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地域広報誌 掲載エッセイ⑦

今回もまた、
地域の農協広報誌に掲載させていただいた過去のエッセイを紹介させていただきたいと思います。

今回は、今年の4月号の記事です。

『火の鳥』

ある日の夜、
外で国際宇宙ステーション「きぼう」を
眺めていたときに、
頭上で気配を感じ視点をずらしてみると、
なんと、
火の鳥が飛んでいました。
……
かのように見えました。
よく見てみるとタンチョウヅルでしたが、
夜空を飛ぶタンチョウは
日中見るよりもかなり大きく見え、
それはまるで、
以前、
手塚治虫記念館で見た
火の鳥の模型そっくりで、
ついに私の前にも火の鳥が
現れたのかと思ってしまいました。
火の鳥のように
優雅で神秘的な姿をしており、
タンチョウと気づくまでの間、
呆気に取られ
鳥肌がたち
私だけ時空を越えてしまったのではないかと
思ったほどでした。

 火の鳥のモデルとなった鳥は
ケツァールが有力候補と言われていますが、
私が好きな鳥の中の一つである
ヘビクイワシもまた
火の鳥のモデルではないかと
噂されているようです。
頭部の赤さや
立ち居振舞いを見ていると
私もヘビクイワシが
火の鳥のモデルではないかと
思ってしまいます。

 コビトカバやスナネコなど
珍しい動物に出会える
「神戸どうぶつ王国」。
当初は
花や鳥のテーマパーク「花鳥園」という名でオープンし、
現在もハシビロコウや数種類のフクロウ、
その他にも様々な鳥たちがおり、
鳥好きの私にとっては楽園の施設です。

 そこで行われるバードショーも毎回楽しみで、
猛禽類などの迫力あるフライトや
狩猟のシーンなどを見ることができます。
行く度に披露する鳥が変わるのですが、
ある日ヘビクイワシの日がありました。
その日初めてヘビクイワシの姿を見た私は
一瞬にして心を奪われてしまいました。
頭の後ろにある飾り羽が
なんとも言えない可愛さで、
噂通り羽ペンみたいで
書記官鳥と呼ばれることに納得しました。
目の周りの赤さもおしゃれで、
キュートな長いまつ毛、
そして、
スラッと伸びた長い足。
ハリウッド女優を思わせる姿に
私はうっとりしてしまいました。

 ショーがはじまり、
その美脚からは想像もできないようなキック力で
おもちゃのヘビを押さえつけ仕留める姿は
とてもかっこよく、
どんどん
ヘビクイワシの魅力に吸い込まれてしまいました。それはまるで
本当に火の鳥のように
美しく強く人の心を奪う鳥でした。
まさしく火の鳥に出会った瞬間でした。

 現在、ふと口ずさんでいる曲の一つ、
『フェニックス(不死鳥)』。
中学校の合唱コンクールで
他のクラスの合唱を耳にした瞬間
熱い力と勇気に包みこまれた曲。
歌詞の一つ一つから
不死鳥・火の鳥の姿が
浮かび上がります。


以上、地域の広報に掲載させていただいた記事でした。

その後は、夕方以降にタンチョウの姿を見ることはありませんが、
また、あの神秘的な夜のタンチョウに会いたいと思っています。


読んでいただきどうもありがとうございました。

皆さまにほっこりが訪れますように🍀

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