップルの定番イベントだと思う。

しかし私はつい先日、彼と訪れたこの夢の国で、彼との別れを過去1番真剣に考えた。

▼ ディズニー男からの督促状

そもそも私はこの場所を「夢の国」だとは思ってない。

ディズニー映画を観て育ってないので(アンパンマン派)ほとんどのストーリーが分からないし、家族連れも乗れるようなスリルのないアトラクションも嫌いだ。

だから彼からディズニーデートを提案されたときも、『どうせ同じ金払うならユニバか富士急がいい』と一蹴した。

しかし彼はお育ちが良く、幼少期から家族で頻繁にディズニーに来ていたらしく、完全にディズニー教だった。

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▲ 関西人のくせにディズニー推しがエグい

そんなわけで突然の督促状(お誘い)により、半ば無理やり連れて行かれることになったディズニー。

ディズニー好きの女に連れ回される彼氏ってこんな気分なのかなぁ…と思いつつ、まぁ彼が喜んでるからいっか!とこの時は思っていた。


▼ 「朝7時から列んで、閉園まで居よう」

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しかし彼にこう言われたとき、さっきまでの「まぁいっか!」は「ちょっと待った!」になった。

私『なんで7時に行くの!?9時オープンなら入場列がはけた10時頃で良くない!?』
彼氏「それだと人気アトラクションのファストパスが取れない。効率的に回れない」
私『だいたい朝7時から22時って15時間労働だよね!?労働基準法違反だよ死んじゃう!』
彼氏「遊びなんだから労働じゃないでしょw」

いや、重労働だよ…

結局私がゴネて、折衷案として朝8時から列ぶことにした。

入場前から1時間待ち、しかも炎天下…

既に私の顔は彼が着ているミッキーTシャツの笑顔とは真逆の様相を呈していた。


【AM 9:00】 入場

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開園とともにファストパスを取りに走る彼。

「これに列んでて」と指定されたアトラクション(タワーオブなんちゃら)に歩いて向かう私。

大の大人達が一斉に爆走する姿はかなり滑稽で、たぶん私はこの日唯一笑った。

タワーオブなんちゃらに列んでいると、滝汗をかいた彼が現れた。
トイ・ストーリーのファストパスを手に持っている。

なるほどこうして分担しながら1つでも多くのアトラクションに乗れるよう働くのが、ここでの任務なのか…
ディズニーって思ったより過酷で現実的だな…
と思いながら、2つのアトラクションをクリアした。


【AM 11:00】 折衷案の成立

アホみたいに高いレストランで早めの昼食を取る。
これはまぁここでしか飲食できないものだから良い。

しかしここを出るとまた戦場が待っている。

彼はこれから人気のアトラクションに列ぶ気マンマンだったが、「炎天下の中長時間列ぶのは絶対に嫌だ!」と訴えたところ、『60分以上列ぶアトラクションにはファストパスで行く』という折衷案が成立した。

さらにファストパスを取りに行くのは彼の仕事で、私はその間体力温存のためにカフェなどで休んで待つことが許された。

\悪いがそうさせて貰うよ…/

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しかし、そんな私達に絶望が訪れる。

ソアリン(最新アトラクション)
ファストパス発券終了

トイ・ストーリーを優先したがために、ソアリンのファストパスが終わってしまった。

『残念だったね、まあまた来ようよ』と私は言った。

「いやごめん、ソアリンだけは絶対に乗らせて」と彼は言った。


【AM 11:30】 何言ってんだコイツ?

そう思った。

ソアリンの通常列は、220分待ちだ。

220分=3時間40分。
3時間40分あれば、映画トイ・ストーリー4(1時間40分)が2回以上観れる。

その間ずっと炎天下の中立って待っとくとか、マジキチの所業でしかない。

しかし彼の気持ちも分かる。

わざわざ関西からこの舞浜まで、時間とお金をかけて来たのだ。

私は『分かった、じゃあせめてもう少し待ち時間が減って涼しくなった夕方以降に列ぼう』と提案した。

そうして順調に他のアトラクションをクリアしていった。


【PM 3:00】 帰りたい

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15時になり、私の体力は限界に達していた。

朝9時に入場してから6時間。
なのにまだ、閉園まで半分以上の時間(7時間)が残っている…

この頃私は『帰りたい』を連発していた。

朝早く来て既に7つのアトラクションをクリアしたんだから、もう良いでしょ。
こんなとこさっさと出て、赤羽にでも行って夕方から飲もうよ!

