中田永一(2013)『くちびるに歌を』小学館文庫

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長崎県五島列島の中学合唱部を舞台にした青春小説。大会に向けた日々という定番のシナリオでありつつも、発達障害やリベンジポルノといった現代の課題を織り交ぜた課題図書にしたい一冊。

傍論になるが、「くちびる」という体の部位について。映画『さよならくちびる』とも通ずるが、歌を題材にした作品で印象的に使われるくちびるという言葉にどこか聖なる感覚を抱いてしまう。すべての音がそこから始まり、拡がっていく。気持ちを震わせる旋律だって紡げるし、心をくすませる言葉だって発せられる。そのくちびるは、塞いでしまうことも出来る。でも、キスすることはとても喜ばしい出来事だ。この聖なるくちびるについては、もう少し考えてみることにしよう。

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