しかし、彼のプランは変わらなかった。
絶対22時退勤。

ここまで来て気付いたが、彼はディズニーの雰囲気を楽しむつもりは一切ない。

着ぐるみや風景の写真を撮ったり、ミッキーのショーやパレードを見る予定は一切なく、ただ1つでも多くのアトラクションに乗ることだけを目的にしている。

彼曰く「時間配分を考えて、いかに効率よく回れるかってゲーム。前回を上回ったときに達成感を感じる」らしい。

いや知らんがな。

私のイライラはピークに達していた。

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▲ 彼が集めてくれたファストパスたち。
後ろのカレーは千円くらいする。
赤羽なら千円あれば飲めるよ。


【PM 3:30】 謝罪(なお形だけの模様)

普段炎天下のなか外に出ない私の体は疲労のピークを迎え、ついに飲食店内で眠ってしまった。

30分ほど経って目が覚めると、彼は神妙な面持ちで私にこう言った。

彼氏「謝りたいことがある」
私『えっなに』
彼氏「俺は自分のことしか考えてなかった。あなたを楽しませたいんじゃなくて、自分が楽しみたいだけだったって気付いた」
私『え?おぉ…私は最初から気付いてたよ…』

すごく遅いけどやっと気付いたんだね。
じゃあもうディズニー出て赤羽行こう!
恵比寿でも良いよ!とにかく東京の居酒屋で飲もうよ!

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…とは、ならなかった。

彼は謝ったことに満足し、「じゃあ次はこれに列ぼう、70分待ちだけど良い?」などと言い出した。
ソアリンのこともまだ諦めていない。

「今日は付き合わせてごめんね、次は別の人と来るから、今日だけ許してねお願い」ということらしい。

私の悪夢はまだまだ続いた。


【PM 7:00】 終わらない悪夢

夜になり、私の顔は本当に死んでいた。
恐らくパーク1ブスだったと思う。

このときソアリンの待ち時間は160分。

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多少短くなってはいたが、それでも2時間40分待ちだ。
サッカーが1.5試合観れる。

「そろそろソアリンに列ぼう」と彼が言ったとき、私はもう限界だった。

私『ごめん、この疲労感で2時間40分立って待てる自信ない。体調の優れないお客様になっちゃう。悪いけど待ってるから、1人で行ってきて』

しかしさすがの彼も「仮にもデートなのにそれはまずい」と思ったらしい。
かなり顔を曇らせながらも、ソアリンを諦めてくれた。

この時点で既に19時半。

いよいよ帰れる…!と両手を挙げかけたところで、彼はこう言った。

彼氏「ソアリン諦めた分、残りの時間で他のアトラクションに2つ乗ろう」

こうして70分待ちのアトラクション1つと、ファストパスを取っていたアトラクション1つに乗らされ、結局パークを出たのは21時半だった。

▼ こんな真っ暗な中アトラクションに列ぶとかアホでしょ…

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70分待ちのアトラクションに列ばされているとき、『今帰れるなら何でもする』と強く思った。

足の裏がとにかく痛い。

開園前の整列から既に12時間が経過し、体の疲労が限界を超えているにも関わらず、たかが3分のアトラクションのために1時間以上も立って待つという拷問。

しかし、この日の拷問はこれで終わりではなかった。


【PM 10:00】 満員電車の刑

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舞浜からホテルまでの電車は、50分以上立ちっぱなしだった。

私はドア付近に寄り掛かり、人目もはばからずに立って寝た。

途中何度も倒れかけ、電車が揺れる度に頭をガラスに打ち付けて、ゴンという大きな音で周囲の視線を集めた。

電車を降りてホテルまで歩いた10分間は、もう記憶がない。

まさに満身創痍だった。

彼曰く、私はその夜 出会ってから1度も見たことがない顔をして、『今日は私の2●年間の人生で1番疲れた』と呟いていたらしい。


▼ カップルでディズニーに行くと別れる理由

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こうして私は「カップルでディズニーに行くと別れる」というジンクスの所以を身をもって知ることとなった。

ディズニーランドは価値観の違いが浮き彫りになり、恋人同士の別れを加速させる。

相手にとっての幸せが自分にとっての拷問になり、自分の幸せが相手の拷問になる。
それはきっと今後の2人の関係を現す縮図なのだと思う。

ディズニーランドには“膨大な待ち時間”や“高額な物価”など、理想の過ごし方にズレが生じやすい環境がバッチリ整っている。

私は今回のことで『もう彼とはテーマパークに行かない』という掟を作り、なんとか破局には至らなかったけど、それでも彼に対する気持ちは一時的に爆下がりした。(恐らくこれは彼もそうだと思う)

回復には少し時間がかかりそうだ。

▼ ちなみに万歩計はこんなことになった

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「17kmや」

もしこれから恋人とディズニーに行こうとしている人がいたら、私は全力で止めたい。

もしくは、「何時間くらい遊びたいか」「どう過ごしたいか」をしっかり話し合い、ズレが大きすぎる場合には行くことを再検討するのが賢明だと思う。

夢の国にあるのは夢ではなく、時間やお金の価値観について真摯に考えさせられる現実だ。

本当に価値観のピッタリ合う2人だけが、あの場所で夢を見られる。

そうでなければどちらかが我慢しているという現実を、ディズニー好きの男女にはぜひ知っておいて欲しい。

以上、ディズニー行ったら別れかけた、夢のない話でした。


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